第9話

「!?」


 背筋がブルりと震え、悪寒の正体である奏多さんを見る。


「……?」


 しかし、当の本人は可愛く首を傾げるだけ。……気のせいか?


『お疲れ様。これにて一応終了なんだけど……念の為に聞くけど飛び入り参加大丈夫だよ。まぁ、さっきの見てやりたい人がいるとは思えないけど』


「飛び入り参加……?」


「去年も一応ありましたね。まぁ参加者はいなかったわけですが」


 なんのための飛び入り参加枠がどうかは知らないが、まぁあんな実力見せられたら確かにやる気無くなるよな。


 ──────だけど。


「……裕樹さん?」


 さっきから、体の奥が熱いんだ。力が漲るように、高揚感が全身を包んでいる。


 例え届かなくとも、俺はあの人と戦ってみたい。


 席の下に置いてある鞄からジャガーノートを取り出し、状態をチェックする。使った回数は戦闘訓練の一回だけだから特に問題は無さそうだ。


「んじゃ、行ってくるわ」


「え、ちょ、裕樹さ────危な!」


 美音様をどかし、そのまま二階から飛び降りてフィールドに着地する。トントンとつま先を地面に叩いてから花火様と見つめ合う。


「……まさか、最後の相手が裕樹さんとは思いませんでした」


「花火様たちの戦っている姿を見ていたら、熱くなりましてね。それに、花火様と心の底から手合わせをしたいと思っている」


「勝てると?」


「まさか。今の俺では逆立ちしたって貴方に勝てないでしょう……男としては少々複雑ですが」


 花火様が強いのは知っているが、男である俺が弱いのは少しばかし恥ずかしい。まぁ、あと少ししたら恥ずかしいとも思う暇もないだろうが。


「花火様、勝手ですが、胸をお借りします」


「分かりました。存分に貸してあげます」


 右足を引き、ジャガーノートを持っている手を引き、突きの構え。


 俺のジャガーノートは槍型。突いてよし、殴打するもよしの武器を扱ったことの無い俺からしたら、最も扱いやすい武器。


 とりあえず、力任せでいいからな。


 これまで観察していて、花火様から攻撃を仕掛けていない。何せ彼女はカウンター型であり、一撃を受けてからその上で相手を叩き潰すというやり方。


 一目見ただけでパワー、スピード、技術力を見極められるその観察眼は、あっぱれとしか良いようがない。


 ならば、先程凛がやっていたように俺も高速で動くヒットアンドアウェイ戦法でやるしかないか。


「ふぅぅぅぅ」


 長く息を吐いてから、相手の呼吸を見る。花火様の構えは自然体。どうぞいつでも、という彼女の声が聞こえてくるようだった。


「────そこ!」


「!」


 強く地面を蹴ると、バキャリと地面を踏み砕く音を弾けさせながら花火様に突貫。常人ならば、俺の姿は一瞬で花火様の目の前に移動したかのように見えるだろうが、彼女は俺の姿をしっかりと捉えている。


 ガキン!と腕に振動を受け取ったあと、一度距離を取ろうとしたがその前に花火様が距離を詰めてくる。


「っ、グッ!」


「お見事。いい反応ですね」


 俺の槍先をスライドさせながらそのまま花火様が攻撃に移る。横凪の一撃を、何とか頭を下げることによって回避し、スライドさせられた勢いを利用してそのまま回転。遠心力を利用してそのまま──────


「あまり遠心力を利用するのは良くないですよ。回転は、実力者の前なら立派な隙になってしまいますから」


「は!?」


 ─────勢いに乗る前の俺の腕を優しく受け止める花火様。今度な上段から花火様の一撃が来る。


「やべっ……!」


 大きく後ろにジャンプして一撃を回避。大分手加減してくれているようで、普通だったら先の一撃で俺は終わっていただろう。


「……あっぶな」


 額から冷や汗が流れる。流石にここまで手も足も出ないとは思っていなかった。強すぎるだろあの人。本当に同じ人間?


 あとそれと、分かりきってはいたことだがやけにジャガーノートが。違和感があると言った方がいいのか、攻撃しようとする時に頭がどこかチクチクと痛くなり、動きが少し鈍るのである。


 態々仕切り直しにしてくれたのだ。ここは一旦もう一度冷静になって──────


「ぐっ……!」


 ヂリッ、と首筋が燃えるように痛い。あまりの痛さにジャガーノートを落としてしまい、幹部を押えながら膝を着いてしまう。


「ぐっ……が、あぁぁ……!」


「裕樹さん!」


 異常を感じた花火様が駆け寄り、背中を撫でてくれる。気遣いをとても嬉しく感じるが、今はそれどころでは無い。


 何だこの感覚……いや、感情か……っ!


 誰だ……誰なんだよ……っ!


 !!


 無意識的に、花火様の後ろに視線を移す。何となくだが、という謎の確信がある。


 そして、、と空間がねじ曲がり、そこから超巨大な刃物のようなものが花火様に向かって振り下ろされようとしていた。


「っ!花火様!」


「!」


 花火様を守るために、急いで抱えあげてから奴の正体を見る。


 ビシっ、ビシっと空間を切り裂くように図体が現れ、現れたのは両腕が超巨大な刃物になっているカンガルーのようなだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 戦闘シーン難しすぎて頭ハゲちゃう。


 P.S えーい☆次話書きたいから投稿しちゃえ☆

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