人生詰みかけダンジョン探索 ~お金がなくて人生詰みそうなので、一発逆転を目指して動画投稿を続けながらダンジョン探索始めました!~
ふぉいや
第一章 とにかくお金がないんです……
第1話
「は〜…… 働くのクソだるいわ~。 頭使う仕事とかもっと怠いし、自分の好きなペースで働ける高賃金の肉体労働とかないかな?」
そんな都合のいい仕事があるわけないことはちゃんと理解している。
でも思わずそう言ってしまうほど、今の私でも採用されそうな就職先は低賃金長時間労働のブラック企業しか見つからなかった。
世界で唯一『政策の失敗による貧困国』と言われるこの国は、私が生まれたときにはすでにどうしようもない状態。
外国へ働きに出る人は大勢いるそうだが、外国で働き続けられる人は全体の10%程の優秀な人たちだけだそうだ。
学生時代、真面目に勉強したつもりだが、私程度の凡人ではこの国から出ることすらできなかった。
高校卒業後は長時間低賃金の企業で真面目に働いていたが、約2ヶ月前に会社が倒産。
このご時世、生活保護と失業保険は受給希望者が多過ぎるため、審査が厳しくなったうえに支給金額も大幅に減らされていて、私の失業保険は1ヶ月分の家賃と食費のみで打ち切られた。
税法も改悪され、働いていなくても税金を納めないと財産を差し押さえられるので、そろそろ本気で何とかしないといけない状況。
両親は既に他界、親戚がいるかは知らないが一度も面識がないので、頼ることはできそうにない。
人生詰みかけていることをハッキリと自覚しているが、相変わらず就職できそうなところがいつ倒産するかもわからないブラック企業しかないようなので、今日も諦めて動画サイトを確認。
動画を眺めて時間を無駄にするためではなく、失業している間になにかしらの収入を得られないかと動画投稿をしているので、伸びていないかの確認だ。
当然ながら動画が伸びているわけもなく、動画の再生数はぎりぎり3桁にのる程度。
収益化は諦めた方がいいだろう。
「流行りの無料FPSでもやっぱり伸びないか。 目立つサムネだから3桁再生されているけど、内容が平凡過ぎるからな……ん? 地震かな?」
動画投稿者としての才能のなさに見切りをつけていると家が揺れた。
揺れとしては震度4くらいだと思う。
テレビなんてないのでスマホを確認してみるが、緊急地震速報の通知は来ていない。
ということは震度3か地震以外の揺れということだろう。
「地震とか怠いわ〜。 家が倒壊すればワンチャン死ぬか、災害保護受けられるかもだけど……家の保険とかとっくに切れてるだろうからマイナスが大きすぎるか」
地震の多い国なので今までに何度も地震を経験しているが、揺れでドアのフレームが歪み扉が開かなくなった経験はまだ一度もない。
一度もないのだが、わざわざ避難訓練で教えられることなのだから、きっとそうすべきなのだろう。
揺れてる最中に移動する方が危険だと思うけど、念のため玄関を開くことにした。
私の住んでいる家は、部屋を出て階段を降りると、階段の正面には和室がある。
両親が生きていたころは、両親とも2階の広い部屋で寝ていたのだが、母親が死んだあと、父親はこの和室で寝るようになった。
父親が死んだあと、この和室は一切使っていない。
引き戸もずっと閉めた状態だったはずなのだが……なぜか引き戸が開いて中が見えるようになっていた。
まぁ、引き戸が開いたのは揺れが原因かもしれないのでどうでもいい。
問題は、和室は畳が敷いてあったはずなのだが、ぽっかりと穴が開いているように見えることだ。
「……ナニコレ?」
和室に入って確認したが、完全に穴が開いていた。
穴というよりも、地下へと続く洞窟のようにも見える。
まるでRPG系のゲームに出てくるダンジョンのような雰囲気だ。
「どうしよう……使ってない部屋だし生活には問題ないけど、中からナニか出てきたりするのかな? ……まぁいいか」
とりあえず、まだ揺れは続いているので、先に玄関の扉を開いておいた。
そして開いていた和室の引き戸を閉め、2階の自室に戻る。
やることと言えば1つ。
「『家が揺れたと思ったら1階の和室に穴が開いてて草生える。 まぁ古い家だし、しょうがないのかなクソが!』……送信」
そう、SNSに投稿だ。
流石に写真撮って画像添付はしないが、投稿するために分かりやすく文章化することで、冷静に現状を認識できるのだ。
私のフォロワーはなんと61人!
たまにゲームを一緒に遊ぶフレンドと、投稿した動画を見たうえでフォローしに来てくれた神の様なリスナーだけだ。
当然、リプライはほぼほぼない。
「さて、それじゃあゲームして編集して動画投稿するか。 再生数は流行りのゲームの方が初動の伸びがいいけど、マイナーなゲームの方がチャンネル登録者数が増えやすい感じだし、今日はゾンビサバイバルFPSにしようかな」
見て見ぬ振りをして現実逃避することにした。
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