学園ラブコメ期待して異世界転送したのに・・・男子校かよっ！！

第４話 異能力

「マカオーーー！！」

マカオからの想像以上の入学祝に興奮し反射的にオカマへ抱き着いていた。

「ずぅ～と・・・女の霊が出てきた方が良かったな～って思ってて、ごめん！呪い殺されるかもしれないけど・・・もしかしたら可愛いんじゃないかなって思ったけど・・・―――やっぱり時代は、オカマだよな～」

抱き締めてわかるが、やはり筋肉が引き締まった細マッチョ体型だ

「・・・はな・・・・・・け」

「これで、さっき言ってた俺がぼっちだという発言は、なかったことにしてや・・・」

「―――今は、俺の話を聞け！！！」

「すいませんっ！！」

物凄く野太く低い男の・・・

―――いや、漢の声に反応しマカオから離れる

「ぅんん・・・んん・・・ん～んん―――今からあなたに魔力を与えるから」

咳払いをして元の？さっきまでのオカマ口調へ戻り、一人称も俺から私に戻った！

・・・こ、怖かった～！！

怒ると一人称が変わるなんて

そんなのは、頬に十字傷のある侍しか思い当たらないぞ！

「はい！ありがとうございます！お願いします！」

「まず・・・異能力っていうのは、魔力を原動力として使える様になる力の事なんだけど・・・どんな異能力を使える様になりたい？」

「―――決められるの！？」

マカオの予想外の一言に声が裏返ってしまう

「・・・？当たり前じゃない 入学祝なんだから」

やった！やったぞ！！

自分が使う異能力を自分で決めていいなんて・・・

―――チート過ぎるっ！！

「じゃあ、どんな異能力にする？炎を自由自在に操れる異能力だってできるし・・・肉体強化の異能力にして自分の身体を極限まで硬化することや肉体を透明化させることだって可能！―――なんだったら重力を操りコントロールできる異能力にすることだってできるわよ！」

な、なんて夢のような話！

マンガやアニメのような展開！！

自分がこういった状況に陥った時に何を選択するか、いつも頭の中でシュミレーションしていたので・・・

既に貰う異能力は、決まっている！

「じゃあ、どんな異能・・・」

「ラッキースケベでお願いします！」

遮る様に即答で応える

「・・・ラッキー・・・スケベ？」

首を横に傾けている。どうやらピンっときていない様だな

―――それも無理もない

ラッキースケベという単語を聞いて理解できる者は、この世界の人間でも極僅かなのだから

「あのさ・・・異能力って俺の要求したのをくれるんだよな？」

「いや・・・まー・・・そうしたいけど・・・もう少し解りやすく説明してくれないと・・・あなたの要望通りの異能力は、与えられないわよ」

マカオのこの対応、本当に俺の要求した通りの異能力を与えようとしてくれているのだが・・・

やはり異世界にない、知識のモノは、異能力にするのは、難しい様だな

ならラッキースケベというのは、どういうモノか教えなくては・・・

「ふっ、ふふっふ・・・それなら口で説明するより・・・観た方が早いだろう」

不敵な笑みを浮かべ、押し入れの引き戸へ手を伸ばす

―――ドバババーーー！！

「・・・・・・ちゃんと整理整頓しなさいよ」

引き出しを開けた途端、マンガやラノベ、アニメのDVD等が雪崩の様に溢れ出て部屋を一瞬にして埋め尽くした。

「・・・え～と・・・これと・・・これと、これとこれを観れば！俺の言っているラッキースケベっていうのがわかるから」

足の踏み場もない程に散らばった床を器用に歩き回り、選りすぐりのマンガやラノベを渡し、アニメのDVDを掛け始める。

「・・・・・・へ？」

状況が飲み込めず珍妙な声が漏れる

「それじゃあ、俺は、異世界へ転送される前にシャワー浴びたいから・・・マカオは、その間にラッキースケベのことをちゃんと理解しといてね～」

そう言い残し、異世界の制服を手に持ち、マカオを部屋へ一人置き去りにしてお風呂場へと走って行く

「・・・・・・勝手な男・・・人の話も最後まで聞かないで・・・」

そう言いながらも手渡された本を徐にめくり、ラッキースケベというのが どういうものなのかを調べ始める。

「・・・・・・なるほどね―――理解したわ」

引野から渡された本を読破し 時計を見るが・・・

引野は、まだ戻って来ない

「―――もう１本観れる・・・かな？」

他のアニメのDVDを観始める。

「・・・・・・ちっ！！」

更にDVDも観終わるが・・・

引野は、まだ上がって来ない

次第に舌打ちの回数も増え、苛立ちが募り、時計を睨み付ける！

まだか、まだかと思い特典映像やメイキング映像まで観始める。

「―――お待たせ～」

湯上がりで顔を火照らせ、異世界の制服へ着替えて部屋に戻ってくる

「―――遅い！！短髪のお前が！俺みたいに時間掛かってんじゃねーよ！」

声が野太く！低い漢の声になっている

・・・やばい！

本気で怒っている！？一人称が私から俺に変わっている

・・・言い訳しないと

「・・・いや・・・あの・・・ほら・・・異能力の準備ってさ・・・けっこう時間掛かるのかな～って思って・・・マ、マカオへ気を使ってゆっくり来たんだよ・・・」

眼の焦点が合わず、しどろもどろに話してしまう

「・・・・・・本当は？」

ドスの効いた声に鋭い目付きで睨み付けてくる

「いや異世界の人に臭いって思われたら嫌じゃん・・・だからしょうがな―――うごっ！？」

このまま嘘を付き通したら殺されると思い、正直に話したら・・・

口の中に何かこんにゃくの様な物体を押し込まれた

「それを食べたら魔力が使える様になるわ・・・そしたら異世界での言語や読み書きで不自由することは、なくて・・・異能力も使える様になったから」

口の中へ思いっきり突っ込めてストレス発散できたのか・・・

話し方がオカマ口調へ戻っている

「モグモグモグモグ―――ごっくん！！」

それにしても、これ・・・

見た目といい味といい、匂いや効果、全てが猫型ロボットの秘密道具と一緒だな

「それじゃ・・・―――ブゥーーーンっ！！」

テレビへ手をかざすと マカオがこの世界へやって来た時のようにテレビから眩い光が射し込んでくる

・・・ま、眩しい！？

「・・・繋がった！ここを潜れば異世界へ転送できるから」

今まで、ずっと夢見てた！念願の異能力を手に入れ、異世界へ転送して・・・

異世界での学園生活を贈ることが出来るのか！？

「―――よしっ！！歯を磨いてから行こう」

「行けよ！！」

もう一度、下へ降りようとしたが阻止される

「だって異世界の人にこんにゃく臭いって思われたら嫌じゃん！！だから歯を・・・」

「速く行けっ！！」

またもや低く野太い漢の声に！

「わかった！！もう磨かない！磨かないから！！せめて口の中スースーするやつ食べさせて」

「あぁん！！」

「―――行ってきまーーーす！！」

殺気を感じ逃げるようにテレビの中に拡がる異世界へ旅立って行く