第4話

「マジでコスプレ大会ってなんだよ……というか、内容知らんの?」


 奏多は小さい頃からこの瑠璃学園でヒロインになるために、英才教育を受けてきているはず。


「はい。中等部はこの時期、海外にある姉妹校に合宿をしに行くんです」


「海外!?」


 驚いた。え、というかまって姉妹校?そんなのあるの?


 そんな顔をしていたからか、コホンと咳払いをしてから懐からメガネを出してかけた奏多。この前、凛に対して数学を教えてからハマったのかな。


「さて、では一つ問題といきましょうか祐樹さん。現在、世界でアビスと真正面からぶつかり合ってもなお、国土が30年前とほぼ変わっていない国を、日本以外に三つ答えてください」


「え?まぁ一つはアメリカだろ?」


 なんならあそこはアビスが現れはじめた50年前くらいから国土がそもそもそんなに変わっていないらしいからな。あそこだけでカナダとメキシコのアビスをほぼ全滅状態にまで追いやり、なんなら現在進行形で南アメリカ大陸の救援までやっているらしい。


 そこのトップエルドラドは、魔力量が80以上でないとそもそも入学試験を受けることも出来ない超エリートな『ラ・ローズ・ドゥ・モリナールフロンティアスクール』である。名前からして強そう。


「そんで、次はドイツ」


 ドイツの技術力は世界一ィィ!!とは誰が言ったことか。最初期ジャガーノートを設計し、今でもジャガーノート製造技術力は世界でも常にトップを走り続けているドイツである。


 世界一のジャガーノートシェア率も誇り、ドイツ所属のエルドラド一つ一つに、スポンサーとなるジャガーノート製造会社がバックにいて、高性能ジャガーノートが使い放題。


 それの暴力でアビスと真正面からドンパチやり合っていて色んな意味でぶっ飛んでいる。


 ドイツにはこれといってトップエルドラドが存在しない。強いて言うならば、世界一の技術力を誇るジャガーノート製造会社である『ラタトスク』がスポンサーについている『コルンブルーメナショナルスクール』だろうか。


「そして、ラストはイギリス」


 海から出てくるというアビスの特性があってもなお、軍隊のような統率力と破壊力で、四方から来るアビスもちぎっては投げちぎっては投げを繰り返しているイギリス。


 イギリス王室でかつ、ヒロインに覚醒する人は必ず強力で唯一無二のレア物ギフトに覚醒するという特異な性質を持つ向こうのヒロインは、その女王を中心とした戦術を得意とする。


 トップエルドラドの名前は『シャムロックキングハイスクール』である。うむ。名前が強い。


「正解です。流石に知っていましたね」


「まぁここはな」


 いくら生前、ヒロインに興味があまりなかったとはいえ、中学の頃に腐るほど世界地図の比較とか教科書で見たからな。


「さて、そんな三国にある姉妹校ですが、なんと凄いことにトップエルドラドと姉妹校なんですよ?」


「マジ?」


「大マジです。なんと、初代瑠璃学園学園長が、その三校の初代学園長の人達と同じ戦場に立ち、姉妹の契りを交わしたのだとか」


「はえ~」


 圧倒的数のアメリカ。技術力のドイツ。統率力のイギリス。そんな日本が、どの部分でこの三カ国に並んでいるのか。


 それは『圧倒的個の力』である。


 花火様含め、この瑠璃学園に在籍する半分の生徒は、平均的なエルドラド×7校くらいの実力を持っている。


 目の前にいる奏多だって、メガネをかけてふふん!と可愛らしい顔をしているが、この時点でも恐らく3校ぐらいの実力を有している。しかも、これでもまだ成長途中だ。


 ちなみ言うと、のちのち聞いたことであるが、東京御三家の正白百合と雛罌粟にも、瑠璃よりかは数が少なくなるが、そのくらいの実力者がいるらしい。


 うーん、魔境かな?日本、思ったよりもぶっ壊れてんなぁ。


 あぁ、ちなみに言うと花火様の実力なのだが、あの人一人で小国なら制圧できるくらいの力がある。


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女子校に入学させられた俺の心情を答えよ~但し、この世界は謎の怪物に襲われており、俺は一度死んでいるものとする~ 結月アオバ @YuzukiAoba

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