『ガールフレンド』 諏訪野 滋さん
〇作品 『ガールフレンド』
https://kakuyomu.jp/works/16818093073502779067
〇作者 諏訪野 滋さん
【ジャンル】
エッセイ・ノンフィクション
【作品の状態】
2,000字程度の短編・完結済。
【セルフレイティング】
なし
【作品を見つけた経緯】
カクヨムサーフィンしていて見つけました。
【コンテスト】
『黒歴史放出祭』参加作品
【その他】
KAC2024参加作品
【ざっくりと内容説明】
作者さんが時折思い出す、「小学生のころの自分」のお話。
「目立たない」ように自己防衛したことで、相手の気持ちをなかったことにしてしまったできごとと、「目立たない」ようにしていたとしても防ぎようのなかったできごとの二つが語られます。
【感想】
作者さんは小学生だったころ、特に「女の子と話すことを恐れていた」と言います。何故なら女の子と話していたり、一緒にいるだけで周囲に「付き合っている」とか「ラブレターを渡している」と言われてしまうから。それは作者さんにとっては「攻撃」で、とにかく嫌なことでした。
周囲は、同級生の好意の向く先を考えるのが恋愛物語を読んでいるようで楽しいのかもしれませんが、当人たちはそうではありません。
ですから「攻撃」されないようにするために、作者さんはとにかく「目立たない」ように学校生活を送っていたのです。
しかし、その「目立たない」ようにしたことで、ある女の子の「勇気を台無しにしてしまう」(『ガールフレンド』より引用)ことがありました。自己防衛により、作者さんは「攻撃」を避けられましたが、女の子の勇気がなかったことになってしまった。それは女の子はもちろん、作者さんにとっても悲しいことだったろうなと思います。
そしてもう一つはどんなに目立たないようにしても、防ぎようのなかった出来事です。
小学二年生(もしくは三年生)だったころ、作者さんは男友達の家に行くことがありました。特段仲が良かったわけではなく、たまたま話が盛り上がって家に誘われたのです。ですから、彼の家に行くことも初めてでした。
友人の家は酒屋だったので、呼び鈴(と思われます)であるブザーを押すと、従業員の青年が出てきます。
すると従業員は中性的な作者さんを見て、酒屋の息子——つまり作者さんの男友達のガールフレンド(=交際相手としての女の子)だと勘違いしてしまい、このあとどうなってしまったのか……というのがこのお話です。
人への「好意」というのは一見いいことでも、周囲の人たちが誤った扱い方をすると、誰かを傷つけることにもなります。
推しやファンを誰かに言って共有するのとは別に、相手を「好き」(恋愛感情や他の人には向けないその人への「特別」な感情を含む)という気持ちは、取り扱いに気を付けなければならないものです。あまり気にしない方もいるかもしれませんが、人によって「○○ちゃんは○○君を好きなんだって」という話をしたり噂を聞いただけでギクシャクした関係になってしまうこともあるかもしれませんし、変に気を使うということもあるでしょう。
当時の作者さんが「男同士とか、女の子に間違われたとか、そういうことが問題なのではなくて、『恋仲』になっていると傍から見られることに恐怖を覚えた」ということから、好意を知られたり知ったりすることで、周囲から
さて。
酒屋の店員さんに「ガールフレンド」と間違われた作者さんが、最後にこのときのことについて、今の自分の捉え方として締めくくっています。それを読むと、大人になったときの受け止め方はやはり当時とは違うなと思いました。
でも、いいことだけでもないんですよね。
子どものころには辛かったことも、大人になると大したことのないようになる――それはそれでいいことなんだけれども、当時の自分がいなくなった寂しさと、それを大切に包み込んであげたくなるような
気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。
今日は『ガールフレンド』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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