第13話

 プラナリア人間はすぐさま飛びかかり、俺に連撃を与えた。くっそ! しくじった!

 運よく鳩と紙吹雪しか起こらなかったが、ダメージは大きかった。


「ガーッハッハッハ!俺に敵う奴は居ないのさ!」


 剣は効きませんってか。それなら……!

 ゴブリンが持っていたバットを手に取る。

重量はあるが……いける!

 俺は砲丸を投げるときのように体を回転させた。


「お、おい待て、待て!」


 止めようとしても無駄さ。回転を続け、そのまま近づく。


「待てったら!」


 後退りしてももう遅い。バットはドルダに当たる。

 回転によって速度が上がったバットをノーガードで受けたドルダはそのまま空高くへ吹っ飛んでいった。


「いつか倒してやるからなー! ゴホッ、このガキー!!」


 バットは《粘着性》できっちりと握りしめてるし、後は苦ーい薬を飲むだけである。

 はい、サーマルに差し出されました。飲むよ。飲んでやるよ!

 と、薬を飲んで傷を治す。




「いやー、疲れた疲れた。」


 タキオンが帰ってきた。町を占拠していたやつをサクッとボコって逃がしたらしい。


「そうそう、この一件で護国軍が動いたからここ出るぞ。」

「えー、見物もしてないのにか?」


 ホントにケチだなぁ。


「見つけ次第次々と縄で縛り、捕縛せよ。」


 ん? なんだ? 聞いたことのある声が聞こえたぞ。少し遠いけど…。

 誰だっけ?


「まずい、やっぱりフェローチェが仕切ってたか。護国軍少尉の座は伊達じゃないな。ほら、行くぞ!サーマル、世話になったな!」

「へー、少尉だったんだ、あの年齢で凄いな。」


 俺はサーマルから弓と盾を貰った後、タキオンにぶっきらぼうに馬の上へ投げ飛ばされた。俺が小さいからって、こんなふうに扱うのはやめてもらいたい。

 タキオンが荷物をさっさとまとめたお陰で、すぐに馬が出せた。


「じゃーなー!」


 と、手を振って別れる余裕があったのはほんの一瞬であった。


「見つけたぞー!エストとタキオンだ!」


 うわ、何あれ。黒スーツの人達がたくさん追っかけてきてる。

 これはこれで面白いのでは? 乗ってる馬は白いし…空から見たらごま塩だな。


「護国軍さんよ! 歯ぁ食いしばれ!《衝撃波》!!」


 護国軍の黒スーツがたくさん吹き飛ばされ、それはそれで面白い光景となり、タキオンの強さにやはり驚く俺であった。




 とりあえずどこかのギルドにはついた。じつはあの後も諦めの悪い護国軍が追ってきたが、運よくナーガが邪魔をしてくれたので巻くことができたのだ。

 しかし…ここは涼しいなー。あの暑いところと比べたらここは楽園だ。ちなみにタキオンはというと、ここのぬし的な人と口論になっていた。だけどタキオンの場合、ぼーっと見つめていれば予想通りのことが起きるのだ。

 やはり、結局タキオンが力で抑えつけて解決したらしい。


「カラッポ村に行っていいことになったぞ!」


 カラッポ村? なんにもなさそうな名前だな。

 タキオンが言うには見かけはただの村だが、その村の地中奥深くには護国軍の最重要保管庫があるらしい。そこに明日行くのだと。休憩すらまともにとれないという地獄のような予定である。大体何をやりたいのだろうか。

 もうここまで来ると賊じゃないか? だが、タキオンには逆らえないので仕方なく、短い休憩をとることにした。




 朝だ。ここ最近労働ばかりだったから久々に寝た気分である。朝食に、謎の木の実を食べて出発だ。

 眠気が抜けず、フラフラしているとタキオンに馬車の中へ放り込まれた。そして再び俺は眠りについた…。



 目が覚めると、タキオンが馬車の中にいた。ひびのはいった大地の上にいるようだ。

もう日が暮れ始めている。


「起きたか。作戦を説明するぞ。」


 と言うなり地図を広げだした。上には『カラッポ村周辺地図』と書いてある。


「まずは―――。」


 その時、凄まじい程の青い光が俺たちを襲い、馬車は粉々になった。地面に投げ出される。熱い。火傷したときみたいだ。


「―――くそっ、こんなとこにいるとは。」


 そこには見覚えのある、蜘蛛の形を模した機械が佇んでいた。


「タキオン!」

「生きてるぞ!あいつは俺が引き寄せる!後は頼んだぞ!《超滑ちょうすべり》!」


 タキオンがすぐに立ち上がり、滑るように走り出した。機械はタキオンの方を向いた。

今だ。

 全身に痛みを感じつつも、剣を抜いて斬りつける。しかし…大きなダメージはなかった。機械はタキオンにビームを打った。

 当然効かないのだが、俺に気づくのも時間の問題であろう。機械はこっちに方向を変えた。

 まずい…! 盾で凌げるようなものではない。動いてもすぐに追跡してくる。ならば打った瞬間に動いて避けるしかない。

 機械か青く光る。盾を構え、あたりが青く光だすその瞬間――俺は横に飛び避け、剣で連撃を与えた。タキオンも打撃で応戦している。

 挟み撃ちだ。機械は俺を狙い出したが、次の瞬間。

 機械は小さな爆破音と共にぜ、黄色く、丸い球だけ残っていた。


「おお、ついてるな。」


 どうやら高値で売れるらしい。その後、馬車は壊れてしまったが、馬は離れたところに避難していた為、問題なく移動できた。



 村らしきところについたときには既に真っ暗になっていた。

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