8月 August

第8話 『ストップ詐欺被害 わたしは騙されそう』 来冬 邦子さん

〇作品 『ストップ詐欺被害 わたしは騙されそう』

https://kakuyomu.jp/works/16817330654209208795

 

〇作者 来冬 邦子さん


【ジャンル】

 エッセイ。


【作品の状態】

 2,600字程度の短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし。


【作品を見つけた経緯】

 小烏さんがこの作品のレビューを書いていらっしゃったのですが、タイトルに「まず、読め!話しはそれからだ!」とあったので、まずは読んでみることにしました(笑)


【ざっくりと内容説明】

 作者さんが詐欺被害に巻き込まれそうになる話です。 


【この話を読んでいて思い出したこと】

 かなり前のテレビ番組の話です。

 それには『ドラゴンボール』という作品で、孫悟空などの声優をされている野沢雅子さんがゲストとして呼ばれていました。

 どういう話の流れだったか、「誰からだか分からない電話を取ったとき、どう対応するか」について、話されていたんです。野沢さん曰く、いつも孫悟飯(幼少期)の声で「えー、ぼくわかんなぁい」「しらなぁーい」みたいな感じで対応していたとのこと。

 それを聞いた司会者が「え、電話の相手にバレませんか?」と聞いたら、「バレない、バレない(笑)」と笑ってました。そして、何事もなく電話が切れるとのこと。

 そんなもんなのかなと当時は話を聞いていましたが、詐欺師の人もさすがに「孫悟飯っぽいなぁ……」と思ったら、騙す気も失せそうな気がしますよね(笑)



【感想】

 タイトルを見るとすぐにどんな話か想像つくと思いますが、作者さんが詐欺被害に合いそうになった話です。


 詐欺被害、横行していますよね。警察、銀行、コンビニ、自治体などなど、誰もかれもが「詐欺に気を付けてください」と注意喚起しているせいか、逆に人々は警戒を忘れてしまっているところもあるのかもしれません。


 さて。

 作者さんは、普段から防犯対策として電話を留守電にしていらっしゃいます。しかし、その日は偶然にもスマホが嫌いな叔父さんからの連絡を待っていたために、留守電を解除し、かかってきた番号も確かめずに電話を取ってしまうのです。


 ここで分かるのは、電話を取らないことがいかに被害に合わないか、ということ。これまで作者さんは電話番号もきちんと見て受話器を取ってきたので、詐欺の電話を取ったことがなかったようでした。しかし、「叔父さん」の存在があったために取ってしまったんですね。(叔父さんが悪いみたいに書いてしまっていますが、悪いのは詐欺の電話を掛ける人です……)


 今年、NTT東日本とNTT西日本が70歳以上の高齢者(家族が同居している場合も可)には、ナンバーディスプレイを無料提供するということがニュースになっていました(期間や人数制限の有無などは調べていないので分かりません)。今更感がすごくある一方で、これをまた悪いことに利用する人もいるんだろうなと思うと(調べてみたらすでにそういう詐欺が出てきているようです)、やっぱり自分で気を付けるしかないんだろうなと思います。


 話を戻しまして。

 電話を取ってしまった作者さんは、受話器越しに「医療費還付」の話を聞きます。「還付金」と聞いて喜んでしまった作者さんですが、読んでいる読者は「待って、待って! それこそ詐欺の常套句じょうとうくですよ!」と思わず突っ込んでしまいます。ああ、作者さんに声が伝わったらとめてあげられるのに、ともどかしい気持ちになりながら読み進めていくと――さて、どうなってしまうのでしょうか。


 この作品の良いところは、作者さんが実際に経験したことを元に「ここに気を付けてください!」と提示してあるところ。「自分はだまされない」と思っている方も、こういう被害報告を聞いておくだけで注意するところに気づけるはずです。


 また、読み物としても面白いです。銀行の名前などは実際のものではないものが使われているんですけど、それが面白いネーミングで、つい笑ってしまいました。

 気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。


 今日は『ストップ詐欺被害 わたしは騙されそう』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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