癒しと水着と定期テスト!
第1話
「少年。少し休みな。あなた疲れてるのよ」
「え」
この学園に入学して、三ヶ月がたった。三ヶ月も経てば、初心者と言われていたヒロイン達も、メカアビス師匠のおかげにより、戦場に出ても大丈夫なくらいには強くなる。
その間、俺がアビスとしてぶっ壊したフェンリル研究支部の数は三つ。マジでどこから入手したか分からない、長月さんの情報網を頼りに、救えた命の数は17人。
そして、一人のヒロインを俺の手によって介錯した。
もう、辿り着いた頃には体の殆どがアビスと化しており、意思疎通も不可能な状態だったため、せめて苦しませないように天へと送った。
作戦を終わらせ、昨日帰ってきて朝イチに長月さんから呼び出されたと思ったらこれである。それどこの構文なんです?
「えーっと……?」
「少年。君がいくらフェンリルの人間共をカスでゴミで生きる価値のないクソ生物で、殺しても何も感じないと思ってたとしても、心は摩耗するものだ」
「………」
いや、確かにそう思ってはいますが、半分くらいそれ、長月さんの本音では?
「瑠璃学園も、例にもよれずもうすぐ夏休みだ。その間、少年には出動を禁止する」
「………え?この学園に夏休みという概念あったんですか?」
「そりゃあ少年。春休みがあるなら夏休みもあるだろう」
何を言ってるんだね、と言いたげな顔をする長月さん。確かに、言われてみればそれもそうか。
「夏休みは、この瑠璃学園を離れ実家へ帰る生徒もいる。もちろん、帰らないで学園で訓練する戦闘きょ────ゴホン、真面目な生徒もいるが七割の生徒は里帰りをする」
「………里帰り」
「さすがに、君の出身地には戻れないが……そうだな。どこか適当に旅をしてみては────いや、やっぱダメだ」
自分で言ったセリフを即座に首を振って否定する長月さん。
「そんなことしたら、旅先で見つけたフェンリル研究支部を破壊しかねん」
「……そんな事ないですよ」
「本当か?おい、顔を逸らすな。少年!目を合わせて首を縦に振るんだ!」
ヤダナーソンナコトスルハズナイジャナイデスカー。
結局、監視が付けられました。解せぬ。
「所で少年。夏休み前には、この学園でも期末テストがあるが……勉強してるか?」
「時間だけは有り余ってるので、暇な時間は勉強してますよ」
いくらヒロインとはいえ、将来のための勉学は必要なため、普通に授業はある。まぁ授業スピードがめちゃくちゃ早いためかなり難しい。昔の俺だったらついていけずに、速攻で机に頭を引っつけて寝ていただろうな。
それに、五月くらいにあった中間テストでは、いい点数が取れて、学年でも上位だった。一位が奏多なのは流石といった所だろう。
「ならいいが、万が一赤点とったら補習だからな補習」
「いやぁありえないと思いますがね」
この学園に通う子達は皆真面目だし。俺はともかく、この学園に赤点になりそうな人なんて──────
「はい、それでは凛さん。先程出てきた公式を使って、この問題を解いてみてください。あ、ちょっとした応用もありますからね」
「ふぇぇ……」
──────いた。
「以外だな。まさか数学が出来ないとか」
「凛さんは中学の時から数学だけ出来ないんですよね。他は完璧なんですけど」
期末テストが近づいているということもあり、時間割がテスト勉強に充てられた。もう来週からテストなので、やるとしても最終確認。なので、学園で勉強するもよし、寮で勉強するも良しという、自由登校期間となっている。
そこで、なんと一つ事件が発生。適当に校舎を歩いていたら、教室にて教師になりきり、眼鏡を掛けた奏多が凛に対して授業をしていたのだ。
傍観者であるひづみと胡桃さんに聞いてみたら、どうにも凛は数学だけが苦手で、赤点ギリギリなんだとか。
「……一応、魔力による身体強化って、多少は脳にも影響して活性化してる。だから、基本ヒロインにはアホの子はいないはず……なんだけど」
「こればっかりは個性ですからねぇ」
「どう!出来たよ奏多ちゃん!」
「……不正解です」
「ふぇぇ………」
……まぁ、数学苦手な気持ちも分からんでもないが。俺も中学生の時は公式覚えきれなくて、そんなにいい点数取れていた訳じゃないし。ぶっちゃけ言うと、今は疑似瞬間記憶能力持ってるから何とかなってるだけである。
なんで点Pが動く速度とか求めないといけないんだよ。大人しくしとけよ。
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申し訳ない。新しい職場で働き出し、本格的に忙しくなったので、投稿頻度が下がります。平日は投稿できないものと思ってください。
エタッている訳ではありませんので、ご安心(?)してください。
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