第8話
「チーム分けは────戦争が起こることが確定しているので、公平にグーパーで決めましょう」
「ごめんね」
うん、決して自惚れてなんかいないけど、それ原因俺だね。提案してくれた胡桃に謝っておく。それと感謝。チーム分けって聞こえた瞬間に、奏多と凛の目が光ったんですわ。
完全に、捕食者の目でした。
「「「「ぐっとぱーで────」」」」
厳正なるチーム分けの結果。
「よーし!いっくよー裕樹くん!」
「おーう」
「頑張りましょうね、裕樹さん」
「良かった。残念だけど裕樹くんと一緒じゃなくて良かった」
俺と奏多ペア。凛と胡桃ペアで、じゃんけんにより最初のサーブ権は向こうのチームになった。
元気ハツラツと、ボールを持ちながら俺に手を振ってくる凛に対し、漫画で見た感じに構えを作っておく。
俺のバレー知識は昔読んだハ〇キューでくらいしか知らないけど、身体も強化されてるんだし、まぁなんとなるんじゃなる────
「えーい!」
「────は?」
シュパン!ブオン!ドォォォン!!多分、擬音で表すとこんな感じ。
ありのまま目の前で起こったことを話すぜ。凛がジャンプサーブを繰り出したんだ。絶対にビーチバレーではありえないくらいにトスを上げて、ヒロインの力を存分に発揮したジャンプとインパクト。
多分5mは飛んでたんじゃないかな?そこからもう目で追うのもギリギリなくらいのスピードで、俺の顔の真横を通り過ぎて、そのままボールが砂に埋まった。
「もー!裕樹くんちゃんとしないとダメだよ!」
「タァァァイム!!」
こんなの俺の知ってるバレーじゃねぇ!!花火様含めてそこ四人!きょとんとした顔で俺を見ない!
「凛!?何だこの威力!?」
「え?ヒロインのバレーならこのくらいフツーだよフツー」
「そんな訳あるかぁ!!!」
君たちもうちょっと自分たちが世界を見渡しても上から数えた方が早い実力者だっていうこともうちょっと自覚して?そんな君たちが普通なんて語るんじゃないよ!
「花火様!メンバーチェンジで!」
このままだと俺の腕が吹き飛んで即座に再生とかいうありえないことが起こる。メカアビスに対しての実力なら花火様以外になら勝てるが、まだ肉体強度では勝てそうもなかった。
その後、花火様と交代をして、俺が審判を務めたが、何回か風圧で吹き飛ばされたことだけここに記す。
もう二度とヒロイン達とバレーなんてやるか。そもそも球技自体絶対やらん。俺の体が再生してしまう。
「ねぇ、なんで俺の体が砂に埋められてると思う?」
「知らん」
その後、何故か罰ゲームで俺の体が4人の手によって迅速に埋められ、ベンチで休んでいるひづみの隣に、顔だけ出している状態になっている俺。
ちなみに、これ直立ね。え?砂場で特定の深さ以上は掘ってはいけない?ここプライベートだから多分大丈夫だろ。
遠くの海では、花火様達がキャッキャッしながら海を楽しんでいる姿が見える。
『花火様────素敵な夏休みにしてあげます』
「……………」
凛たちとはしゃぎ合い、笑顔になっている花火様の姿を見て、あの時の約束が果たせそうで少し感慨深くなる。
果たして、俺は一体花火様をどう思ってるんだろう。
客観的に見ても、主観的に見ても、花火様は素敵な人だ。強いし、綺麗だし、心が清らかで、どんなことにも負けない鋼鉄な人だ。
そして、俺もたくさん助けられた。ここに来た当初は、献身的にサポートしてくれたし────俺が一度、道を踏み外しそうになった時は、胸を俺の涙で湿らせながらも、優しく抱きしめてくれた。
好き……なんだとは思う。いかに喜怒哀楽がほぼ死にかけだと言っても、蓄積すれば塵も積もれば山となでしこ。
だが、それがLoveかと言われればまた首を傾げる。俺がまだ、恋心を理解していないかと言われれば、「まぁそれはそう」なのだが。
でも、一番この中で特別なのは花火様だ。それは、断言出来る。
「どう、向き合うべきなのか……」
「?」
まだ、夏は始まったばかりだ。
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なんか一週間前めちゃくちゃこの作品読まれてんだけどなんでか皆分かる?一日のPV数が恐らく6000超えてたし、フォロー人数もその二日間だけで200人くらい増えたんだよね。
まぁ、もしかしてだけどフォロー外してた人が戻ってきただけ説もあるけど。
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