後悔

 ふふふ……対伊織先輩悩殺兵器。その名も紐ビキニ。いくら鈍感な先輩でもこの姿を見れば少しは心も動くはず。

 それにしても、プライベートビーチなのは助かった。大勢の男に見られないで済む。


「うわぁ、その水着かわいいねっ!」


 同じ部屋になった葵さんが私の水着を見て共感してくれる。


「ですよね!」


「うん!私も星奈にそういう水着持ってきてあげたんだー」


「え」


 まさかの事態。被るとは思っていなかった。


「……どうしよう」


 想像してみよう。


 プライベートビーチに紐ビキニの少女が2人。

 うん。何か特別感が薄れる。


 あれ?というか、紐ビキニってダメじゃない?

 なんていうか場違い感がすごい。


 私、どうしてこれを選んだんだろう。

 あ、先輩を誘惑するためか……。


 いや、さすがの先輩もこんな姿を見たら引くと思う。


 どうしよう急に恥ずかしくなってきた。こんな水着、着れないよ。


「海楽しみだねー萌香!」


「あは、あはは。そうですね……」


 助けて花音。


 コンコン


「ん?だれー?」


『あ、神宮寺花音です。萌香に用がありまして、入っても大丈夫ですか?』


 花音?!


「入っていいよー」


 葵さんが許可をして花音が入ってきた。

 紙袋を手に持って。


「かのん……?」


「その様子だと気づいたみたいだね」


「うん。私バカだった」


 あんな水着を買った私を殴りたい。思い返せば店員さん少し引いてたかも……


「よろしい。はい」


 花音が紙袋を私に差し出す。

 まさか……


「水着。私がもえちゃんに選んだやつ」


 私は紙袋を受け取り中を取り出す。


「可愛くなくても文句言わないでよ」


 それは、胸元がふりふりの花柄のビキニだった。


「かわいい。花音ありがとうっ!」


 思わず花音に抱きいてしまう。


「はいはい。私まだ着替えてないから部屋戻るよ」


「うん。ありがとう」


 花音がこんなにも親友で良かったと思えたのは3回目だよ。


「わかったから早く離してよ」


「はーい」


 花音を解放すると花音は部屋から去っていった。


「うわぁ、その水着もかわいいね!」


 葵さんとふたりきりになると葵さんが目を輝かせて水着を見ていた。


「ですよね!」


「うん!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る