学祭では静粛に!
三奈木真沙緒
序 ――学祭最終日に起きた事件――
00 なぜ、それは起こったか ※全80話前後の見込
「ぬッ」
これは……拳銃、というものでは、ないのか。
江平は目を離すことができないまま、座り込んだ姿勢で、ゆっくりと、体を引いた。引いたぶんだけ、それは距離を詰めてきた。
拳銃の知識はまったくない。もしかするとおもちゃかもしれない、モデルガンかもしれない。だが……本物、だったら?
江平が事態を理解したことを悟ったのだろう、その人物は、唇を歪めた。
これは――どういうことだ。
学祭最終日の朝。
自分がなぜ、こんな事態に巻き込まれたのか。冷たい恐怖に心臓を握られながらも江平は、銃口と、覚えのない顔とを見比べていた。
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