11月 November
第26話 『蜂に推される』 ゴオルドさん
〇作品 『蜂に推される』
https://kakuyomu.jp/works/16816927861306796088
〇作者 ゴオルドさん
【ジャンル】
現代ドラマ
【作品の状態】
完結済。4,000字弱の短編。
【セルフレイティング】
なし。
【作品を見つけた経緯】
ゴオルドさんの作品はこれまでも読んでいて、また何かないかなと訪問したところ、こちらの作品を見つけました。
【ざっくりと内容説明】
主人公とアシナガバチとの交流を、ゴオルドさんらしいタッチで描かれた内容です。
【感想】
ゴオルドさんのエッセイや、ご自身の体験をベースにした作品を読むのは、これで五作品目になります(数え間違えでなければ)。着眼点が面白く、ゴオルドさんらしい表現で語られるところがいいなと思い、いつも楽しく読ませてもらっています。
さて。
今回読んだ作品は、『蜂に推される』話です。
キャッチコピーや作品概要から察するに、主人公である「無職の女性」が「蜂に好かれるんだろうな」、ということは分かるかと思いますが、一方で蜂に好かれるってどういうこと? とも思いますよね。
それについて少し説明したいと思います。
主人公の「私」は無職の女性。日中は自宅の家庭菜園に
あるとき、「黄色と黒のストライプ、つるっとしたお尻と長い足のアシナガバチ」(『蜂に推される』より引用)が庭にやってきます。調べてみると、「よほどのことがない限り、人を襲わないのだという」(『蜂に推される』より引用)ことが分かったそうです。それ以来「私」はアシナガバチの邪魔にならないようにしながら、庭の手入れをするようになります。
お互い干渉しない日々が続き、夏を迎えたある日。
「私」が庭に水をやるために用意しておいた、陶器の
最初は、主人公が庭に姿を現すと一目散に逃げていたアシナガバチですが、危害をくわえる人物ではないと判断したのか、彼女がいても気にせずに水を飲むようになっていきます。
さらに「私」は、アシナガバチが来るようになると自らヒシャクに水を入れて差し出すようになります。すると彼らは律儀に順番待ちをして、ひしゃくから水を飲むようになるのです。「まるでアイドルの握手会のようだ」と書いてありましたが、言い得て妙な表現に、うん、うん、と大きく頷いていました。
季節はさらに過酷さを増し、「炎暑」となったときのこと。
「私」はいつものように、アシナガバチとささやかな交流を行っていたのですが、その庭に若い男が一人訪ねて来るのです。
話を聞くと「冷やし饅頭」の営業マンだということは分かったのですが、「私」は面倒に思いながら、彼の質問を適当にあしらいます。ですが、はっきり言わないと分かってくれない人なのか中々引き下がってくれず、さらに質問も変なものばかり投げかけてきます。イライラが募る「私」。さあ、どうなってしまうのでしょうか――。
……と、続きが気になった方は是非読んでみてください。
主人公の「私」とアシナガバチとの交流が、思いがけぬ結果をもたらします。
私は虫のことは詳しくないのですが、この作品の「私」とアシナガバチとの交流の様子を読んでいると、虫が生きていくためにどういうことをしているかというのも垣間見えて、面白いなと思いました。
アシナガバチが「私」のことをどう思っていたのかは分かりません。
蜂を大切にしている養蜂家が、蜂の生態を知りながら愛情を込めて付き合っていくことで、蜂は子孫を残し、養蜂家が蜂蜜を得るという関係は、お互いの利益があってこそではありますが、そこには「信頼」に近いものがある気がします。
蜂という存在は、動物よりも心を通わすなどということができるか分からない存在ではありますが、「私」が彼らのテリトリーを犯さないように気を付けたり、彼らが求めるものを与えたりするというものの先には、「信頼」といえるほどのものかは分かりませんが、それに似たような何かがあるように感じました。
今日は『蜂に推される』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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