第8話

朝はいつものスーパーへ買い物に行き、無事に特別価格となっていたニンジンとジャガイモを購入。

帰り道にホームセンターに寄ると、最後の1つだった40個入り600円の6㎜スチールボールを購入。

帰宅後、ゲームをする前にマガジンに弾を入れてみたが、弾はちゃんと薬室に入り、銃口から転がり出てくることもなかったので、問題なく使えそうな感じだ。

録画しながらのゲームでは、1戦目でいい感じのプレイ動画となったので、編集もサクサク進み、いつもよりもだいぶ早く投稿し、公開予約をすることが出来た。


「なんか今日はなにをやってもうまくいくような気がする。 全然疲れもないし、ダンジョン行こうかな」


というわけでダンジョンへ降りてきた。

まずやることは、もちろん銃の試し撃ち。

マガジンや薬室に問題なく弾が入るのかは確認したが、流石に家の中で撃つのはやめておいたのだ。


マガジンの最大装弾数は25発。

薬室に1発入れておけば、26発まで撃てるかもしれないことは確認したのだが、買ったのが40個入りだったので、分かりやすく半分の20発だけ装填した。


ターゲットとして用意したのは空き缶。

とりあえず地面に置いて5メートルほど離れる。

スライドを引いて、それっぽい姿勢で狙いを定めた。

引き金を引く。

そこそこ大きな音とともに、空き缶が地面を跳ねた。


「発砲音が結構大きい…… 火薬の爆発じゃなくてファンタジーな力で弾を飛ばしてると思うんだけど……。 そういえば、銃声は爆発音じゃなくて弾が音速を超えるときに発生する衝撃波の音だって話をネットで見たような……? 弾は6㎜なんだし、サイレンサーがあれば撃ちまくっても耳がやられることはないと思うけど……。 まぁ、威力は十分みたいだし、お金がたまってから考えればいいか」


銃の確認終わり!

次はスマホの『地図』を確認する。


「あ、やっぱりダンジョン内の地図が表示されてる。 扉までのルートを色付けしたり、ゴブリンがいたところとか、宝箱があった場所にマークできれば便利なんだけど……あ、できるわ。 これは神!」


というわけで、昨日作った手書きの地図とスマホの地図を見比べながら情報を書き込んでいく。

そこまで範囲は広くないので、作業はすぐに終わった。


「それじゃあ、ボス部屋っぽいところに行くか……あ、左手にスマホ持って歩くなら銃か金槌のどちらかしか持てないな。 銃のホルスターとかネットでエアガン用のを普通に売ってると思うし、弾の値段と一緒に調べるか。 とりあえずボス部屋に行くまでは金槌でいいや。 それにしても、マジックバッグに荷物が入るから、移動がだいぶ楽になったな~」


そんなわけで移動開始。

そしてスマホの地図を確認しながら進むことで、一切迷うことなく扉の前へ到着。

途中途中でルートからあまり離れていない、宝箱があった場所や、ゴブリンと戦った場所を確認してみたが、リポップはしていなかったので、のんびり歩いても5分ほどで着くことが出来た。


扉の前で銃を取り出し、スマホをポケットにしまう。

これで準備は完了だ。


「よし、行くか。 ボスが出るか、もっとヤバそうなやつが出るか……。 どっちにしても、金目の物さえ出ればいいや」


扉を押す手に力を込める……鍵がかかっていた。

普通に見えるところに鍵穴があったので、マジックバックからダンジョン内で手に入れた鍵を取り出し、差し込む。

すると鍵は砂のように崩れて消滅し、扉が自動で開いたので、地面に置いていた金槌を拾って中に入る。

中はただ広いだけの広間で、そこにいたのはゴブリン5体だけだった。


「複数体を同時に相手しないといけないのか……結構大変だ。 まぁ、知らないモンスターが敵で出てくるよりかはだいぶマシだけど」


そんなことを言いながら、ゴブリンの頭を狙って銃のトリガーを引いた。

……弾は出なかった。

コッキングして薬室に弾を送り、もう一度よく狙って引き金を引く。

今度は問題なく撃てた。

どうやら一発撃つごとにコッキングしないといけないみたいだ。


「試し打ちは1発じゃ駄目だね。 というか、ブローバックがない時点で気づくべきだったわ。 ホント、もう少し考える癖をつけないと危ないね。 とりあえず問題は、両手で銃を扱うから金槌を持てないことかな。 あと地味にリコイルが大きいから、慣れるまで結構力を入れちゃって疲れそう。 まぁ、これは練習するしかないんだけど……ネットにホームセンターよりも安く大量にスチールボールが売ってればいいな……」


というわけで、何発か外したり胴体に当てて即死させられなかったが、2秒から3秒の間に1発の間隔で銃を撃ち、30秒もかからずにゴブリンを殲滅することが出来た。

ゴブリンは死んだらすぐに死体が消えるので、分かりやすいし汚いものを見なくて済むので凄く助かる。


全てのゴブリンが消滅すると、部屋の中心に台座が生成され、台座の上には金色に光る箱が置いてあるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る