第44話 『シュレディンガーの箱』 秋待諷月さん

〇作品 『シュレディンガーの箱』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093073382477139

 

〇作者 秋待諷月さん


【ジャンル】

 恋愛


【作品の状態】

 1,500字程度の短編・完結済。


【セルフレイティング】

 なし


【作品を見つけた経緯】

 カクヨムサーフィンしていて見つけました。


【ざっくりと内容説明】

 短いので省略。


【その他】

 KAC2024参加作品。


【感想】

「シュレディンガー」と名のつくタイトルを見ると、つい「どんな風に料理されたんだろう」(偉そうですみません……)と思って読んでしまいます。


 私の作品紹介をずっと読まれている方であれば、「シュレディンガー」もしくは「シュレーディンガー」という名前がついたタイトルをいくつか紹介してきたことを覚えているかもしれません。個人的に好みの主題なのだろうなぁと思います。


 そして「シュレディンガー」(以下「シュレディンガー」という表記を使います)に関することといえば量子理論のこと。ですが、文学がまじわるところは、大抵思考実験の「シュレディンガーの猫」というのを用いており、今回の作品も同様の考え方を使った内容になっています。


 今回「シュレディンガーの猫」について初めて知る方もいらっしゃるかもしれませんので、私としては三度目か四度目くらいの説明を改めてしようと思います。


 ですが、正直この作品は「シュレディンガーの猫」が分からなくても、ちゃんと面白いように作ってありますので、面倒だなぁと思った方は以下★まで飛ばしてくださいませ。


 ちなみに説明はざっくりとはいえ、以前より上手くなっていると思うので(笑)、前も読んだことあるよという方もお時間がありましたら読んでみてください~。



     ☆


 さて。

「シュレディンガーの猫」というのは、シュレディンガーという人が考えた思考実験です。ゆえに「シュレディンガーの猫」という名前がついています。


 実験には箱を使います。この箱はふたを閉めると、「中の状況が分からない」というもの。透明ではないので、中の状況を確認するためには、蓋を開けなければいけないということです。


 その中に放射性元素を一個と、生きた猫を一匹入れます。

「放射性元素?」と、急に難しくなった感じがしますが、とりあえず箱にはこれらが入ったと言うことだけ分かれば大丈夫です。


 箱に猫を入れるのは、一時間放置し、その間に放射性元素が放射線が検出されるのを待つため。そして放射線が検出されると、箱には毒ガスが出て、猫が死ぬようになっているという話です。


 思考実験ですから実際にはやっていないとはいえ、猫好きの方には特に嫌われそうな実験です。


 この実験で重要なのは、「二つの状況が重なってしまっている」ということにあります。


 仮に毒ガスが出なければ猫は生きています。一方で、毒ガスが出れば猫は死んでいます。


 ですが、最初に「箱は蓋を閉めると、中の状況が分からない」と言いました。つまり、猫の状況がどちらにあるのかは、観測つまり箱を開けて確認してみなければ分からないということ。

 そのため、確認するまでは、「猫が生きている」と「猫が死んでいる」の二つの状況が重なっていることになるわけです。


 シュレディンガーは量子の重ね合わせというのがあり得ないと考えたために、このような思考実験を考えたという話なのですが、まあ、その辺りのことはスルーしてくださって構いません。


 重要なのは、「二つの状況が重なっていること」。


     ★


 さて。今回ご紹介する作品は、恋人同士の男女のお話です。

 

 女性は恋人とベンチに座っています。そして彼女が気になっているのは、恋人のシャツの左胸に入っている四角いもの。きっと婚約指輪が入っているリング・ケースだろうと察するわけです。


 ですが、それを見る(=観測する)までは本当に婚約指輪が入っているかは分かりません。つまり、ここで二つの状況が重なっていることになるんですね。


 女性は、回りくどい言い方をする恋人に、心の中でツッコミをしながらも、じっとそのときを待ちます。


 そして、彼はついに箱を取り出すのです。


 しかし……!


 ハッピーエンドのはずなのに、「え⁉」「嘘でしょう!」と思うような驚きの展開が待っているお話です。


「どういうこと?」と思った方は読んでみて、「確認」してみてください。きっとその理由が分かって「なるほど」となるはずですから。


 今日は『シュレディンガーの箱』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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