第5話

「ぐっ……このガキャァァ!!」


 ぐしゃり。


「………っと、これで三体目」


 二十分後。あちらがアビスアーマー特有の能力である触手を出し、数で攻めてくるのなら、触手には触手を。背中から、奴よりも多く触手を繰り出し、圧倒的数の暴力で押し潰す。


 対処が出来なくなったところで、四肢を拘束し、全身のありとあらゆる所をゆっくりゆっくり締め上げ、使用者を気絶させる。今回は殺しはNGだからな。サクッと殺りたい所だけど、流石に騒ぎになる。


「こいつら、何故どいつもこいつも気絶する瞬間にはガキと叫ぶんだろうな」


「くだらない自尊心だろう。フェンリルでアビスアーマーを装着できるということはそれなりの才能と実力派あるということだからな」


「………!祐樹さん、念の為気をつけて下さい。残りのアビスアーマー装着者が一斉に、祐樹さんの元へと向かってきてます」


「うん、何となくだけど感じるよ明香里さん」


「……?感じる」


 そして、いよいよ今まで謎だった項に感じるピリピリとした感覚。今思えばそうだ。瑠璃学園内にアビスが急に現れた時も。鹵獲していたアビスが逃げ出した時も。


 俺は、アビスの居場所を感じ取れることが出来る。俺に対して攻撃意思を持ち、近くにいるのならば項にピリピリとした感覚が宿る。


 それ以外の時はまだちょっと試行中だが、項に意識を向けるとセンサーのようにどこにアビスが居るのか何となく感じることが出来るのだ。


 これは恐らく、アビス由来の物。アビスはこの感覚を使って仲間と連携を取っているのだろう。


「……どうしますか学院長。ドローンも多数こちらに向かっています。いくら祐樹さんでも、アビスアーマーを処理した後にこの数は……」


「どれ、仕方ない。私が出ようか」


「面目ないです」


「気にするな少年。むしろよくやってくれた」


 ブチッと視界が切れ、元の視界へと戻る。俺と三枝さんのリンカー接続が解除された。三枝さんも出るとなれば、必要ないか。


「イレギュラー確認」


「油断するなよ。連携で、確実に仕留める」


「分かってるさ。捕えれば昇進は確実だからな」


「────弱い狼ほどよく吠える。かかってこいよ三下共」


 ジャラ、ジャラ、と地面を這う蛇腹剣が唸りを上げる。


「上に報告しときな。私達は何の成果も得られないゴミでしたってなぁ!!!」


 腕を振るい、ムチのように刀身を飛ばし牽制。それと同時に背中から触手を出して連携をさせないように分断、そして対処をさせる。


 強化外装にかまけ、中身の訓練を怠っているやつは、視線が狭く誘導がしやすい。触手にいっぱいいっぱいになっている間に、奴らを一箇所に纏めて縛り上げた。


 そしてそのまま、首を強く締め上げて一瞬にして意識を刈り取りアビスアーマーを破壊する。


「………ったく。本当に数だけはいっちょ前にいるんだから……明香里さん、こっちは終わった。三枝さんの援護に回る。ドローン情報をくれ」


「…………………分かりました。情報を送ります……さすがですね」


「これくらい、皆を守るためなら当然だよ」

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