第60話 救世主

「―――かはっ!!・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

ヒマワリの落とした雷の電流が心臓マッサージとなり、ドッポに締め落とされていたグラサン男が意識を取り戻す


「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・異能力者汚れた血めっ!ドッポのアニキを倒したのか!?」

辺りを見渡すと自分以外の男達なかまは、みんな黒焦げになり、倒れている。


「浮かれやがって・・・このまま、ただで帰すと思うなよ!」

目の前に落ちていた新品同様の拳銃を手に取る


「あの雨によって銃火器は、全て使い物にならなくなったと思ったが・・・この1丁だけ、水没してなかったようだな・・・!!」

ヨミが異能力リサイクルで再生させた拳銃に弾を込め、引野へ銃口を向ける



「―――死ねぇぇーー!!異能力者汚れた血っーー!!」


「「「―――引野、危なーーい!!!」」」


―――パァーン!


―――パァーン!パァーン!!


岩石地帯一帯に3発の銃声が響き渡り、引野は、そのまま地面へと倒れ込む


「・・・そ、そんな・・・うそでしょ?・・・―――いやぁぁぁーー!!」

ヒマワリが悲鳴を上げる


「・・・・・・―――あれ?い、生きてる!?」

起き上がり、自分の身体を触って確かめるが銃弾は、当たるどころか擦ってもいない!


・・・どういうことだ?

走馬灯まで、見たのに・・・


「・・・?・・・上手く避けたな!もう1発くら・・・」

「―――女の子になんて拳銃モノを向けるんだい!」


「「「・・・ト、トキド・ケーさん!!!」」」

突然現れたトキド・ケーに驚愕する


「・・・お、お前が・・・あのトキド・ケーか!邪魔立てするなら、お前もろとも・・・―――パァーン!―――パァーン!!」

トキド・ケーに向けて発砲する


「・・・クソ!な、何故だ!何故、当たらない!?この至近距離で!!」

諦めず何度も発砲するがトキド・ケーへ当たることは、なく!全ての弾丸がくうを切る!


「「「・・・・・・っ!!!」」」

ヒマワリ達にも何が起きているのか、わからず、口をポカーンと開けている


「・・・フフッ!!」

ただ一人、この状況を理解できた引野だけが微笑む


・・・トキド・ケーに銃弾なんかが当たるわけないだろ!

トキド・ケーの異能力は、時間停止!!


その異能力ちからの前では、どんなに至近距離で発砲したって、何の意味もなさない!!


「トキド・ケー!!次、会ったらこの借りは、倍にして返しやるからな!覚えていろよーー!!」

弾切れになったグラサン男は、仲間達を見捨てて、一人去っていく



「・・・キミ達・・・ケガは、ない?」

ヒマワリ達を心配し声を掛ける


「・・・えっ!・・・あ、はい!」

「・・・だ、だだ・・・大丈夫です!」

「ウチらは、平気やわ!」

トキド・ケーに自分達がCクラスの生徒だと気付かれないように顔を隠しながら返事をする


・・・オイ、お前ら!

逆に不自然だぞ!!


トキド・ケーは、学園で男装したヒマワリ達の姿しか見たことないから、今の俺達は、街にいた女の子ぐらいにしか見えていないんだ!


不審な態度を取った方が怪しまれるぞ!!


「・・・キミも大丈夫?」

「・・・は、はい!平気です!・・・助けて頂きありがとうございました!!」

俺は、女体化して全くの別人になっているから、怪しまれる心配は、ないから安心だな


「・・・また?・・・一度どこかで会った?」


―――やってしまったぁぁーー!!

墓穴を掘ってしまった!!


「あ、あれ~?・・・そ、そうでしたっけ~!?・・・・・・―――あっそういえば!ト、トキド・ケーさんは、何故 ここに!?」

必死に誤魔化しながら話をすり替える


「街で女の子が男達に連れて行かれたって聞いて心配して来てみたら・・・強いんだね!キミ達!!」

安堵したトキド・ケーが感心する


「あのドッポ相手に勝利するなんて・・・ドッポは、あの街にある学園の番長なのに!―――はいっ!」

引野達へ小瓶を手渡していく


「それを飲めば魔力も回復して歩けるようになると思うから、後のことは、私に任せて、先に帰って良いよ!」


「・・・ほ、本当だ!?疲れが吹き飛んだ!!これなら街へ戻れます!!何から何までありがとうございました!!」

受け取った小瓶を一気に飲み干した4人は、元気を取り戻して、トキド・ケーに正体がバレない内に街へと去って行く



「・・・あの女の子達・・・どこかで・・・気のせい・・・??」

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