第4話
「町だー!!」
町、と言っても中世ヨーロッパのような感じである。ま、人がいるから俺には十分なんだけどね。
「ありがとな。ほんとにお前には感謝してるぜ。」
と言って男は俺の頭をなでた。は?
「あ、俺の名前はカヤパだ! じゃあな! また会おう!」
と、言いカヤパは走り去っていった。
町だ! 町だ! いえーい! そして……
金が無い!
この世は金が無いと何もできない。これでは町に来た意味が……。いや、角を売ろう。結構
ところで、ものを売れる所はどこだ? と、うろうろしていると、いるではないか! いかにも道案内がしたそうなおっさんが!
俺は近づいていった。
「すみませーん。俺、ここ初めてなんで教えてもらいたいんですけど、」
おっさんの顔が面白いほど明るくなった。
「いいとも! 道案内ならこのジェフェンに任せなさい! で、どこに行きたいんだ!少年!」
しょ、少年!? い、いけない我慢だ。笑顔笑顔。
「えっと…物を売り買いできる場所に行きたいんですけど……。」
「そうか!それなら『よろずの森』がいいな! ついてこい!」
はぁ…。と言わんばかりについていくと田舎にある駄菓子屋位の大きさの店があった。
「ここだ! 町一番の
堂々とジェフェンは胸を張った。
「あ、ありがとうございます?」
「なーにいいってことよ! じゃあな! また会おう。」
と、店の中へ入っていった。まぁとりあえず入ろう。
引き戸を開けると古風な店内で、奥には風が吹いたら折れてしまいそうなヨボヨボの丸眼鏡をつけた爺さんがいた。
「すみませーん。ものを売りに来たんですけど…」
爺さんはこっちに顔を向けた。
「あぁん?」
お決まりの難聴ではないか、面倒だな。
「売りに来たんですけど!」
「な゛、なんだっで?」
中々の重症だなぁ、ここで大声をだすか。
「売! り! に! 来! た! の!!」
「おおうそうか、こっちにおいで。」
店にはいろんなものがおいてあった。ふつーの矢から曰くの付きそうな壺まで。
歩いて爺さんのところまで向かうと、爺さんの隣に黒い大きな玉があった。
「何を売りたいんだ?」
俺はポーチから角を取り出した。
「
爺さんは角を取り、ルーペっぽいものを通して見つめたあと、口を開いた。
「……ざっと5500ディムだな。」
……ディム? ああ、ここは異世界だからか。
1ディムって円だといくつぐらいなんだろ。爺さんが奥から袋を取り出してきた。
「はい、ちょうど。」
ジャリ、という音とともに俺の手に袋が置かれた。なんか嬉しい。
「ありがとな。あ、それと『冒険者ギルド』ってやつはどこにあるんだ? 冒険者になりたいんだ。」
爺さんは「ほう?」と興味深そうに空笑いをしたあと、
「あんたここ初めてか、なら気をつけな。」
爺さんはニカッと笑う。
「どうしてなんだ?」
爺さんはこちらに近づき、声量を落としてこう言った。
「何も知らねぇのか。この年齢で? 一応言おう。この国では冒険者は犯罪者になるんだ。」
「はぁ!? 意味分か――」
爺さんはすぐに俺の口を塞いだ。
「声量を落とせ。この話をしている時点で犯罪だ。」
ったく。冒険して何が悪いんだよ。ん? でもなんでカヤパがここに来たんだ? 一応あるのか? 冒険者ギルド。
爺さんは口に当てた手をやっと外した
「……で、冒険者ギルドはこの町にあるのか?」
爺さんは溜息をついたあと、
「あるにはある。だがそれを説明するのにはここから話さねばならん。」
と、爺さんは話し始めた。
「それは1万年前のこと。数ある国の中で最も大きい4つの町である、烈火の国ブレイジングタウン、海底王宮サブマージョン、不毛の土地ガイアグレイブ、そよ風の丘ベントゥスがアルカナ王国の眷属となったところから始まる。ある日、アルカナ王国、そして眷属の4国ともに冒険者の集まりが入国した。その冒険者たちは突如として暴れだし略奪、殺人、誘拐を繰り返した。しかし、事態は五大英雄と慕われる者たちによって抑えられた。だがそれにより、冒険者は海賊や山賊と同じにみなされるようになり、特にこの5国は厳重な警戒態勢を張っている。」
爺さんは再び溜息をついたあとこう続けた。
「ここベントゥスの町、ミストラルも例外ではない。分かったら立ち去るんだな小僧。」
爺さんの威厳(?)が強くなった。亀の甲より年の功…か。けど、
「せっかくの二度目の人生だ。スローライフもいいけどここでしかできないことをやってやんよ。命を懸けるのは初めてだ、精一杯生き延びてやる!」
爺さんはくしゃくしゃの顔を更にくしゃくしゃにして笑った。
「ガッハッハッハ! お前のような度胸のやつは久方ぶりだ! そして転生者とはな。来い!小僧!」
爺さんについて奥に行くと、錆びた剣と錆びた盾があった。
「装備はこれで賄え、それと……これだ。」
俺は虹色に光る宝石のついた首飾りを渡された。
「なんだこれ?」
爺さんがニッと笑う。
「印だ。俺とお前が親しいことの。」
宝石は暗い店の奥でも光る。
「変なの。」
俺は首飾りをつけた。理由? なんとなくだ。つけたらいいことがある感じがした……とでも言おうか。
「ここを出て右に真っ直ぐ行くと井戸がある。人に気づかれないように夜に中に入れ。入ると水があるが飛び込むと
爺さんは丸眼鏡を取った。
「心待ちにしているぞ!」
短すぎるのに随分もったいぶるじゃねぇか。
「ああ! 行ってくる!!」
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