第10話

「私、もっと裕樹さんと仲良くなって、お友達になりたいです」


「それはありがたい。俺も仲良くしたいと思ってるよ」


「ほんとですか!」


 流石に、この学校に女の子しかいなくても、友達という存在は物凄くありがたいものである。よく、異性の間に友情は成立しないなんて言われるが、今の俺だったら確実に成立する自信がある。


 だって、性欲ないし。


「そ、それじゃあ!もう少しで丁度12時になりますし、一緒に食堂にいきませんか!」


「別にいいけど……俺、ご飯食べないよ?」


「食べない……?お腹すいてないんですか?」


「いっや~……その~……なんて言うか……」


 俺、一回死んでるから三大欲求ないんだよね☆てへぺろ☆なんて言ってみ?この空気死ぬぞ。言えるわけないでしょーが。


「まぁ……うん。あんまりまだ空いてないかなー。だから、同席するだけになるけど、それでもいい?」


「うーん……でも、ご飯食べないのに席取っちゃって良いんでしょうか……」


「大丈夫じゃないか?確か、上級生の昼休みは30分からだった筈だろ?それまで食べ終われば大丈夫さ」


 一度、花火様から一日の予定表見たいな物を見せてもらったが、確か普段の昼休みは12時30分からだったはずである。今日は入学式だから少し早めに終わるだけであって、上級生達は普通に勉強か、もしくは防衛任務だろう。


「それもそうですね。では行きましょうか!私、中等部からここにいるので、美味しい料理知ってるんです!」


「だから、俺食べないって」


 凛に手を引かれ、教室から出た俺達。美味しい料理紹介されても、食べれるの3日後だよ?





「ここが食堂です!」


「ひっろ」


 結局、食堂に着くまで手を繋いでいた俺達────正確には凛が全然離さなかった。着いた時には、あまりの広さに思わず声が漏れてしまった。


 何ここ、一階部分全部食堂かよ。壁は全面ガラス張りになっており、太陽の熱がどこか心地よい。


「では、私お料理取ってきますね!」


「行ってらっしゃい。俺はどこか適当な所に席取っとくよ」


「お願いします!」


 わざわざ手を振って券売機の所へ向かう凛。それに対して俺も控えめに手を振ったあと、席を探す。まぁ俺らが一番乗りだから席はどこ座っても自由なんだけどね。


「あらいらっしゃい凛ちゃん。今日は彼氏さんと一緒?」


「ち、ちちちち違います!」


 何やら後ろが騒がしいが、二人掛けでちょうどよく対面で座れるところは……お、あったあった。とりあえずここにしとくか。


「どっこいせ」


 椅子に座る際に、おっさん臭い声が出てしまった。特に意識とかしてないんだけど、言っちゃうんだよな。なんでだろこれ。


「ん……?」


 胸元ポケットに入れてある無線機がピリリリリと音を出す。取り出して見てみると、どうやら知らない人からメッセージが入っていた。


「……桐原きりはら……美音みお?」


 差出人は、桐原美音と表示されていた。読み方は多分合ってると思う。ボタンを押して、内容を見た。


『初めまして小鳥遊裕樹さん。あなたに用事があるので、明日の放課後、魔力工作科棟の地下15階まで来て欲しい』


「……地下15階もあるのか」


 とりあえず、了解しましたとメッセージを送る。地下15階……深くない?


「お待たせしました裕樹さん!」


「ん、おかえり。り────」


 声をかけられたので、後ろを振り向いたのだが……。


「……あの、凛さん?」


「?どうしたの?」


「お顔……見れないんですが……」


 ドン!ドン!ドン!と凛が持っているお盆に乗る、どデカい米とサラダの山と、揚げ物山。え、ヒロインは大食漢とは聞いていたけど、まさかここまで!?


 俺、ここ最近は花火様の食生活三食作ってたけど、ここまでの量は用意してなかったぞ!?


「え?……あ……えへへ、私ってすっごく燃費悪いから、これくらい食べないといつも午後の途中でお腹すいちゃうんだ」


「……そう、なんすか……」


 ドン!とお盆をテーブルに置いて、イスに座った後に「いただきます!」と言って早速ご飯をかき込んで行く凛。慌てて後ろを向いて、ご飯を受け取っているヒロイン達の様子を見てみる。


 ……確かに、凛ほどでは無いが皆食うな……。


 チラリ、と幸せそうにご飯を食べる凛を見て、体を思い浮かべた。


 比べれば比べるほど、ヒロインって普通の女の子泣かしである。そうだわ、凛も細いわ……。


「……?どうしたの?」


「いや……まぁ、喉にご飯詰まらせるなよ」


 その後、約10分くらい黙々とご飯を食べる凛を見ているだけの俺がいた。



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昨日はいっぱい星評価ありがとう。大好き。


よーし、読者のために作者更新頑張るぞー!えい、えい、むん!

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