第24話 『爽涼染秋』 三寿木 春さん
〇作品 『爽涼染秋』
https://kakuyomu.jp/works/16817330664387408836
〇作者 三寿木 春さん
【ジャンル】
俳句です。(詩・童話・その他)
【作品の状態】
完結済。97字。
【セルフレイティング】
なし。
【作品を見つけた経緯】
鐘古こよみさんのレビューを拝見していたところ、こちらの作品を見つけました。
【ざっくりと内容説明】
97文字しかないので、省略します。
【感想】
俳句に関して、私はたまに名句を読んだり、歳時記を見るくらいで詳しくはありません(一応、夏井いつき先生が書かれた、初心者向けの著書は数冊読みましたが、うろ覚えです 笑)。
でも、たった17文字に秘められたものを読み解き、その先にある風景などを想像するのは、大変趣深いと思います。
俳句は読み解くのに時間がかかるので、沢山連載されているのは私にとってハードルが高くて中々読み始められないのですが、この作品はたった三句だけだったので気軽に読めました。
どの句にも季語がきちんとあって、俳句の大切な要点が抑えられているので(……と私は感じました)、初心者の私でも分かりやすかったのかなと思います。
個人的にはどの句も面白く感じました。
最初の句は落ち着いた雰囲気で、二番目は余韻を楽しむ感じ。最後の句は、多分作者さんが持っている面白い面が出てきているのかなという、上手く言えないんですけど……味のある句だなと思いました。
本当は全部の句について語りたいのですが、それをしてしまうと、『爽涼染秋』へ訪れる方が減るような気がするので(汗)、一つだけ読んで思ったことを書こうと思います。
――天高し ピストルの音 昇りゆく
『爽涼染秋』に出て来る、二番目の句です。引用させてもらいました。
この句を読んで最初に思ったのが、「戦争」のこと。
毎日のニュースが争いごとなので、「ピストル」という単語からそんなことを思ってしまったんですよね。(まあ、「ピストル(=拳銃)」のイメージがマイナスの方にあるので仕方がないですが……)
ですが短い説明を読んだら、全然違っていて「運動会」のことでした(笑)
自分の中で「ピストル」=「戦争」になっているのにはちょっともやっとしましたが、「運動会」の話だと思ってほっとしたのと同時に、浮かんだイメージが楽しいものになって良かったなと思いました。
さて。
「運動会」のことを詠んだ句だと分かってから、改めて内容を読み取ってみます。
季語が「天高し」ですから、秋の晴れ渡った空を高く感じ、空気が澄んでいるのも分かります。
そして「秋」に「ピストル」といえば、「運動会」でしょう。
最近は春に行われることもあるようですが、今も秋に行われているところもありますし、私の「運動会」のイメージも「秋」なので思い描いた場面として問題ないかなと思います。
ピストルの合図によって、リレーとか徒競走などの競技が始まるわけですが、始まりの音が空に向かって響き、余韻を寄こしているのが印象的です。もしかすると、火薬のにおいも感じるかもしれません。
あとは作中の説明にもあるように、張り詰めた空気がこの音によって弾け飛んで、わっと子どもたちの元気な声が一気に広がるのもその後に想像できます。
最近は、電子音でスタート音を出す学校もあるようなので、それが主流になっていくと、この俳句の描く風景も見られなくなるのかなとか、今、小学生とか中学生の子たちが将来この俳句を読んだら、きっと情景が思い浮かべられないだろうな……とかなんとか、そんなことも想像して楽しみました。
俳句の説明も本当に最低限の情報しかないので、自分が思い描く風景を楽しみながら、三つの句をじっくり楽しむことができるのではないかなと思います。
今日は『爽涼染秋』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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