第5話

スマホの画面に表示されていたのは、見たことのないロゴマークだった。

どんなマークなのか言葉で表すのなら……脳みそに立てた中指が突き刺さってる感じ?

まぁ、脳みそは正しいのかもしれないけれど、きっと突き刺さっているのは中指ではないだろう。

とりあえずロゴマークは気にせずに画面をタップ。


『画面の中央に指を置いてください』


……指紋認証でもあるのだろうか?

ダンジョンで拾ったスマホとはいえ、拾った物は拾った物。

指紋が違うと通報が飛んだらどうしよう……。


「まぁ、いっか。 これはダンジョンで拾ったスマホなんだから、きっとファンタジーな機能の入った素敵アイテム。 指示通りにすれば問題ないはず!」


というわけで画面の中央に右手の人差し指を置く。

すると画面が『しばらくお待ちください』に変わった。

10秒ほどその状態でいると、画面に『ユーザー登録が完了しました』の文字。

思わず両手を上にあげ、コロンビアポーズをとってしまった。


「登録完了ってことは俺の物でいいってことだよね〜。 それで、スペックはどんな感じかな~?」


ダンジョンで拾ったスマホとはいえ、基本的には普通のスマホと全く同じような操作みたいだ。

ただまぁ、私が今使っているスマホよりも、動作や読み込みがサクサクヌルヌルな感じがする。

SIMカード入れたら認識するかな?

細かいスペックなのだが……設定のどこを見ても、表記がどこにもなかった。

OSのバージョンすらどこにも書いていないので、きっとダンジョン生まれの不思議なOSを積んでいるのだろう。


設定以外に入っているアプリは、『通話』『連絡先』『カメラ』『マップ』『体調管理』の5つ。

まずは『通話』を押してみる。

……通話履歴みたいな画面になったが、使ってないので当然何もない。

次に『連絡先』を押してみる。

これも当然なにもない。


『カメラ』を起動。

……普通にカメラだ。

写真を撮れるし、動画も撮れるようだ。

あまり写真は撮らないけど、動画投稿で知名度が上がれば、SNSで飯テロ画像を投稿するようになるのだろうか?

とりあえず『カメラ』を終了し、ホーム画面に戻る


『地図』を押すと、普通に現在位置を示す地図が表示された。

ただ、私が地図の中心に表示されているのだが、地図を動かして周りを見ることはできない。

つまり、現在位置周辺のことしか分からないみたいだ。

ただまぁ、拡大縮小は出来るみたいだし、これはダンジョンで拾ったスマホなのだ。

もしかするとダンジョン内の地図も表示されるかもしれないので、明日確認してみよう。


最後に『体調管理』を押してみると、次の画面が表示された。


______________

Lv4


身長:168㎝

体重:62㎏

健康状態:良好


特技


______________


「……ステータスじゃないの!? いやまぁ、リアルのステータスみたいなものだけどさ……。 もっとこう色々あるじゃん! パワーとかスピードとか魔法とか! ……まぁ、ファンタジーな力で健康管理出来るんだし、たまに見ればいいか」


というわけで『体調管理』のアプリを閉じた。

一応気になったので、今使っているスマホのSIMカードを入れるところがないか確認したところ……あった。

もちろん入れてみた。

5G通信とwi-fiが使えるようになったよヤッタネ!

もちろんアプリのダウンロードもできる。

今まで使っていたスマホは、清掃してからネットオークションに出品することにしよう。


「……何か見逃したような……?」


新しいスマホを付ける。

『通話』はまだ使ってないので何もなし。

『連絡先』はSIMカードを入れたから、前のスマホにあった物がそのままこっちにも入っていた。

『地図』……特に何もないみたいなので、明日ダンジョン内で確認しよう。

『体調管理』


______________

Lv4


身長:168㎝

体重:62㎏

健康状態:良好


特技


______________


「……Lv4じゃん!」


ステータスが想像していたものとだいぶ違ったためスルーしてしまったが、『Lv』はあのゲームでよくあるレベルのことだろう。

昨日は1匹、今日は6匹の、計7匹ゴブリンを倒している。

少しくらいレベルが上がっていたとしてもおかしくはない。


「でもレベルが上がってるけど、特に何か変わった感じはないな……。 『体調管理』のアプリじゃステータス的なものが見えないし、レベルが上がっても体には変化がないのかな? もっとこう、筋肉もりもりマッチョマンの変態になったら、めちゃくちゃキツイけどお給料はいっぱい貰えるらしい建築関係の仕事に挑戦するのに……」


そんなことを考えながらお腹が空いたので、1杯あたり60円のインスタント豚骨ラーメンを食べ、追加でスープに白米を投下して、最後の一滴まで残さず食べるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る