第39話
家に帰ってもまだ少し興奮が残っていたのか眠れなかったので、動画を1本投稿してから眠り、目が覚めたのは19時30分という、夜のダンジョン探索をするにはいい感じの時間だった。
軽く夕飯を食べ、体調に問題がないことを確認してから、装備の準備と確認を済ませてダンジョン探索を開始する。
「あと残ってるルートは3つ。 特に何もなければ今日中に探索は終わりそうかな? 行けそうならボス部屋までクリアしておきたいけど……」
地図はあるためダンジョンで迷ったり道を間違えたりすることはないのだが、宝箱を探す関係上、全てのルートを1つ1つ順番に確認しなければならないので、正直めちゃくちゃ面倒臭くて体力的にも結構大変だ。
さらにモンスターと遭遇すれば襲ってくるため常に一定の緊張感があって、ただ歩いて探索しているだけでも精神的にも疲れてしまう。
もう少し体力をつけ、探索に慣れてくれば、もっと早く楽にダンジョンを探索できるようになるだろうか?
まだダンジョンは一月あれば余裕で昼夜両方の探索が終わる程度の広さでしかないが、今後毎月ダンジョンが更新されていき、更新されるたびにダンジョンが広くなっていくとすれば、モンスターに警戒しつつ素早く移動するための方法を考えておいた方がいいのかもしれない。
とりあえず、今日最初に探索するルートの分岐点へと到着した。
ここは既に結構ボス部屋が非常に近く、このルートを進めば行き止まりとなる通路が4つある。
昼のダンジョンではそのうちの1箇所に宝箱があり、その宝箱から『高価な桃の短刀』を手に入れたのだ。
昼と同じ場所には宝箱がなくても、その周辺になら宝箱はあるかもしれない。
あまりにも宝箱が見つからないため、そんな希望を抱きながら通路を確認していくと、本当に宝箱を発見することが出来た。
「やっと宝箱があったわ……色は茶色だけど。 夜のダンジョンは宝箱が少ないのかな? まぁいいや。 なにがでるかな〜? 現金がいいな~」
宝箱から出てきたは、非常に見覚えのある鍵だった。
そう……ボス部屋の鍵だ。
ボス部屋の扉は、昼と夜で違う鍵を使用するんだね!
「はぁ〜……ままええわ。 ボスを倒せば今のところ連続で金の宝箱が出てて、この鍵を使うことで夜のボス部屋に入れるようになる。 つまりこれはチャレンジするための鍵。 ボス部屋のモンスターを倒せばなにかしらのお宝はゲットできるんだから、宝くじ拾うよりは100パーセントマシなはず……」
自分自身にそう言い聞かせながら探索を再開。
他の行き止まりには宝箱がなかったので、少し戻って次のルートへと移動した。
このルートも4つの行き止まりがあり、昼のダンジョンではそのうちの1箇所でサブマシンガンをゲットしている。
きっと今回も宝箱を見つけることが出来るだろう。
「と、思っていた時期が私にもありました。 ふぁっきゅー!」
このルートで見つけたのはクリーチャー3体だけだった。
ということで次、ボス部屋を一旦通り過ぎる最後のルート。
例の1万円札束が入った宝箱を見つけた場所もある通路だ。
そこまで長くはないのだが、通路に行き止まりが6つもあるので、行って戻ってを繰り返すのが非常に面倒。
まぁ、ダンジョンの通路はどこも似たような感じなのだが……。
「宝箱! しかも銀! 通路に置いてあるのはこれが最後かな? なにがでるかな~?」
銀の宝箱から出てきたのは、色は違うしサイズも少し大きいが、見覚えのある丸い石だった。
『スキャン』したところ、『魔法の実』というアイテムらしい。
宝箱の色が茶色ではなく銀色だったので、恐らく『魔法の種』の上位互換的な感じだろう。
さっそく使用する。
「……あ、『体調管理』見ないと何の魔法を覚えたのか分からないのか」
というわけで、久しぶりに『体調管理』のアプリを起動し、確認してみる。
______________
Lv24
身長:170㎝
体重:65㎏
健康状態:良好
特技
・治癒魔法Lv2
・付与魔法Lv1
______________
「付与魔法か……じゃないわ。 なんかいろいろ変わってない?」
ほぼ毎日のダンジョン探索で、ゴブリンとクリーチャーは非常に多く倒していた。
なので、レベルがこのくらい上がっていてもおかしくない。
けれど……なぜ身長が伸びて、体重が増えてるのだろうか?
体重に関しては、単純に太ったとか、毎日のダンジョン探索で筋肉量が増えて重くなったなど、数値が変化した原因はいくつか考えられる。
だが身長は……20歳だと普通、既に骨端線が閉じきっているはずなので、身長が伸びることはないはずだ。
一応、巨人症を後から発症し、成人後に身長が急激に伸びたケースもあるらしいので、レベルアップで伸びた可能性がないとは言い切れないが……。
それよりも、長時間起きていると身長が縮むらしいので、今はまだ身長が縮んでいないだけという可能性の方が高いのではないだろうか?
……寝る前に確認しておこう。
「気になるけど、自覚するほど変化があるわけじゃないし、今はいいか。 それで……治癒魔法は昨日、あいつらの短刀の傷を治したときに上がったのかな? 魔法を使えばレベルが上がるなら、もう少し意識して使っていかないとな~。とりあえず、今は先に夜のボス部屋を攻略しちゃおう。 付与魔法は帰ってからゆっくりと調べたいし……」
予想よりもモンスターと遭遇しなかったからか、体力的にはまだ余裕がある。
付与魔法を覚えたせいで少しハイテンションになっている自覚はあるが、ボス部屋に戻りながら少しづつ冷静さを取り戻し、最後に深く深呼吸をしてからボス部屋へと入った。
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