違和感

「ねぇ、伊織くん由香里ちゃん」


 星奈ちゃんが机にお弁当を広げながら話しかける。


「どうしたの?」


 俺と由香里さんは箸を止めて耳を傾ける。


「実は私の家でクリスマスパーティーしようかと思っているんだけど、どうかな?」


 ……毎年、花音とひっそり家で過ごしたクリスマス。

 とうとう誘われた。嬉しい。


「行きたい」


「私も」


 由香里さんも俺と同じ気持ちなのかな?

 やっぱり誘われたら嬉しいよね。


「……クリスマスに伊織を取られるくらいならいっそ皆で過ごした方が」


 ん?由香里さんが何か呟いてる。聞かない方が良さそうかな?


「良かったぁ。葵ちゃんや優里ちゃんも誘おうかと思っているんだけどいいかな?」


「もちろんだよ」


 2人も来るのか。

 文化祭の時、来てたそうだけど会えなかったから。夏休みぶりに会うことになるのか。


「あ、星奈ちゃん。花音と萌香を誘ってもいいかな?」


 花音も萌香も受験勉強で毎日疲れているだろうから、その日だけでも楽しんでほしい。


 それに、最近というか一緒に料理した日から一度も会えていないから。寂しいんだよな。

 花音が聞いたらしいんだけど、受験勉強で色々忙しいらしい。 


 それで、会おうにも会えなくて。

 電話を掛けようにも何か邪魔するようで気が引けるんだよな。


「うん。いいよ」


 星奈ちゃんが笑顔で頷く。


「ありがとう」


「プレゼント交換とかする感じ?」


 由香里さんが星奈ちゃんに問いかける。


「やりたい!」


 星奈ちゃんの瞳が輝く。

 ちなみに俺も同じような感じだと思う。

 だってプレゼント交換とかしたことないから。


 こうして、俺の今年のクリスマスに予定が入った。

 クリスマスまで残り2週間。



◆◇◆◇◆◇



「星奈ちゃんにクリスマスパーティーに誘われたんだけど、花音も行く?」


 夕ご飯を食べながら花音に聞いてみる。

 まあ、花音は受験生だからな。さすがに……


「行く」 


 即答だった。


「わかった」


 ま、来てくれたほうが盛り上がるしいいんだけどね。


「それでなんだけど、萌香も誘っといてくれないか?」


 受験勉強で忙しいとは思うけど来てほしいから。


 心配はいらないか。

 萌香のことだからな。


「えー、そんなに私と一緒にいたいんですかっ?もう、仕方ないですねっ。付き合いましょうっ」


 こんなこと言いながら来そう。


「……わかった。一応誘ってみるよ」


 なんだよ、その間は。一応とか言って。

 まるで萌香が来ないみたいな言い方して。


「萌香と久しぶりに話したかったんだけどな。仕方ないか」


 萌香、受験勉強頑張れ。


 ……そう言えば、萌香の志望校ってどこだっけ?

 何か、前に聞いたことがあるような……


『ところで萌香は高校どこにするんだ?』


『先輩の高校ですっ』


『まあ、頑張れよ。萌香は頭良いんだから上狙えそうだし』


『スルーしないでくださいよ!私が行くのは先輩の通っている高校ですっ』


 ……待てよ。

 どういうこと?もしも未だに萌香の志望校がうちの高校ならそんなに根詰めて勉強する必要なくない?


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何となく推してみた地下アイドルが日本一のトップアイドルになっていた。引退後、推しが俺を惚れさせようと必死なんだけど。 猫丸 @reosyu12

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