登校
確かに明日来ますとは言ってた。
どうせ断っても来るんだろうって思って何も言わなかったけど……
「せ〜んぱいっ!可愛い後輩が起こしにはせ参じましたっ!」
「何で朝からいるんだよ」
目を覚ますと部屋にいたのだ。不法侵入か……いや花音が一枚噛んでるな。
「先輩に呼ばれたからですっ!」
「呼んでねぇよ」
さっきまで寝ていたんだ。ありえない。
「バカ兄、もえちゃん朝ご飯できたよー」
リビングから花音の声が渡る。
「ほら行きましょ先輩」
「着替えるから出てって」
「仕方ないですね〜。分かりました手伝いましょう」
「出てってって言ったんだけど?!」
どうして会話ができないんだ……。
「……分かりました」
どうしてそんな不服そうにするんだ……。
◇◆◇◆◇◆
制服に着替えてリビングに足を運ぶと当然のように机に腰掛け朝食を食べる萌香の姿が。
「おはようバカ兄」
「……おはようばかのん」
「今日から途中までもえちゃんと登校してくれない?」
……うそだろ?
「そんなに喜ばないで下さいよせんぱ〜い」
無視だ。もう疲れた。
「断ったら?」
「今日のお弁当は渡さない」
行くしかないか。
◆◇◆◇◆◇
「目立つんだけど」
「どうしてでしょう?」
「いや、高校生が中学生と腕組んで歩いているからだろ」
「見せつけちゃいましょっ!先輩の後輩好きっぷりを!」
「いざとなれば無理やりにでも腕を振り解けることを忘れないでね」
「きゃー」
「2人とも朝から元気すぎ」
俺の隣で花音が呆れたように言う。
「だって先輩と登校できるのが嬉しいから!ねっ、先輩!」
「まあ、そういえば3人で行くのは久しぶりだな。こういうのも悪くはないな」
中学の時はこの3人で登下校と昼休みを過ごしてたな。
……あの頃の萌香は落ち着いていて良かったな。どこで道を踏み外したんだろう。
でも変わったものは少しあるけど楽しいな。この2人といるのは。
萌香本人には言わないけど。絶対うざ絡みしてくるから。
「…………伊織くん?それと、誰あの2人……腕組んで楽しそうに……」
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