第76話 ドS
「腐ったみかん共がーー!!全員、歯を喰いしばれーー!!」
「まーまーコドナ
教師とは、思えない勢いで怒るコドナ先生を宥めるマジナ先生
「・・・コドナ先生に・・・マジナ先生!・・・な、何故?ここに!?」
「コブンデシから報告を受けて、遥々やって来たんだよ!」
燕尾服にシルクハットを被ったマジナ先生がマッソの質問に答える
「コブンデシの奴・・・!!」
「おっと!コブンデシを責めないであげてね!あの子は、汗だくになりながら良くやったよ!責めるなら風族嬢に敵わない自分の弱さを責めるんだね!!」
「・・・なんだと!!」
担任の先生に対して、反抗的な目で睨む
「あれれ~ まさか!?異能力を使われたから、しょうがないとでも言う気かい?」
「それは、先生が異能力を見てないから・・・」
「―――マッソ!あれを破ってみなさい!!」
マジナ先生がヒマワリの雲を指差す
「あの風族嬢でも何でもない!ただの
「・・・なんだと」
「それすら出来ない実力の持ち主なら結構ですが・・・」
「黙って聞いていれば・・・見てろよ!」
腕を回しながらヒマワリの元へ歩み寄る
「ヒマワリには、悪いが・・・全力でいかせて貰うぞ!―――フンッ!!」
大きく振りかぶり渾身の力でヒマワリの雲を殴り付ける
「・・・・・・」
・・・・が!
マッソの全力を出した拳でさえも、ヒマワリの雲は、壊れるどころか、傷一つ付いていない!!
「相変わらず弱いな!マッソ!!いつまで経っても弱いまま・・・先生は、悲しいです!!」
マッソの実力を見たマジナ先生が嘆く
「あんな
「―――っ!!」
マジナ先生が指を鳴らすとヒマワリを纏っていた雲が突然、白い鳩へと変わり、空高く飛んで行く
「・・・え、えっ!・・・ええーー!!?」
突如、異能力を消されたヒマワリは、何が起きたのか状況がわからず驚きの声を上げる
「―――マッソ!君は、もうこの件に関わらなくて結構です!あとは、
「・・・・・・くっ!!」
マジナ先生の言葉に何も言い返せず、この場から去って行く
マッソのあんな姿、初めて見た!!
「オイ!ヒマワリ!!どうすんねん!風族嬢の誘い断るんやろ!!」
異能力の雲が消えたのを見計らったエトムがヒマワリの腕を掴み、説得する
「・・・えっちゃん・・・あ、あたし・・・」
「―――ヒマワリ!!」
コドナ先生が声を荒げる
「お前、風族嬢になれ!!」
「「「・・・・・・―――はあぁぁぁーーー!!!」」」
コドナ先生の発言に全員が仰天する
「・・・な、何言うてんねん!コドナ先生!!」
「一体、どういうことですか!?」
引野とエトムが止めに入る
「別に、どうもこうもねーよ!何でヒマワリの可能性を遮るようなことを言うんだ!風族嬢にむいてるかもしれないだろ?コイツの異能力は、雲!攻守共に活躍できて応用が利く!その上、見た目も可愛くてスタイルも良く!オマケに胸もデカイ!!」
・・・んっ
「この条件で満足しない男なんていないだろ?これなら何度も指名され、人気の風族嬢になり、ナンバー1も夢じゃない!!」
・・・んん?
「そんな見ず知らずの
「いや、何も心まで許さなくても、少し股をひら・・・」
「―――いや、途中から風俗嬢の話になってない!?」
「・・・ん?最初から風族嬢の話してんで!」
「今、大事な話をしてんだから、黙ってろよ!!」
話を遮られたエトムとコドナ先生が怒る
「・・・わ、悪い!続けてくれ・・・!!」
・・・気のせいか?
俺が少し過敏になってただけか・・・
「エトム!お前は、少し重く考え過ぎだ!ヒマワリもちゃんと避妊するんだから大丈・・・」
「―――やっぱ
引野も加わり3人で大揉めする
「―――先生!引野!えっちゃん!ごめん!!ちょっと一人にさせて・・・」
「・・・ヒ、ヒマワリ!」
エトムの叫び声も虚しく、ヒマワリは、異能力で出現させた雲に飛び乗り、この場から離れていく
「良かったのかよ?コドナ先生、ヒマワリを一人にして・・・」
引野が不安を口に出す
「・・・わかってる!俺も同じことを考えてる」
・・・コドナ先生
あんなこと言っておきながら本当は、ヒマワリのことを考えてたんだな・・・
「アイツ!本名じゃなく、ちゃんと源氏名で働くかな・・・」
―――信じた俺が間違いだった!!
「・・・ちょ、ちょっと!ホウちゃん!!ま、まだご飯の時間じゃないから勝手に食べちゃダメですよーー!!」
ヨミがホウオウバードへ注意するがマジナ先生が手品で出した白い鳩を食べ始める
「あの忌々しい鳥めっ!!俺のかわいい鳩を!!」
「まーまー落ち着けよ!ここは、俺に任せろ!!」
怒りを顕にするマジナ先生をコドナ先生が宥める
「・・・コ、コドナ先生!待って下さい!!ホウちゃんは、私に懐いていて全く害は、ありません!!―――だから処分しないで下さい!!」
ヨミがコドナ先生に頼み込む
「わかってる!処分なんてしねーよ!」
威嚇するホウオウバードに向かって真っ直ぐと歩いて行く
「―――異能力発動!!」
「「「―――えっ!!?」」」
言ったことと真逆のことをしたコドナ先生に驚きの声を上げる
コドナ先生の異能力は、幼児化!
触れたモノを若返らせる異能力者!!
自分の身体全体に幼児化の異能力を掛けて、本来の姿を隠し、子供のような姿で生活している
「躾のなってない奴は、1からやり直してもらうぜ!!」
異能力を発動させられたホウオウバードがドンドン若返っていき・・・
―――卵の状態まで若返らせる!!
「・・・・・・ホ、ホウちゃん」
自分のペットが卵になってしまいショックを受けるヨミ
まー殺すことも逃がすことも出来ないホウオウバードを卵に戻してあげる方が一番の最善の策だったのかもしれないな・・・
「コドナ
マジナ先生が本筋へ戻す
「そうだな・・・テメーの
「んー 観客の容体を一通り確認したけど・・・全員、催眠や洗脳といった操られている形跡がないんだよ!!」
「どういうことだ?なら
「そうなるね!この人達を救うには、異能力を発動させた異能力者を倒さないと・・・!!」
・・・な、なんだよ
さっきまでの2人とは、思えない程の対応の早さは!?
「手掛かりが何もないんじゃ・・・
「・・・は、はい!」
コドナ先生の指示に従い、風族嬢を学園へ招き入れたグラサンの男に手を当て、
「―――プッハァァァーー!!・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・」
殺された筈なのに突然、生き返ったことに驚くグラサン男
「オイ!一度だけ聞く、風族嬢について手短に答えろ!!」
コドナ先生が尋問を始める
「・・・あ?何だ、この
「―――誰が
コドナ先生が自分の身体に掛けた異能力を片腕だけ解除させ、本来の屈強な腕へと戻し、グラサン男の首を締め上げる
「・・・コ、コドナ先生!ストップ!ストップ!!また、死んでしまいますよ!!」
マジナ先生が慌てて止めに入る
「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・」
「これで俺達がどれだけ本気か理解できたでしょ?さぁ~風族嬢について・・・」
コドナ先生に代わりマジナ先生が尋問を再開する
「―――誰が話すか!偽善者のインチキ野郎!!」
・・・こ、この男
あんな痛い目に遭っても心が折れず、反抗できるなんて・・・
「フッ・・・フフフ・・・そうかい!まー何時だって人の心を動かすのは、エンターテイメントさーー!!」
マジナ先生が不敵な笑みを浮かべる
「・・・何だ?どんな拷問だろうが俺は、口を割らない」
「拷問じゃない手品だ!―――バチンっ!!」
「・・・ふぐっ!?・・・な、ビスケット?」
マジナ先生が指を鳴らした直後、グラサン男の口の中から1枚のビスケットが出てくる
・・・あっ!
あれは、俺も一度された!!
「―――ぺっ!何をした?インチキ野郎!!」
ビスケットを吐き捨てる
「―――バチンっ!バチンっ!!」
「―――ふぐっ!?・・・ま、また」
マジナ先生が指を2回鳴らすと口の中からビスケットが2枚出てくる
・・・やっぱり
これは、マジナ先生の特技!
―――手品の力だ!!
「―――ぺっ!いい加減にし・・・」
「―――バチンバチンバチンバチンバチン・・・!!」
「ま、待て・・・もう鳴らすのを止めろ!・・・ビスケット・・・ビスケットで・・・―――溺れるーー!!」
マジナ先生が両手で指を鳴らし続けるのでグラサン男の口から止まることなくビスケットが溢れ出続ける
「・・・オイ!誰がインチキ野郎だって?もう一度、言ってみろよ!手品のショーは、終わらないぞ!!」
マジナ先生の手品ショーは、指の鳴る音と激しい嗚咽だけが響き渡る
・・・一応、確認だけど
この人達、ちゃんと教員免許持ってるよね!!
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