第2話

 ギフト『リンカー』。その概要を簡単に説明するならば『人と人を繋ぐための中継点』と言ったところだろうか。


 電波を飛ばずための電波塔のような役割だと思ってくれればいい。


 さて、では人と人を繋ぐとは一体どういう意味かと言うと、まぁ在り来りにいえば『何でも』である。


 視界だったり、身体能力だったり、魔力だったり、そういったものだが、最もメジャーな使われ方はやはり『視界同調』だろうか。


「おぉ……すっごいなこれ……変な感じ……」


「慣れるまでは時間が掛かるだろう。少しじっとしとくか?」


「いえ、動いているうちに慣れると思うので、パパっとやりましょう。皆の活躍を少しでも見ないといけないので」


 右目で、今まで見ている俺の両目の景色。左目で、三枝さんが見ている両目の景色。と言った感じ。なんて表せばいいか絶妙に難しいところだが、頑張って表情するならこれ。一気に脳に入ってくる情報が増えたので、少しだけ違和感があるが、今の体であれば直ぐに対応してくれる。


「むっ、動きがあったぞ」


「向かいます」


 なぜ、メジャーなのが視界同調だけなのか。その理由はリンカー発動中の使用者の負担がかなり少ないという面にある。


 このギフトを発動すると、対象の人物を完全にアジャストするために、身体構造が情報の波として頭の中に入ってくるらしい。繋げる部位が多ければ多いほど、使用者の負担は大きくなり、最悪三日ほどまともに動けなくなるほど脳がオーバーヒートしてしまうらしい。


 よって、普段の戦闘では視界を同調させ、未だに俺は見た事がないが、ヒロインの必殺技とも言える『レボルト・フルバースト』の成功率を大きくあげるという重大な役割を持っているため、ギルドメンバーに一人はこのリンカー持ちのヒロインが居るのが望ましい。


 さて、それじゃあ現在三枝さんは何を見ているのかというと、この雛罌粟女学校の自治区として一般人の立ち入りを禁止している幅広い森の、至る所に浮遊してあるステルス搭載ドローンから送られるカメラ映像である。


 雛罌粟女学校の周りも、当然スポットとしてアビスをおびき寄せる面もあるので、普通に危ないため一般人は近づかない。それを利用してクソオオカミ共はこれ幸いと人目につかない為好き勝手やってるらしい。


 まぁそれは我々ヒロイン側も同じだけど。


「その近くにドローンがあるはずだ」


「目視しました。斬ります」


 クソオオカミ製のドローンの構造は把握している。遠くからでも情報を得るためか、拡大性の高いカメラを前方にのみ配置している。


 つまり、死角からの攻撃に弱い。この為だけにこっそりと渚様に空輸してもらった留守番だったはずの愛機『蛇腹剣アロンダイト』をしっかりと構える。


 シュッ、と軽く振りしっかりとカメラの死角部分からドローンを真っ二つにする。


「ムッ、祐樹くん。七番のドローンが森の中に隠れているハイエナの姿を確認したぞ。少し脅してやれ」


「いいのですか?」


「構わん。去年は私もやった」


 ほならええか~、と墜落したドローンを持ち上げ、メモリースティックをぶっ壊す。


 七番のカメラは……この方向だな。


 それでは、ピッチャー振りかぶって────投げました!!









「部長。早速一機、墜落されました」


「ふむ、まぁ予想通りだ」


 視点変わって、森の中にこっそり隠れているフェンリル研究員。


「毎年毎年ご苦労な事だな栗花落校長も。予備のドローンも出せ。確実に実験体モルモット達の情報を集めろ」


「了解」


 フェンリルの研究員の全員が全員ではないか、ヒロインからそこそこ嫌われているのは承知の上だ。実際、攫ったヒロインが復帰してるのを何度も見ている幹部連中は、次々破壊されて行っている支部がヒロインの仕業だと当たりをつけている。


 だが、それを公表しないのは簡単だ。公表すれば、エルドラド側が握っているフェンリルの今までの非道な実験の証拠があれやこれやと出てくるのは目に見えている。


 そうすれば不利になるのは自ずとフェンリル側の方だ。ズブズブに癒着している一部の政府連中ならともかく、国民からのバッシングは避けられない。


「余さずドローンを出せよ。何度も実験に耐えられる素体を必ずしも見つけ────」


 バン!!バチュン!!


「────な、いと………」


 高速で、顔の横を通り、木にぶつかり粉々となった無機物。


 祐樹が大きく振りかぶったドローンだったものが、奴らの元へと届いた。


「………………部長、どうしますか」


「……………………場所を移動するぞ。暫くは別働隊に任せる」

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