第3話
「……………………え、本当に裕樹くん?嘘じゃなくて?」
「いや俺だって。まだ信じられない?」
その後、教室に戻った俺を待っていたのは小鳥遊裕樹改め、小鳥遊悠菜鑑賞会。こっち向いてー!キャー!目線くださーい!などなどの黄色いに歓声を浴びながら、俺もちょっとノリノリでポーズを取っていた。
んで、それが終わって、落ち着いてしばらくしてからの、凛からの第一声がこれである。
仕方ないので、ボイスチェンジャーを弄り、元の声に戻してからウィッグも取った。
「あら、本当に裕樹さんですね………あの、その格好でいるのは流石に不自然すぎます」
「ダヨネ」
見た目男が女子制服着てるのは流石に違和感が凄いよね。奏多に言われたので大人しくウィッグをもう一度被り直した。
「しっかし、裕樹くん、女装したらそんなに似合うのねー」
「ねー。高身長イケメン王子様タイプ!」
「メイク技術って凄いわーホント」
男の俺でさえこんなに可愛くなれるんだからな。びっくりしたわ────ん?
「凛?おい、凛」
「えっ、柔らか────本物?」
「んなわけあるか」
「痛い」
いつの間にやら、俺の偽乳を両手でしっかりと揉んできた凛の頭を叩く。本物なわけあるか。PADだわ。
しかし、凛って以外と他人の胸に執着するというかなんというか……前だって、奏多のをトランポリンにして遊んでたし……。
一体どうして────あ。
「え、何?急にすっごい馬鹿にされたようた気がするけど」
「気のせいじゃね」
大丈夫大丈夫。凛はまだ高校一年生なんだから、これからでっかくなるよ。
「はいはい。いい加減に落ち着けお前達。本来、この時間何するか分かってるだろう?」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
火蛇穴先生が、バンバンと教卓を叩くと、蜘蛛の子を散らすように皆が席に着いていく。
「さて、そこの色男のせいで予定が狂ったが────ヒロイン大運動会に誰が出るかの選出をするぞ」
東京御三家が合同で行うヒロイン大運動会。俺たち一年生は、東京の足立区にある『雛罌粟女学校』にお邪魔する予定だ。
一斉に移動すると、一般の人達に迷惑がかかるので、各々が班を作り、現地集合という形になっている。大運動会が始まる三日前に、少しずつ少しずつ移動をするのだとか。
さて、気になる種目なのだが、やはり一般高とは違い、ヒロインであるからこその種目まみれになっている。超障害物競走や、ジャガーノート演武、オリジナルジャガーノート発表会などなど、名前から想像出来るものもあれば、出来ないものもある。
だがしかし、俺が一番気になったのは────
「奏多」
「何でしょう?」
「コスプレ大会ってなに?」
「さぁ?」
────大々的に書かれた、コスプレ大会であった。え、これ全員参加????
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