転生したら激弱スキル!?〜鍛えまくって無理矢理使いこなしました〜

らんらん

開幕〜出会いと旅路〜

第1話

 俺は東山 碧ひがしやま あお、フツーの公務員だ。公務員なのには理由があって、昔から根性だけは人一倍だったから、根性で公務員になった。今は通勤中。上司が鬼だが頑張るしかない。

 地下鉄のホームについたとき、もう電車が走ってくる音が聞こえて一歩前に出ると誰かに押され、俺はホームに落とされた。

 え? 他の人も…? そう、俺だけではない。左右を見ると他の人も落とされていた。

 この状況、俺は瞬時に理解する。

 これ、大量殺人じゃね? いや怖すぎる。こんなに人を殺そうとするなんて。

 そう考える間もなく、は線路に落ちた。痛みをぐっと堪え、直ぐに線路から脱出しようとした。刹那せつな、フォーンと線路内に音が響き、電車がやってきた。そこからは、身体が動かなかった。俺は断末魔の叫びと紅く染まった電車を最後に、意識を失った。




 ん……ここはどこだ? 俺は確か…電車に轢かれて……?

 気がつくと森の中にいた。俺は思いっきり叫んだ。


「どこだここはー!!」


 生きてる。ああ、生きるってなんて素晴らしいんだろう。で! ここはどこ?なんか鬱蒼としててなんか出そう。なーんて思っているとー、早速出てきたーわーキモイ人間だー緑色ー。

 なんて言っている場合ではなく、俺は逃げた。え? なんで逃げたかって? 槍持ってたから。丸腰だよこっちは。敵う訳ないじゃん。てか緑って明らかにやばいし、と、言いつつ重要なことを思い出した。なんだよあの人! 未確認生物!?

 ゲームのゴブリンに似てるけど……ん? ゴブリン? ゴブリンってゲームの魔物だよな。なんでいるの? 異世界?


「やっぱり俺は死んだのか……。」


 よく見たら服も変わってるし、白い髪になってる。まだやりたいことあったのに………。泣き言は通用しない。ポジティブに行こう。

 こーゆーのはライトノベルとか見て知ってるけど激強スキルを持ってるのがお決まりだよな。えーとどうやって見るんだ?


「おーいスキルを出してくれー。」


 わ!なんか出てきた。



無名

レベル 1

攻撃 100

防御 100

移動 100

精神 100

スキル

《チャージ》

・発動時、膝を曲げると1%の確率でパワーが一時2倍になる。(ストック可能)

・この確率は他のスキルに左右されない。


 ……………弱い! スキルの強さに関しては文句ない……が! なんだこの1%で2倍って! 他のスキルに影響されないということは確率アップ系のスキルがあって、それも効かないということか。



 ………鬼畜すぎない?


「使えなさすぎだろ!」


 と、突っ込みたくなるが生憎スキルは喋れない。まあ、100回攻撃したら1回成功するわけだから……うん。

 まぁスキルは使うなということかな?

 いや! 俺は昔から根性が取り柄だ! レベル上げまくって強くなってやるー!

と、地獄の訓練トレーニングが始まった。




 まずスキルについて把握しておこうかな。


「チャージ!」


 そして俺はいつものように膝を曲げようとした…が! が! だ。なんとまぁびっくり! 膝が曲がらないではないか!

 いや、曲がらないというより曲げにくいという方が正しいな。なんかこう…古くて錆びた鉄の扉を押してるような感じ?

 約1時間かかってやっと1回曲げることができた。これを100回となると地獄だな、いや拷問か、そうだな。だけどその地獄を乗り越えるには地獄を味わうしかない!




 こうして始まった俺の訓練トレーニング。1日にスクワット2000回! 腕立て4000回! 腹筋1000回! と、かなりハードだ。

 だけどスキルは使えるようになりたいし、あーんな化け物でも倒せるようになりたい!

たまに訓練中にスライムっぽいものが通りかかるから倒すんだけど、ドロン! って消えて青いゼリーっぽいものを落としていく。

 実はこれ! めんどくさいけど火起こしして焼いてみたら滅茶苦茶旨かった。口当たりは焼きマシュマロだけど味はラムネなんだよ!

しかも焼いても水分豊富! 川を探さなくても水分を取れるお得感! 『あきまへん』とは正にこのことだ。




 カレンダーもないから地面で数えてかれこれ1ヶ月。サバイバル本を完読してて良かったと思う今日この頃。チラッとレベルを見ると、とんでもないことになっていた。



無名

レベル 50

攻撃 150

防御 125

移動 110

精神 100

スキル

《チャージ》

《粘着性》

・物質に付着する。魔力を使用する、もしくは使用者の意図によって解除可能。



 なんだろう、恵まれないな。ステータスの伸びがビミョーだし、そして何よりこのスキル……。スライム食べすぎてこうなったのか? 木登りぐらいしか需要なさげだな。

 い、いや、まぁスライム美味しいし、うん。

 50レベルでこれとは………人間ってこんなに弱いのか、それとも俺が弱いのか。と、軽く絶望しつつ俺は再び訓練トレーニングを始めたのだった。

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