『私と執事とカエルの王子様』 鐘古こよみさん
〇作品 『私と執事とカエルの王子様』
https://kakuyomu.jp/works/16817330658161708245
〇作者 鐘古こよみさん
【ジャンル】
現代ファンタジー
【作品の状態】
6,700字程度の短編・完結済。
【セルフレイティング】
なし
【作品を見つけた経緯】
こよみさんなので、いつもの理由です。
【ざっくりと内容説明】
女子格闘家アイドルグループに所属する「私」と、魔女に呪いをかけられた王子さまを助けるべく奮闘する執事こと「鉄男」のお話。コメディです。
【登場人物(?)に……】
蛙が登場します。苦手な方はお気を付けを。(といっても、大人しくしているので、それほど問題はないと思います 笑)
【感想】
どこからツッコんでいいのやら(笑)、と思うほど、冒頭からインパクトのあるお話でした。
まず、「玄関を開けたら執事風の格好(のちに本当の執事であることが分かるのですが)をした男が土下座をしている」ところから始まります。きちんとした格好をしていたとしても、さすがに玄関の前に土下座はびっくりしますよね。
よって主人公の「私」は「そんな人知りません」と警戒するわけです。
実際その執事とは初対面だったわけですが、彼は「私」が誰であるか知っているんですね。それもそのはずで、「私」は地下アイドルの女子格闘家(←説明が合っているのか若干自信がないのですが……)の「
本来ならば話を聞かないとは思うのですが、電光リリィは格闘家でもあるため、何かあったらキックを一発入れればいいやと、近くの公園で話を聞くことになります。
執事服を着ていた男の名は、日々原鉄男。
そして彼はとある国の王子に仕える本当の執事で、魔女の呪いにより姿を変えられてしまった王子を、電光リリィの口づけで元に戻してほしい――というのがこのお話です。(しかも王子が姿を変えられてしまったのは執事のせい)
読むと分かりますが、設定(もしくは情報)が盛り沢山です(笑)
登場人物に付加された設定を的確に
また、作者さんが意図したものかは分からないのですが、作中で色々なものが対比関係になっているのも面白いです。
「電光リリィ」と「執事」の服装。青と黄という補色関係。それと執事と魔女の気に入った相手に対する態度。
折角なので、三つ目のことについてちょっと語ってみようと思います。
執事は保険業を生業としているようなのですが、契約件数を増やすために近づいたのが魔女だったわけです。そして彼女は執事のことを気に入って、色々要求をしてくるようになるんですね。しかし、執事は「無理!」と言って逃げ出してしまったことで、王子の姿が変えられてしまいます。(王子の生活を支えるためにやった仕事なのに……笑)
大切な王子を蛙に変えられてしまった執事は、彼を元の姿に戻すために、「私」である「電光リリィ」を応援するようになります。王子に口づけをしてもらわなければならないためにやったことなのですが、これが執事、王子、電光リリィの三者にとって功を奏するほうに動いていくんですね。
魔女が呪いをかけた方向とは違って、いい方向へ向かっていきます。
それから、知っている人は知っているみたいな知識がちょこっとあります。(もちろん、分からないまま飛ばしても問題ないようになっています)
例えば電光リリィが所属するアイドルのグループ名が「ベヒモス」になっているんですけど、多分旧約聖書に出てくる陸の獣のことかと思います。すごく強そうな名前に、格闘家とはいえアイドルでもある彼女たちのグループ名に付けるにはあまりにも強い印象で思わず笑ってしまいました(笑)
「ベヒモス」はゾウかカバがモデルになっているとされているそうなのですが、のちに登場する「コバルトヤドクガエル」の毒がゾウをも倒してしまうとも言われているんですね。そのため、何となくここにも繋がりがあるのかな……なんて思いながら読みました。(私の勝手な読みなので、この辺りはテキトーに聞き流してくださいませ)
それから蛙が登場します。
先ほど申し上げた「コバルトヤドクガエル」ですね。検索してみて見ました。「コバルト」という名が付くのもなるほどなと思うほど青々しく、確かに色そのものはきれいかなと思います。でも、これが自然界にあるとちょっと不気味な感じが……。やっぱり自分を守っているのだろうなと思いました。
それともう一匹登場します。
「モウドクフキヤガエル」です。こっちもゾウを倒してしまうほどの猛毒を持っているとのこと。ちなみに、「モウドクフキヤガエル」は黄色です。
二種類の蛙が登場するのは、作品の大事なキーポイント(?)だからです。
そのあたりも含めて、読んでみてください。途中までとてもいい盛り上がりをみせているのに、ズコーッと滑るくらい意外過ぎる展開を迎えます。
笑える話をご所望の方は楽しめるのではないかなと思いますので、気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。
今日は『私と執事とカエルの王子様』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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