女子校に入学させられた俺の心情を答えよ~但し、この世界は謎の怪物に襲われており、俺は一度死んでいるものとする~

結月アオバ

おいでませ瑠璃学園!

ドキッ!波乱だらけ(予定)女子校入学!

プロローグ

 青い空、白い雲、そして目の前に広がる広大な海。


 素敵だぁ……。これだけ見れば日常風景を彩る一幕として、SNSとかにあげたらプチパズる位には綺麗な光景である。


「……はぁ」


 思わずため息が出る。なんでこうなったんだろうなぁと思いながら、首元に嵌められたGPS付きのを撫でながら、チラリと後ろを向く。


 目が合い、ニコリと微笑まれる。綺麗で美人だぁと思うが、視線を下に向けると俺に向けてスイッチを差し出している。正真正銘の爆破スイッチである。


 信頼されてねぇなぁ……当たり前だけど。


 もう一度視線を前に戻し、景色を見る。そしてため息。


「どうしてこんなことに……」


「まぁ、全ては運が悪かったとしか言いようがないでしょうね」


 俺の独り言に、美人さん────俺が現在捕獲されている、東京湾に浮かぶ海上都市メガフロートにある、瑠璃学園生徒会長の月下花火つきもとはなび先輩が反応してくれた。


 青髪を腰ほどまで伸ばし、金色の瞳は透き通るように綺麗。本当に日本人?と言いたくなるほど日本人離れした風貌で、本当に18歳?と思うほどスタイルがいい。間違いなく、俺が見てきた女の人の中で一番美人である。


 そんな人と、どうして現在同じ海を眺めているという傍から見ればロマンチック。主観からしてみればいつその爆破スイッチが押されるか心配でドキマギしている状態になっているのかというと、昨日まで遡る。


 まず、一番重要な事なのだが、俺────小鳥遊裕樹たかなしゆうきは一度死んだ。


 おーいおいおいおい。お前今生きてんじゃんとかいうツッコミいらんから。まぁ聞いてけって。


 この地球には、『アビス』って呼ばれるまぁなんかよく分からん人類の敵がいる。50年前くらいから人類と抗戦し続けている、生態もどっから来たのかもよく分からん奴ら。


 姿形は本当に様々。地球上にいる生物の見た目だったり、なんかめちゃくちゃ機械チックな見た目だったり、形容しがたいなんかの形をしている奴だったり。


 でも、一つだけ分かっていることがある。それは、アビスは人類を襲うこと。


 俺が住んでいた街に、突如として現れたアビス達。一人で街を歩いていた俺は、逃げ惑う人に背中を押されて転び、そしてそのままアビスに腹を貫かれた。


 あ、俺死んだ。と思いながら意識を失い、そして何故か目覚めた。


 ガバリと勢いよく上半身を起こし、貫かれた腹を見ると、逆再生のように腹が治っていく。


「……え」


「ん?」


 ガシャン!と何かが落ちた音と、聞こえた声に目を向けると、そこには深い蒼色を基調としたコート型制服を来た女の子と、傍にはどう見ても身の丈に合わない長さをした、ゴツゴツの大剣。


 俺の腹と、何故か背中辺りを絶句しながら視線がウロウロしているのをみた俺は、後ろを振り返った。


「あっ……」


 察し。そこにあったのは、どう見ても俺の背中から生えているであろう、意識を失う瞬間に見た俺を貫いたアビスの触手と同じものが。


 さてここで問題である。目の前には状況から見て、人類の守護者である『ヒロイン』と推測できる少女。


 ヒロインとは、アビスを唯一倒せる存在。そんな彼女たちの使命とは、いつの日かアビスを全滅させ、平和な世界を取り戻すこと。


 では、そんなヒロインがあからさまアビスであろうと推測できる俺を見て、次に行動することはなーんだ。


 A.殺すことです。


「どうぞ、殺してください……」


「え!?いや……えぇ!?」

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