第4話
頭の中で、宇宙が湧き、猫が不思議そうな顔をしている光景が浮かんだ。
「脳は正常に動作しているが、心臓、肺、胃、肝臓と、内臓は殆どが機能停止状態。微弱に……ほんっとぉぉぉぉに微弱だが、活動はしているのだがまぁ……死んでるって表現でも間違ってないな」
「えぇ……そんなんほぼゾンビじゃないですか」
「ハハハ。あながち間違っていないな」
「しかし、では何故小鳥遊さんはこのような感じで、普通に生きてるのでしょう。例え生き返ったとしても、人は臓器機能が無ければ動くこともままらないとおもいますが」
「そうだな……少年」
「はい」
名前を呼ばれたので返事をする。
「君は、ヒロインということをどれだけ知っているか?」
「……あまり、詳しくは無いのですが────」
ヒロイン。それは、現代兵器が全くもってアビスに対し通じなかった頃、綺羅星のように現れた人類の守護者。
アビスの出現と共に、新元素『魔力』を生まれながらにしてその体に持ち、血戦兵器『ジャガーノート』を用いて戦場に舞う乙女達。
魔力は何故か、女性の体にしか存在が確認されず、男性に魔力が宿っていた一例など存在しない。
故に、ヒーローの女版、ヒロインと何時しか呼ばれ始めるようになったのが、45年ほど前の話である。
「────とまぁ、本当に初歩中の初歩……新聞で見た事しか知らないです」
「ふむ、まぁそんなものだな。魔力を生まれながら持ち、ジャガーノートを振るい、アビス倒す可憐な年頃の少女達『ヒロイン』は、魔力を宿しているからか、普通に身体能力が高く、それは内臓機能も強化されている」
「……具体的に言うと?」
内臓の強化とも言われても、あまりピンと来ない。何だろうか。アルコールデトックスの強化とかかな。
「めちゃくちゃ簡単に言うが、いっぱい食事をとるのに、全く太らないとか」
「それは────普通の女の子ならばめちゃくちゃ羨ましがりますね」
何それすご。実質ゼロカロリー的なあれ?なんでか知らないけど、隣にいる花火先輩がめちゃくちゃドヤっている気がする。
「沢山食べても太らない……幸せですね」
「ヒロインは魔力消費もあってカロリー消費は激しいからな。逆に、沢山食事を取らないとどんどん痩せていき────脱線したな」
ゴホン、と咳払いをする学園長。キリッと目付きを変えるが、先程までは花火先輩達と変わらない女子高生のようだった。
「まぁつまり、それが今少年の体の中で起きているということだ」
「……?」
「あの……学園長」
頭を捻る。いや、言っていることは理解できるのだが……さっき聞いた説明からではありえないだろ?
「その言い方ですと、小鳥遊さんの体に魔力が宿っているというふうにしか聞こえないのですが」
「その通りだ月下花火」
「おわっ!?」
学園長が机をダンっと勢いよく叩くと、俺の足元が突然と揺れて反射的にバックステップを踏む。月下先輩も驚いて同じように下がったが、俺ほど露骨では無い。
黙って見ていると、先程俺が立っていた位置からほんの前の床が開き、中からゆっくりと台座がでてくる。この部屋ってどれだけハイテクなんだろうか。
その台座に乗っていたものは、あの時俺を見つけた少女が持っていたようなでっかい武器。しかも三つ。
どれも似たようなデザインをしているが、大剣、斧、槍と三つの種に別れていた。
これは、まさか──────
「少年────そこに、三つのジャガーノートがあるじゃろ?」
「どうしてオー〇ド博士……」
月下先輩、ポ〇モン知ってるんだ……。
「こ、これがジャガーノート……」
やべぇ……カッケェ!!ちょっと無骨なデザインで、そんなに派手な装飾とかはされてないが、でっかい武器ってなんか男心擽られるよな!少しワクワクしてきた。
「まさか、学園長!」
「花火、君の目から見て、少年は何か問題を起こしそうか?」
「い、いえ。小鳥遊さんは紳士的で、側にいると謎の安心感があって落ち着いて、話も楽しいですし、私は充分に信頼は置いてますが────」
「なるほど?だから少年と二人で海を見ていた時、楽しそうに会話していたのだな?」
「み、見ていたのですか!?」
「当然だろう。まぁ本当に念の為で、流し見程度だったが、まぁ如何せんアオハルとした空気出していたからな」
え、何。月下さんは学園長の意図が読めているようだが、俺は全然読めないのだが。
「なら、大丈夫だろう。なに、何かあればチョン切ればいいのさ」
「何を!?」
いまさっきあからさまに俺見ましたよね!?何を切るんですか!?
「さて少年」
「え、この流れで話進めます?」
「君には今、二種類のルートがある」
あ、無視ですかそうですか……。
「一つ。このまま何もしないで無抵抗に拘束され、我が学園自慢の研究者達に研究されまくるか」
「えー……」
うわぁ……それはなんか嫌だなぁ……。
「二つ。そのジャガーノートを手に取り、我が学園に入学し、人類の守護者として一緒に戦うか」
「は……?」
え、この人今なんて……?
顔をゆっくりと月下先輩の元へと移動させると、目が合う。しかし、何故かは知らないが月下先輩の顔は少し赤くなっており、慌てて目を逸らされた。
え、なんかちょっとショック……。
返事がない俺を、迷っているのかと思ったのか、学園長は立ち上がり、俺に手を差し出した。
「少年────君も、ヒロインにならないか?」
………ゑ?
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作者は単純で、純粋な可愛い作者の子なので、応援コメントとか貰ったらめちゃくちゃやる気出ますのでどうか星評価と応援、出来ればコメントの方をよろしくお願いします。
しゃあ!言わせたいセリフ言わせれたぁ!(ジャガーノートの下り)
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