第38話 『たまたま3万円持ってたので野良猫を保護した話』 ゴオルドさん

〇作品 『たまたま3万円持ってたので野良猫を保護した話』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927859466214388

 

〇作者 ゴオルドさん


【ジャンル】

 エッセイ・ノンフィクション


【作品の状態】

 5,400字程度の短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし


【作品を見つけた経緯】

 ゴオルドさんのエッセイは、個人的に好みで、今回も面白そうだなと思いながら読みました。


【ざっくりと内容説明】

 今回のエッセイは、作者さんが猫を保護したお話です。


 作者さんは8月のある日、3万円を手に手芸店を訪れていました。

 その3万円は、とあるコンテストで特別賞をもらったときの賞金。作者さんは、手芸をされるようで、いいミシンを買おうとしていたのです。


 ですが、手芸店の前にやってくると、駐車場から猫の鳴き声がします。

 それがのんびりとした声だったら気にめなかったようですが、その鳴き方が普通ではなかったのです。


 どこか必死に助けを求めているような声。


 作者さんが声を頼りに猫を探すと、どうやら駐車場に停めてある車のボンネットのなかからするのが分かります。


 8月の出来事ですから、真夏ということもあり、気温も相当暑かったことでしょう。猫も暑さで必死に助けを求めていたのかもしれません。


 とりあえず、作者さんは猫に「猫ちゃん」「出ておいで」と呼びかけてみます。ですが、一向に出てきません。どうやら、入ったはいいものの、出られなくなっているようです。


 それでもことをしているうちに、車の持ち主が手芸店から出てきます。

 車の持ち主からしたら、見ず知らずの人が自分の車に向かって「猫ちゃん!」と呼びかけているので、不審な様子でしたが、事情を話をしているうちに、作者さんに車のキーを預けて猫のことを任せてしまうのです。


 こうなったら、作者さんが何とかするしかありません。


 果たして、作者さんはボンネットの隙間すきまはさまってしまった猫ちゃんを助け出すことはできるのでしょうか。



【感想】

 猫がボンネットのなかに入る話、時折聞きます。

 隙間を通ってせまいところに行くのがよいのか、入った先にある狭い空間がライバルとか天敵から身を守れる場所なのかは分かりませんが、そこから出られなくなることもしばしばあるようです。


 今回はゴオルドさんのお陰で、車の持ち主はそれほど苦労なさらなく済んだようですが、もし自分が、その車の持ち主と同じような状況に遭遇そうぐうしたら、本当に大変だなと思います。


 それにしても、車の持ち主の方が、「見ず知らずのゴオルドさんに車のカギを預ける」という行動、中々すごくないですか?


 その方が細かいことに頓着とんちゃくしなさすぎるのか、ゴオルドさんがとても善良な方に見えたのか、その両方だったのかもしれませんが、猫の状況も大変だけれど、人と人とのやり取りもなかなかすごいなと思いながら読みました。


 さて。

 今回のお話は、実際にゴオルドさんが猫を助けるお話ですが、皆さんは同じ状況になったとき、猫を助けるほうでしょうか。それとも助けないほうでしょうか。


 個人的に、野良猫をはじめ、動物を保護される方には尊敬の念をいだきます。

 とても、真似まねできません。


 その理由の一つに、私の中で動物に関わることや、彼らの生に人間として手を出すことは、その命に対して責任を負うこと、つまり「手を出すなら、最後まで面倒を見る」必要があるという考えがあります。


 手を出して、中途半端にかまってやっても、結局お世話する気が無くて可哀かわいそうなことになるなら、手を出してはいけない――。

 冷たいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的にはそう考えているので、そういうものなのだと思ってください。


 一方のゴオルドさんは、猫に対して優しさを向けた後も、その責任を負うことを決めて行動し始めます。

 それが、本当にすごいなと。ただただ、感服しました。

 

 これから読もうと思う方には、ゴオルドさんの明るい考え方と、優しさにじーんとみ入る気持ちになりながら、当初持っていた「3万円」がどうなったのかも気にしながら読んでいただけたらいいなと思います。


 感動のなかにも、ちょっとした笑いのツボがあるのが、いつもながらゴオルドさんの作品のいいところです。

 猫を助ける話、気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。


 今日は『たまたま3万円持ってたので野良猫を保護した話』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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