第16話

今使っているPCデスクと同じ高さのテーブルを作成し、部屋を一度片付けてからPCデスクを設置。

2つのPCデスクを並べて、L字デスクにしたような感じの設置の仕方だ。

デスクにモニターとパソコン本体を置き、電源タップの位置を決め、配線を整理しながらデスク環境を整えていく。

そして、部屋の外に出していたものなども再度配置しなおすことで、今回の部屋の模様替えは完了した。


「う〜ん、いい感じだね。 デスクがいい感じだとゲーミングチェアが欲しくなるな〜。 30万もゲットしたんだし、安めのやつでも買おうかな? なんだかんだゲームと動画編集で椅子に長時間座ってるんだし。 この2万のやつ、買っちゃおうかな。 それと、この筋肉ムキムキの招き猫も買うとして……靴はやっぱり履いてから買った方がいいよな〜。 とりあえず銃の弾と椅子と招き猫は注文っと。 ……まだ夕方だし、今から靴を見に行こうかな。 そんでスーパーに寄って、安くなってる食料品があれば買って帰るか」


ダンジョンで現金を手に入れたので、2日連続で動画投稿をサボっているにもかかわらず、危機感をほとんど持たずに買い物に出かけた。

この危機感の無さの積み重ねこそ、今まで生活が厳しかった主な原因なのだが、人生経験の少なさだけでなく性格的な要因も大きいので、意識したところで簡単に直るものではないだろう。


大型スーパーの中に入っている靴屋で、30分ほどかけていくつかの靴を履き比べ、足に合う靴の中で一番安いものを買い、その後は総菜コーナーで3割引きになっていた揚げ物を買い、食べながら家に戻ることにした。

帰り道、入手した30万円と今日買った物のことを考えてみる。


「ゲーミングチェアが2万、めっちゃ目立つ招き猫が3,000円で、700円の弾と靴が6,000円か……ほぼ3万じゃん。 20万はタンス貯金するとして、やっぱりサイレンサーが欲しいよな〜。 7万以下で手に入らないかな?」


そんなことを考えながら歩いていると、あるお店が目に入る。

『ミーティング』という名前のリサイクルショップだ。

学生の頃に何度か安い家具がないか見に行ったことがあるのだが……。


「忘れてたけど確かこの店、エアガンとかモデルガンを置いていたような……入ってみるか」


というわけで入店。

店の中は昔見た記憶とほとんど変わっていない。


「確かこっちに……あった。 こうして見ると、結構品揃えが充実してるな。 店長がミリオタかサバゲー好きなのかな?」


殺傷能力のないエアガンに興味はないのだが、値段を確認すると、種類は違うがハンドガンで『20,000円』の表示価格……。

リサイクルショップなのでこの銃は中古品だと思うのだが、もしかするとエアガンやモデルガンはお高いものだったのだろうか?


「いらっしゃい。 銃に興味あるの?」


入店からまっすぐこの売り場へ来て、アホ面で銃を眺めていたからか、店員さんに声をかけられてしまった。


「え〜っと……銃は好きなんですけどもう持ってるんで……あ、サイレンサーを付けたいんですけど、ガバメントにサイレンサーをつけるためのアタッチメントとかってあります?」


「ガバメントとは若そうに見えるけど趣味がいいね~。 サプレッサーを取り付けるためのアダプターはいくつかあるよ。 3Dプリンターで作られた安いやつと、金属製のちゃんとしたやつがあるけど……取り付けるサプレッサーは決まってるの?」


あらやだこの店員さん、『サイレンサー』ではなく『サプレッサー』だよという無言の圧力を感じちゃう。

きのこ派かたけのこ派か聞いたら戦争の火種になっちゃいそう。


「いや、決まってないですね。 実際に消音効果が高いやつを付けたいんですけど……」


「消音効果の高いやつか……正直エアガンのサプレッサーは見た目だけで、消音効果は少ししかないんだよね。 それも音を小さくするというよりも、音の質を少し変えて気づかれにくくする感じ。 ガバメントに付けるアダプターはこれでいいと思うけど、消音効果の高いサプレッサーを求めるのなら、自作した方が圧倒的に安く済むと思うよ。 うちで取り扱っているサプレッサーはメーカー品の高いやつばかりだし……」


やっぱりそうなのか……まぁ、とりあえず店員さんがお勧めするように、このアダプターとか言うやつはガバメントの銃口にぴったりはまりそうな感じだ。

値段も高くないし、いつか自作するときに使えるかは分からないが、サイズは参考になると思うので、一応買ってみよう


「そうなんですね。 ありがとうございます。 とりあえずこれ買って、サプレッサーはこれに合うように自作してみようと思います。 あ、ガバメント用のマガジンはありますか?」


「ガバメント用か……エアコキとガス、どっちも2個残ってるよ」


「……こっちを買います」


どうやら私のガバメントはエアコキのガバメントのようだ。

ブローバックしないのは魔法銃だからではなく、元がそういうエアガンだったからなんだね。


「BBローダーは持ってる? 弾込めがめちゃくちゃ楽になるから、持ってないなら買っておくことをお勧めするよ」


BBローダーは、ワンプッシュで弾を何発か込めてくれる便利アイテムみたいだ。

確かに1発1発指で入れるのが面倒に感じていたので、これがあると便利だろう。


「買います」


どうやら今後も、定期的にこのお店のお世話になるかもしれない。

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