第18話

ゲットしたファンタジーノートパソコンの左奥に電源ケーブルの差し込み口はあったのだが、どこを見ても肝心の電源の規格が書かれていなかったので、ワンチャン背面のタイプC差し込み口で充電できないかとケーブルを挿して放置していたら、無事に充電されたようでパソコンを起動することが出来た。


まず初めに、画面に『電源ボタンを長押ししてください』と表示が現れ、電源ボタンらしきボタンが赤く点滅しはじめた。

表示通り電源ボタンを長押しすると、スマホの時と同じように『しばらくお待ちください』という表示が現れ、特に何事もなく『ユーザー登録が完了しました』との表示が出てからホーム画面が表示された。


「スペックは……まぁ、ファンタジーなパソコンなんだから表示されないか。 OSもこれオリジナルなのかな? 普通に窓のOS入れたいんだけど……。 とりあえず先に、スマホと連携させるか」


というわけでスマホとノートパソコンを連携させる。

ダンジョン内の時と同じようにスマホの画面に『この機器と連携しますか?』との表示が出たので『はい』をタップすると、1秒で『連携が完了しました』の表示が出たので、さっそくどこが変わったのかを確認する。


「え〜っと、『通話』『連絡先』『データ』『マップ』『体調管理』『魔法』……魔法!? いや落ち着け。 治癒魔法の使い方が分からないし、まだ必要だと思わなかったから後回しにしてただろ……とりあえず開いてみるか」


『魔法』と書かれたアプリケーションを開いてみると、そこには『治癒魔法Lv1』の項目が現れた。

クリックしてみると『魔法を使用しますか?』と表示され、とりあえず『はい』を選択すると『使用する端末を選択してください』という表示がでて、選択肢は『スマートフォン型多機能迷宮端末』だけ。

押してみるとスマホの画面に『カメラを対象に向けてください』という表示が……。

恐らくスマホのカメラを向ければいいと思うので、右手でスマホを持ち、左手を画面に映してみる。

すると今度は『全体』『対象部位』という2つの選択肢が現れた。


「魔法を使うのに行程が多過ぎるだろ! 『全体』と『対象部位』ってことは、対象部位は左手で全体は全身に満遍なく治癒魔法を使うってことなのかな? 念のため対象部位でいいか」


『対象部位』をタップすると、スマホ全体が薄く光り、同様に左手も5秒ほど薄く光ってから消えた。

特に怪我をしていたわけではないからか、体に変化は感じなかったが……。


「……凄いな、マジで魔法使えるんだ。 で、これってダンジョン内にノートパソコン持ち込まないといけないわけ? スマホには……あ」


スマホのホーム画面にあるアプリのアイコンは、自由に並び替えることが出来るものだ。

私の場合、よく使うアプリはホーム画面に置いていて、あまり使わないアプリは左にスワイプしたページに置いている。


問題は、最近ダンジョンでよくスマホを使っていたが、普段はパソコンしか使っておらず、スマホはほとんど触っていなかったことだ。

つまりなにが言いたいのかというと、スワイプすると右のページに『魔法』という見慣れないアイコンのアプリケーションが追加されていた。

最初に起動したときにはなかったアプリなので、恐らく魔法を習得した後に追加されたのだろう。


「……ま、魔法が使える様になってよかったね! それじゃあこの、スマホにはない『データ』ってやつも確認しちゃおうかな!」


気を取り直し、『データ』というアイコンを開いてみると、アイテムリストの様な画面が表示された。


「『神秘のパーカー』 『繊細な指輪』『回復のネックレス』『マジックバッグ1-1-1』『装弾射出型魔法銃6-50-10』……これってたぶん、今持っているダンジョンで拾ったアイテムのことだよね?……スマホ以外の」


とりあえず『神秘のパーカー』を選んでみる。

すると画面に新たなウィンドウが現れた。


______________

『神秘のパーカー』

多くの付与が籠められた奇跡の服。


付与

『加護』受ける全てのダメージを少し減少する

『回復』毎秒少し生命力が回復する

『解毒』毒を少し無効化する

『絹肌』肌に触れたときの感触を良くする

『常温』着用者が感じる気温を快適にする

『潔癖』汚れを全て弾く


______________


「……鑑定だー! やっとアイテムの詳細が分かるようになるんだね……このパーカー凄いんだな。 加護回復解毒絹肌常温潔癖……下3つは快適なだけだけど、上の3つはめっちゃいいじゃん。 他のも見てみよう」


『繊細な指輪』

『繊細』の付与が施された木製の指輪。

肉体の器用さが少し上がる。


『回復のネックレス』

『回復』の付与が施されたネックレス。

毎秒少し生命力が回復する。


『マジックバッグ1-1-1』

見た目以上に物が入る不思議なバッグ。


『装弾射出型魔法銃6-50-10』

装填した弾を魔力を使って射出する魔法銃。


「……マジックバッグと銃についてる数字の意味が知りたかったんだけど……」


どうやら『データ』で知ることが出来る情報は、アイテムの名前と説明、そして付与された効果くらいのようだ。


「まぁ、名前しか分からないよりも、多少アイテムの説明があった方が使い方を把握しやすいよね。 なんの付与が付いているのかとか、付与の効果が分かるとめっちゃ便利だし……。 このパーカーとか、流石金の箱から出たパーカーだよね。 めっちゃ着心地がいいとは思ってたけど、こんなに色々な効果があるとは思ってなかったわ」


もっといろいろと考えるべきことはあるのかもしれないが、最近少し頭を使い過ぎたせいか少し精神的な疲れを感じる。

一旦全てを忘れて、ダンジョン関係のことはなにも考えないようにして……とりあえず今日投稿する分の動画を編集することにした。

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