第22話 『文字喰ふ虫の備忘録』 真名鶴さん

〇作品 『文字喰ふ虫の備忘録』

 https://kakuyomu.jp/works/16817330664384069302

 

〇作者 真名鶴さん


【ジャンル】

 エッセイ・ノンフィクション


【作品の状態】

 連載中。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 たまたまランキングを見た際に、エッセイの週間ランキングで1位になっていたのと、その内容が面白そうだったので読んでみることにしました。


【ざっくりと内容説明】

 作者さんが日々思っていることが綴られています。


【もしかすると気になるところ】

 私は気になりませんでしたが、行が詰まっているので、人によってはそこが気になるかもしれません。


【感想】

 カクヨムには色んなエッセイがありますよね。

 創作論系のものもありますし、日常を綴ったものもあります。また、仕事のことや、料理のことを発信している方もいらっしゃって、いつも興味深く読んでいます。


 今回ご紹介する『文字喰ふ虫の備忘録』は、作者さんの考えをしっかり出していながらも、読者に寄り添うような書き方をされている、物静かで熱い思いのあるエッセイです。

 内容の好みは人それぞれかと思いますが、個人的には共感できる部分もありましたし、面白いなと思えるところが沢山ありました。


 例えば「多分脳は筋肉で構成されている(第2話)」の項目では、次のようなことが書かれています。


**********

 本業においても、私生活においても、人に「やってみたら」とすすめると、何かと「でもこういう風だから……」と言われることが多い。しかもこれ、向こうから何か良い方法はないかと聞きに来ても言われるのだ。求められて絞り出したというのに、お断りをされる。


 もしやそんなにも的外れな発言だっただろうか。それならばそれで仕方がないということなのだが、ならばどんなアドバイスが欲しくて相談をしてきたというのだ。

(『文字喰ふ虫の備忘録』より引用)

**********


 この文章を読んだとき私も全く同じような経験があって、「同じ気持ちです」と大きく何度もうなずいてしまいました。


 私の場合は、職場で「料理をするのが面倒」という話になったときにそれは起こりました。

 小学生の子育てをしている同僚から、「息子は実家でご飯を食べさせて、自分は帰ってからうどんをゆでて食べているんだ。楽だけど、最近飽きてきた」という話を聞いた後に、「何かいい方法がある?」と言われたのです。

 そのため、「お米を炊いて冷凍庫にしまっておけばいいんじゃないですか?」(私はお米派なので)と言ったら、「それこそ面倒だよっ! おかずも作らなくちゃいけないじゃん」と一蹴されてしまったんです。

「それだけは一番ない」と強く否定されるので、「いや、だったら聞くなよ……(笑)」と呆れ半分で思ったということがありました。


 何がわずらわしいかは人によって違うわけで(私にとってはお米を炊くのが一番楽)、「どんな回答が出るかなんて人それぞれでしょうに……」と思ったんですけど、相手の反応を聞いて悶々もんもんと考えた末に、「ただ自分の大変さを共感してもらいたかったのかな……」と思ったり思わなかったり……。


 そんなときに、「多分脳は筋肉で構成されている(第2話)」を読んで、素直な気持ちが綴られているのに好感が持てるのと同時に、自分と同じ気持ちを客観的に見て、「そう思ったことに、『いいね』と言いたいな」と思えるところが、この作品のいいところなのではないかなと思いました。


 それから、「蓼食う虫も好き好きという(第1話)」では、作者さんが「読書という部分で見れば雑食」という話をしていたんですけど(「雑食」という表現も面白いですよね)、エピソードの最後に書かれていた一文に共感しました。


**********

ただ今日は何を思ったのか、チョコレートを食べながらついまじまじと箱に書かれていた食品成分表示を読んでいた。

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 私も同じようなところがあるので、うん、うん、と頷いて読んでいました。


 食品成分表示は、何が入っているのか気になって読むこともありますけど、「あるから読む」みたいなこともよくあって、「分かる!」と思いながら読みました。あとは商品説明や注意事項なども読みます。敬語の表現の仕方など、お店それぞれの書き方があって「面白いなぁ~」と。


 ……と、脱線してしまいすみません(汗)


 エッセイの内容は、基本的に「書く」「読む」というのがテーマで、それに関して作者さんが普段思っていることが飾り気なしに語られています。


 どんな内容か気になった方は、読んでみてはいかがでしょうか。


 今日は『文字喰ふ虫の備忘録』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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