第6話 『恥ずかしかったのでクールな女子中学生になりました』 ゴオルドさん

〇作品 『恥ずかしかったのでクールな女子中学生になりました』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860532276071

 

〇作者 ゴオルドさん


【ジャンル】

 エッセイ。


【作品の状態】

 6,000字弱の短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 ゴオルドさんのエッセイは以前にも読んだことがあり、他のも読んでみたいと思いこちらを読みました。


【ざっくりと内容説明】

 当時中学生だった作者さんが、恋をしたことでクール(な演技をするよう)になったことについて書かれています。


【感想】

 面白かったです。

 カクヨムさんには多種多様のエッセイ作品がありますが、思春期のご自身の気持ちと向き合い、「自分がどう思っているのか」、「何を分かっていて、何が分からないのか」を掘り下げた作品はなかなかないと思います。(個人の印象です)


 しかもその気持ちの対象が「恋心」で、自分が何故そういう行動をするのか――それは大人になっても分からない人の方が多いかも分かりませんが——思春期の時期であればより一層理解するのが難しいことでしょう。それを、他者が読んでも分かるように表現していて、面白いのに、ちゃんと作者さんらしい言葉を用いているところがこの作品の大きな特徴だと思います。 


 どういう恋愛観が好きかは人によって違うと思いますが、作者さんが中学生だったころのピュアな恋心は、読んでいて応援してあげたくなりました。

 恋をした瞬間の話は特に素敵です。作者さんの場合、本当に些細な一言だけだったんですよね。それも「自分に向けられた言葉ではなかった」というのもすごいなと。


 ちなみに一目惚れというのは、脳科学からすると扁桃体へんとうたいという部分が関係していると言われています。その部分は瞬間的に感情司り「好き」「嫌い」を一瞬で判断できてしまうのだとか。

 作者さんにとって、その人の一言が「びびっ!」と来るほど、素敵だったんだろうなということが伝わってきます。


 しかし、作者さんは誰かに自分が「恋」していることを知られてしまったら恥ずかしいので、とにかく隠し通そうとします。それはどうしてだったのか。


 最初は「なんでかわからないけどそう思った」(『『恥ずかしかったのでクールな女子中学生になりました』より引用)と書いてありますが、読み進めていくと、好きな相手は作者さんではない別の人が好きなことが分かります。それも、とても可愛い子なのです。

 自分はその子には敵わないと思っているがゆえに、傷つきたくなくて、隠し通さなくちゃいけないと思ったんですね。いじらしいです。


 こんな感じで『恥ずかしかったのでクールな女子中学生になりました』では、恋心をはじめ思春期に思っていたことや、どうしてそういう行動に走ったのかということが客観的で冷静でありつつも、心に伝わってくる書き方をされています。


 思春期に「恋」をした作者さん。

 好きな人のちょっとした行動と仕草にドキドキして、でも相手は別の人が好きであることを分かっているからこそ、クールな自分を演じていた過去(といっても、このときのことが影響して、今もクールな感じなのだそうですが)。


 自分の気持ちを捉えるのが難しかったり、「恋」という感情を持て余している人には一つの考え方としてこの作品をおすすめしたいです。

 一方でそうではない方も、作者さんの「恋」を客観的に見たら、柔らかい気持ちになるんじゃないかなと思います。気になった方は読んでみてください。


 今日は『恥ずかしかったのでクールな女子中学生になりました』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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