第2話 テレビ

異世界へ転送される数時間前


「うわぁぁぁーーー!!」


自分の部屋でアニメを観ていたら

突然テレビが光り出した!


「な、なな・・・なん!?」

驚きのあまり言葉が出てこなくて、テレビの前から立ち上がれず、動けない!


・・・おちつけ


・・・落ち着け


・・・引野ひきのゆう!!


こういう時こそ・・・慌てず・・・冷静に・・・クールにいこう!

16年間生きてきた経験を活かせば、こんな状況ぐらい乗り越え・・・


―――無理だっ!!

絶対っ無理!!


・・・ど、どうしよう!?


こ、これは、もしかすると・・・あれか!?

テレビが爆発する前触れか!?

それなら急いで避難を―――



「・・・しょ ・・・しょ」


・・・ん?


「・・・うんしょ ・・・うんしょ」


・・・・・・?

声が聞こえる!?

さっきまで観ていた。アニメの音声とは、別のテレビの中から出ている。光の奥から声が聞こえてくる!


「・・・うんしょ ・・・うんしょ ・・・・・・も~う 狭~い!」


・・・やっぱり聞こえる!!

その声は、段々と聴き取り易くなり、こちらに近付いて来るのが解る

「どうしよう!?どうしよう?どうしよう!どうしよう!!」

俺は、今、あの有名なホラー映画と同じ状況だ!!

呪いのビデオなんか見た覚えもないのに・・・


―――何か出てこようとしている!?


・・・俺が観てたのは、日常系萌えアニメのブルーレイなのに


「うんしょっと・・・これでやっと・・・この世界と繋がったわ!!」


あぁぁぁあぁぁーーー!!

・・・もう終わりだぁぁーーー!!

朝っぱらだというのに女の霊に呪い殺されるのか?

あの世から俺を迎えに来たのか?

・・・どうせ

・・・どうせ迎えに来るなら


「異世界の住人が迎えに来いよ!!」


「―――あら?それなら話が早いわ!」

「・・・え?」

俺の悲痛な叫びに対し謎の声の主が応えてくる

「私は、あなたを迎えに来たのよ!」


・・・俺を迎えに来ただと?


―――惑わされないぞ!!


そんな妖艶で色気のある声で言われて信じられるわけ・・・


「―――あれ?胸がつっかえちゃった!?」


―――信じましょう!!


ニヤ・・・ま、まさか・・・ニヤニヤ・・・本当に・・・ニヤニヤ・・・アニメやマンガの様に・・・ニヤニヤ


―――異世界の年上系のお姉さんが迎えに来てくれるなんて、自然と顔がニヤ気てしまう


「よいしょっと!・・・これでやっと出られるわ!」

俺の部屋にボンっキュっボンっの女性が来るのか・・・


「―――初めまして、私は、あなた達の言うところの異世界から来ました!マカオです!よろしくね!」


「オカマじゃねぇーーーか!!」


異世界の年上系お兄さんだった!!


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