第8話

「ねぇねぇ、今日暇?俺らと遊ばない?」


「お金ならこっちが持つから、どう?」


「……………………………」


 小鳥遊祐樹、15歳。現在、生まれて初めてナンパをされてます。


 渚から女装セットを借りて、完璧にメイクまでされた俺は誰がどう見ても美少女へと変身。思わず航でさえ唸るほどのぱーぺき美少女となった祐樹改め悠菜ちゃんなのだが、どうやらぱーぺき過ぎて厄介なのに絡まれてしまった。


 スマホに向けてた視線をチラリと外して精一杯俺の気を引こうとしてる二人組を見る。まぁ明らかにチャラ男。チャラチャラとしたネックレスとか、金髪とかにして『いかにも俺ら金持ってますよ』アピールをしている。


 今までこれに釣られらた人とかいるのだろうか。てかここにいる時点で待ち合わせ確定だろうがボケナス。こいつらの目は節穴かよ。


 周りを見ても、こっちを気の毒そうに見て直ぐに視線を外す人ばかり。航達を待ってもいいんだが、別に俺だけで対処してもいい。一番効率的なのは金的か。


 攻撃力高そうな厚底ブーツ履いてるし、ぶっちゃけ再起不能な一撃を出せそうではある────まぁ潰してもいいか!


 そう思い、少しだけ右足を引き、チャラ男共の股間に狙いをつけようとした瞬間。


「────ティンときた!!」


「え」


「「は??」」


「そこの麗しき君!少し私とお話しないかい?」


「は?」


 思わず声が出た。ボイスチェンジャーは付けているので、声を女性なのだが素が出てしまった。


 一旦まずいかと思ったが、急に俺の手を掴んだおっさんはそれも気にせずに捲り立てる。急すぎてチャラ男達も固まってるじゃん。


「君にアイドルの才能を感じた!どうだい!もし良ければ是非私の事務所に────」


「お、おいおいおっさんちょっと待てよ!」


「その子は俺らが先に目を付けたんだから引っ込んでろよ!」


 あーあーあー、俺そっちのけで言い合い始めたんだが。


「ういっすー。面白いことなってんじゃん」


「ナンパされるとかおもしろすぎるだろ」


「趣味が悪いわね」


 一応口調は取り繕いながら、遠くで眺めてたこいつらに一言言っておく。本当に趣味が悪い。親友が困ってるんだぞ。少しでも助けようとする素振りをなー。


「この子は俺らと遊ぶの!」


「ふんっ!どうせ○○○○自主規制目的のくせに何を偉そうに!見ろ!この原石を────っていない!?」


「今日どっちから行く?」


「カラオケだろ。休憩したい」


「相変わらずの体力の無さね」


 三人をほっぽいて歩く。しかしカラオケか。なんだかんだ久しぶりだから楽しみ────


「ちょ、ちょっと!どこ行く────は?」


「私、馬鹿な人は嫌いなの」


 連れがいるというのに俺に手を伸ばして来る男にアイアンクローをキメる。そしてそのままゆっくりと力を入れる。


「二度は言わないわ。失せなさい」


「………………ウッス」


 パッ、と手を離すとそのまま膝から崩れ落ちるチャラ男一号。指をポキポキ鳴らしながらチャラ男二号を見たら震え上がった。


「失礼お嬢さん。私はこういう────」


「あなたも同じ目にあいたいのかしら?お・じ・さ・ま?」


「────さらばだ!いずれゆっくりと話をしたいものだ!」


 ったく。無駄に目立つことになっちまったこんちきしょう。


「ちなみに、さっきの人ガチでアイドルプロダクションの社長さんだぞ。見たことある。知らないか?773プロ」


「「知らん」」


「そうだよな。お前らはそういう奴らだったわ………」

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