転入してきた元・推し
「ここでしか叶えられない夢を叶えに来ました」
どうして俺を見て言うんだ?
「質問あるやつは?」
「はい!彼氏って作っていいのか?」
お前まさか星奈ちゃんを彼女に狙ってるのか?
少しイケメンだからって調子乗らないほうがいいよ。
「はい。いいですよ」
『おおおおぉぉぉぉぉぉっっ!!』
うわっ!?
男たちの雄叫びにより教室が揺れる。
俺は相変わらず逸れない星奈ちゃんの視線に戸惑っております。
「質問質問!夢って何?」
陽キャ2ナイス!それは俺も聞きたかった。
「……秘密です」
『えぇぇぇぇぇ』
これは男子だけでなく女子も混ざっている。
女子としても引退の理由である夢が気になっていたんだろう。てか、気にならない人いるの?
「……はい、質問終わりな」
「みなさん、私はもう一般人なので気を使わずに仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくおねがいします」
自然と拍手をしてしまうクラス一同。
あはは、と照れ笑いする星奈ちゃん。
「じゃあとりあえず今月までは神宮寺のとなりでな」
え?確かに俺の隣の席は空いている。
だけど……
『ちっ』
ほら、聞こえた?男子全員が俺を目の敵にしてるぞ?
「はい」
星奈ちゃんが俺の席まで歩いて来てるし。
ちなみに俺の席は一番後ろの端だ。隣は空席になっている。
「久しぶりだね伊織くん。これからよろしくね」
隣に座った星奈ちゃんが俺に小声で話しかけてくる。
「覚えててくれたんだ、うれしいよ。こちらこそよろしくな」
平然とクールぶって返事を返したけど内心バクバクだった。
すげぇ、元・推しが俺のことを認知してくれてた!
これで星奈ちゃんがまだアイドルやっていたらもっと嬉しかっただろうな。
「伊織くんのことを忘れるわけないじゃん。私の一番のファンだし、それに……」
「それに?」
だんだんと声が小さくなっていって聞き取れなかった。
「ううん、何でもない。それよりも、私の夢気になる?」
「当たり前だろ」
ファンだった身として気になって気になって、寝れないんだ。寝れたけど。
「……じゃあ、今日の放課後屋上に来て」
え?教えてくれるの?まじ?
あ、その前に、
「うちの高校は屋上開放してないんだ」
だから屋上は無理なんだよな。
「……じゃ、じゃあ校舎裏で」
顔が赤くなってる。かわいい。
「わかったよ」
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