3月 March

第39話 『蝸牛と翡翠壁』 鐘古こよみさん

〇作品 『蝸牛と翡翠壁』

 https://kakuyomu.jp/works/16817330652006435832

 

〇作者 鐘古こよみさん


【ジャンル】

 詩・童話・その他


【作品の状態】

 3,000字弱の短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし


【作品を見つけた経緯】

 こよみさんの作品集を図書館のように利用していて、面白そうなタイトルだったので読んでみることにしました。


【作品を一言で表すと】

 蝸牛かたつむりが、横に長い翡翠色の壁の端まで踏破とうはしようとするお話です。


【感想】

 硬い感じの文章から伝わってくるのは、物語の重厚感。ですが、だからと言って難しい内容ではなく、子どもにも通じるお話です。個人的に、親子で読むのがいいんじゃないかな……と、そんなことを思いました。


 さて。

 物語の主人公は、蝸牛かたつむり。皆さんご存じのように、のっそりと歩く生き物です。


 蝸牛は歩くのは得意なようなのですが、その遅さゆえに、当初あった目的地をずっと前に忘れた模様。(歩くのは遅いのに、忘れるのは早いんだなと、つい突っ込んで読みました 笑)


 行き先を忘れた蝸牛ですが、道はずっと続いているので歩き続けます。そこに意味があるかなど、蝸牛は分かりません。でも、じっくりじっくり歩いて行きます。

 そのうちに、蝸牛は美しい翡翠色ひすいいろの壁に出合います。


 壁というと、何となく乗り越えるものだと思いますが、翡翠色の壁は横に長かったため、蝸牛はこの壁の端まで行くことを目標とします。そうすれば、一族に「噂され、褒めたたえられる」と思ったのでした。


 そうと決まれば、進むだけです。

 蝸牛はまず壁をよじ登って、歩くのにいい位置まで辿たどりつくと、そこから長い長い道を歩んでいきます。

 しかし、あるときその壁が動き出すのです。さて、それは何だったのでしょうか。そして蝸牛は壁の端までたどり着いたのでしょうか……――という、お話です。


 この作品は、読んだ人によって違った捉え方ができる面白いお話だと思います。


 蝸牛の行動に無意味さを感じる人もいれば、そこに意味を感じる人。蝸牛の行動を見守る者に注目する人もいるかもしれません。


 今の自分が、どのキャラクターに当てはまるかによっても、見方が変わるのではないかなと思います。

 そのため、あえて私がこの作品を読んでどう思ったのかは書かないでおこうと思います。


 この作品を読んで、ご自身がどう思うのか。

 その辺りのことを楽しんで読んでみて欲しいなと思う作品です。

 

 今日は『蝸牛と翡翠壁』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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