第2話
「ふむ…ふむ……裕樹さん、素材は普通に────いえ、とてもいいので、メイクしたらガラリと変わりますね」
「ウィッグはロングでも大丈夫ですか?」
「ほいほい」
ソファに座り、されるがままにメイクをされていく俺。かぽっ、と頭にウィッグが嵌められた感覚。
「とりあえず、現段階の裕樹さんです」
「うん、誰?」
俺の目の前に渚様がどこからか取り出した手鏡を見る。綺麗にメイクされた俺、黒髪ロングのウィッグと相まって大和撫子系清楚美人が誕生していた。うん、誰?
「え……えぇ?……これが俺?」
「どうぞ、こちら制服です。お着替えは向こうでどうぞ」
「あっはい」
いつの間にか用意されていた、保健室にあるような仕切り。何故か胸部分がいくらか膨らんでいる制服を受け取り、仕切りの中に────
「一応言いますけど、覗かないで下さいね」
「…………………………………大丈夫です」
────入る前に、顔だけ覗かせて三人の方を見る。すると、めちゃくちゃ長い間の後に花火様が返事をした。
これ、覗く気だっただろ。
男の着替えシーンなんて、なんの得にもならんだろうに、と思いながら渡された制服一式をとりあえず広げてみる。
当然、今俺が来てる、男子用に改造されたものではなく、ごくごく皆が来ている普通の制服で、当然スカート。大した羞恥心何てものは、一度死んだ時にどっかいってしまったので、シュルシュルっと服を脱いでいく。
「………っと、最初は靴下からの方がいいか?」
ズボンを脱ぎ、服を脱いで、ワイシャツだけの状態で、これを使えと言わんばかりの椅子に片脚を置いて、靴下を履く。
ニーハイ?ロングソックス?まぁ太ももまでありそうなくらいに長い靴下を履いていく。
スカート、そして上の服と来ていき、少し後ろ首と襟元の空間を空けて、服の中に入り込んだ髪をファサッと出してから、軽く首を振る。
最後に、身だしなみを軽く整えて────
「あぁ、この胸のやつパッドか」
今気づいた。下を見ると、丁度つま先がギリギリ見えるくらいにこんもりとある二つのお山。これどくらいあるんだ?カップ数の見分け方とか知らんぞ。
最後に、長月さんから受け取ったボイスチェンジャーを首元にはめて、着替えは完了。
「終わりましたよー」
「…………なんかあれだな。普通に可愛いな」
「はい。よく似合ってますよ」
「なんで長月さんは少し不服そうなんですか」
「いや、なんか最初から凄いコレジャナイ感がな……」
なんすか。長月さん的にはもうちょっと恥ずかしがって欲しかったんすか。先生、俺死んでるんすよ。
「ていうか、このボイスチェンジャー今更ですけどどうやって使うんです?」
「ボタンがあるだろう?そこを押すといい感じに変えてくれるぞ」
「いい感じに」
アバウトすぎる。とりあえず少しだけ首を上げてからポチッと押す。
「あー……あー……お、これ本当に変わってますね」
「口調も、出来るなら変えた方がいいかと。ボロを出さないためには、なりきることも重要ですよ」
「口調……あー……おハーブですわ~~!!」
「……本当にそれで行くんですか?」
「やめときまーす」
エセお嬢様語で行こうとしたら、渚様にすっごい微妙な目で見られたためやめる。
「んー……んー……こほん、とりあえず、キャラが固まるまでは敬語キャラで行こうと思います」
「ふむ……まぁ及第点か。大運動会まで1ヶ月ほど猶予はあるからな。その間に決めておけ」
「はい」
んー……とりあえず、誰も基準とするか、だな。凛や奏多、ひづみ、胡桃……アシュリー様、は色々とまずい気がするのでやめておこう。
「とりあえず、これから始業式だ。全学年にお披露目するぞ」
「──────はい?」
『えー、これからヒロイン大運動会の間だけ女装することになった、小鳥遊裕樹改め、
「「「「「「「「………………キャーーーーー♡♡♡♡♡♡♡♡♡!!!」」」」」」」」
「ぎゃー!鼓膜ー!!!」
俺でなかったら破れてたぞ!直ぐに再生したけど!
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皆様、台風の影響は大丈夫でしょうか。私はこれからではじめる頃なので、大人しく家に籠ってVRChatしてます
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