第3章 まだまだ安心なんてできそうにない
第20話
投稿した動画に対するコメントは様々だ。
『ウンチウンチぶりぶりぶりぶり』から『こいつ絶対チートだろ!死ね!』へ続き、『俺には分かる、こいつのヤバさが』や『なんでこの人キーマウで土下座無双できんの?ヤバいだろ普通に』と本当にバリエーションが多い。
私としては、無双できて見せ場が多い試合だったから動画として投稿しているのだが……。
SNSの方も反応は様々だ。
アダルトサイトのリンクを貼っていたり、よく分からない商品の広告サイトが貼ってあったり、『土下座の修羅が表に出てしまう。鎮まれぇ~!』という変人がいたり……。
まぁ、DMは1つも来ていないので、やはりドゲザーの人気や知名度はそこまで高くないのだろう。
と思っていたら通知が来た。
反応と拡散の通知は切ったので、恐らくDMだろう。
「え〜っと……なんだフレンドさんじゃん。 『めっちゃバズってますねw』……『せやな』っと」
とりあえずバズったおかげで登録者がめちゃくちゃ増えた。
これで収益化を申請できる条件の1つである、『登録者数が1,000以上』はクリアだ。
あとの条件は『一定以上の累計動画再生時間』と『収益化ポリシーの順守』だったはず……。
累計再生時間は、恐らくすぐに達成できると思う。
ポリシーは……恐らく問題ないだろう。
というわけで、収益化の条件を達成したら通知がくる設定にしておく。
達成通知が来たら申請して、1ヶ月くらいの審査を経た後に、収益化の合否が判断された通知が来るはずだ。
「それじゃあ今日も、楽しくダンジョン散歩に行こうかな。 全然宝箱を見つけれてないし、とりあえず1年間はのんびり過ごせるくらいには稼ぎたいな~」
ということでダンジョンへ移動。
動画がバズってテンションも高いので、ウッキウキのお散歩気分でゴブリンを撃ち殺しながら奥へと進む。
撃って殺す方が圧倒的に楽なので、金槌は長いこと使っていない。
ある意味現代人っぽい戦い方ではあると思うのだが、いざというときのことも考えると、もう少し金槌でゴブリンの集団に殴り込みをかけるべきなのだろうか?
そんなことを思いながらもゴブリンを撃ち殺す。
この魔法銃の扱いにもだいぶ慣れた。
この銃は結局魔法で弾を飛ばしているため、反動が発生した時には既に、弾はバレルから飛び出している。
そして1発撃つごとにコッキングしなければいけないので、リコイルコントロールはそこまで考えなくてもいい。
つまり撃つ瞬間に照準が敵に合ってさえいれば、どんな撃ち方でも問題ないのだ。
気を付けるべきことがあるとすれば、銃が吹っ飛ばないようにしっかりと握ること……それだけだ。
「やっぱり銃って危険だな〜。 でもこんな便利な武器を一度使ったら、二度と手放したくはないよな〜。 どっかの国が銃社会になるのも理解できるわ」
そんなことをつぶやきながらもダンジョンを探索し、ようやく今日1つ目の宝箱を発見することが出来た。
「やっと今日1個目の宝箱だ~。 色は銀色! これは期待できるかな? なにがでるかな~?」
銀色の箱を壊す。
中に入っていたのは、若干デザインがスタイリッシュな眼鏡だった。
「眼鏡? ……流石に普通のメガネじゃないよね? 『カメラ』だと……『スマートグラス型迷宮端末連携機器』? ……あれか! 一時期流行ったウェアラブル端末とかいうやつ。 名前的にこれもスマホと連携するのかな? あ、『連携しますか?』って表示が出たわ。 ……お、今回は充電しなくても連携できたじゃん! ……で、どうやって使うの? 眼鏡なんだしかければおっけー?」
というわけで眼鏡をかけてみる。
……特に変化はない。
『カメラ』を終了し、スマホに何か新しいアプリが追加されていないかと考え探してみると、新たに『Gset』というアプリが追加されていた。
さっそく開いてみる。
「え〜っと……パッシブ機能にフォーカスとハイライト? で、アクティブ機能に右レコード左スキャン。 UIに『魔力表示』と『マップ』か……」
ぶっちゃけよく分からなかった。
とりあえず、UIの2つは『オフ』になっていたので『オン』に変えてみる。
すると『94%』と書かれたゲージと、ダンジョンの地図が視界に表示された。
どうやらスマホでこの2つを、視界のどこに置くのかが変更できる様だ。
地図は右下に、『94%』というゲージは左下に設置した。
「パッシブは押してもなにも反応しないけど、アクティブは右と左を入れ替えられるのか。 あぁなるほど。 これ眼鏡の横にあるここを押すと、この『レコード』と『スキャン』っていうアクティブ機能が発動するのか」
レコードは今見ている視界を録画し、動画として保存する機能らしく、何度か押したからかスマホに動画が保存されていた。
スキャンは押しても何も起こらなかったので、もしかするとアイテムかモンスターに対して使用するものなのかもしれない。
というわけで、もう少しダンジョンを探索することにした。
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