後輩
「ただいまー……げっ」
俺は妹とマンションで暮らしている。妹とは2個歳が離れていて中3だ。両親は海外出張でいない。
そして、俺が顔をしかめている理由なんだが……
「せんぱ〜い、お久しぶりですね。寂しかったですか?」
やっぱり来てたか。
奥から甘ったるい声が聞こえる。
見慣れない、いやある意味見慣れた靴があったからいると思ったら案の定だ。
「……久しぶりだな萌香」
「はいっ!先輩の愛しの後輩……です…よ?」
扉から勢いよく顔を出すのは黒髪ボブヘアの少女。妹の親友の
萌香は何故かいつも俺にうざ絡みしてくるからあまり関わりたくなかったんだけどな。でも今は俺の顔を見て固まっている。
「あっ!ちょ、もえちゃん、今バカ兄の顔見ちゃ……あ、遅かった」
さらに奥から黒髪のツインテールのバカ妹こと
「何がバカ兄だ、バカ妹よ」
「はあ?誰が毎日ご飯を作っていると思っているの?」
「ごめんなさい。花音様」
「赦そう」
ご飯の話になると何も言えない。いつも朝ご飯や晩ごはん、それに弁当も作ってくれるんだ。花音がいなきゃ死ぬ。
「それにしても、萌香はどうしたんだ?」
萌香だけ時が止まっているかのようにびくともしない。
「はっ」
あ、動きだした。
「へ、へぇ、先輩髪切ったんですね〜。それってもしかしなくても私の気を引こうとしていますねっ」
うわぁ。
「と、どん引きしないでくださいよっ」
どうやら、感情が表情に表れていたみたいだ。
「だって面倒くさいもん」
「バカ兄!確かにもえちゃんは少し面倒くさいけど正面から言うことないでしょ!」
「……親友やめていいかな?」
少し涙目になる萌香。
「じゃ俺は部屋行ってるから二人で遊んでて……」
部屋に向かおうと萌香の隣を横切ると誰かに袖を掴まれる。萌香だ。
「先輩って何か友達いなさそうですよね〜。そんな寂しい先輩のためにこのかわいい後輩が遊んであげましょうっ」
小悪魔な笑みを浮かべて萌香が俺を誘う。
「えー、花音と遊びなよ」
「バカ兄、もえちゃんと遊んでやれ」
正論を言ったはずなのに花音から怒られた。
「一緒に遊ぶために来たんじゃないの?」
「いいから」
何なんだよ。もういいや。
「じゃあ何する?」
「先輩の部屋でゲームとか?あ、そ、そんなエッチな目で見ないでくださいよっ。ベッドに押し倒す気ですねっ。だめですよ、まずはデートから……」
「ほら、早くゲームするぞー」
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