ライバル?

 何か緊張するな。昨日星奈ちゃんに告白されて断ったからな。何か気まずいっていうか……。


「おはようございます」


 びくっ


 教室の扉から微笑みながら挨拶をする、星奈ちゃん。

 たったそれだけでクラスは大盛りあがり。


 元気なこった。


 星奈ちゃんが席に、俺の隣に腰掛けるなり全員がこちらにやって来た。


 おいおい!


 ちょ、誰だよ押したやつ!

 人数多くね?他のクラスまで来てるよ!


「星奈ちゃんは何でここに来たの?」

「サイン下さい!」

「握手を〜」


 もう、ダメだ。どこかで時間を潰そう。


「あ……あ、あの!えっと、伊織さんが座れないようなのでみなさん離れてくれませんか?」


 星奈ちゃん……。

 気持ちは嬉しいよ?でも、ヤバくない?


「伊織?誰だ……ってそこの陰キャ?」

「うわぁ、星奈ちゃん無視してていいよ、そんな奴」

「それより、伊織って下の名前だよね?!俺のことも下の名前で呼んでよ!」


 ほら、俺のこと下の名前で呼ぶから他の人に言われる。

 星奈ちゃんってそういうの気にしない感じ?ならいいんだけど……。そうじゃないならきつくない?


 というか、もう収拾つかなくなってきたぞ。

 星奈ちゃんの囲みが凄くて星奈ちゃんが涙目に。


 仕方ない。気は向かないけど止めよう。


「みんな、ほし……如月さんが――」


「みんな。星奈さん、困ってるんじゃないかな?」


 誰だ?俺の声に被せてきたやつは。別に良いけど。


 てか、聞き覚えあるよ?


 確か……


「キャー、颯人くん!!」

「え、嘘?!」


 クラスに黄色の歓声が響き渡る。


 コイツは学年一のイケメンって噂の上石かみいし颯人はやとだ。

 どうやらその噂は本当だったらしくイケメンだ。


 しかも噂によれば性格も運動神経も頭も良いらしい。


 上石くんの噂いっぱいあるね。


「……確かに困ってるような気がする」

「ごめんね、星奈ちゃん」

「今度から気をつけるよ」


 凄い。あの囲みが一瞬でなくなったよ。

 男女両方から愛されてるんだね。


「あ、ありがとうございます」


「気にしなくていいよ。それより、大丈夫だったかい?」


 うお!ナチュラルに頭ポンポンしてるぞ!


「僕は上石颯人。颯人でいいよ。困ったときはいつでも頼ってね、星奈さん」


「……はい」


 上石くんは星奈ちゃんから離れ去っていった。

 ……何だったんだろ。

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