第77話 ご指名

「・・・も、もう・・・勘弁してくれ!・・・本当に・・・本当に何も知らないんだよぉぉーー!!」


「ここまで手品を披露して、この反応・・・嘘は、言ってないようだな!」

グラサン男の生首を持ちながら、呟くマジナ先生


風族嬢について話そうとしないグラサン男に対して、マジナ先生が拷問という名の手品を披露していき・・・


人体切断手品により、グラサン男の身体は、バラバラにされ、切断された手足が地面に散らばりうごめいている。


「口の中からビスケットを出された手品段階で風族嬢のことは、何も知らないって言っただろ!・・・早く元に戻してくれ!!」

生首だけの状態になったグラサン男が泣き叫ぶ


・・・か、可哀想に

敵ながら同情してしまう!


マジナ先生の特技は、手品!


無から有を産み出したり、人知を超えた力を見せたり、どういう原理かは、わからないが・・・


―――もう、ほぼ異能力のような、奇々怪々な特技である!!


「何も知らねーなら、そんな奴ほっとけ!!」

「コドナ先生ティーチャーは、せっかちですね!手品は、元に戻すまでが手品なんです・・・―――よっと!!」

マジナ先生は、胸ポケットから一枚の大きな布を取り出し、それをバラバラになったグラサン男の身体に被せて、勢いよく布を捲る


「「「―――っ!!?」」」


「・・・も、元に・・・戻った・・・!!」

バラバラになったグラサン男の身体が元通りになる


「・・・ス、スゲー!こんなの見たことない・・・!!」


「何を興奮してんねん!あんなもん種や仕掛けのある。ただの手品やろ?」

「確かに!あれは、騒ぐほどのものじゃないですよ!子供騙しの芸!!私の足下にも及びません!!」

マジナ先生の手品に感動する引野をエトムとヨミが批判する


・・・な、なんで

この異世界せかいの人は、あのレベルの手品にイチャモンをつけるんだ?


・・・けど

これで、もう安心だな!


強力な特技持ちのマジナ先生と異能力者のコドナ先生に任せれば・・・


「兎に角、風族嬢の始末は、俺ら先生と・・・―――転送生てんそうせいの少年に任せなさい!!」


「「「・・・・・・は?」」」

エトム達がマジナ先生の発言に声を上げる


「・・・な、なな・・・何言ってんだよ!マジナ先生!!」


「引野の言う通りや!何でウチが入ってないねん!納得いかへんわ!!」

異能力それ、解けないぐらい、動揺してるんだろ!異能力者女の子と隠せないぐらいに・・・!!」

マジナ先生が抗議するエトムのネコ耳と尻尾を指摘する


「こ、これは・・・」


「エトムくんほどの戦闘の感覚が鋭いならわかるだろ?風族嬢の強さや恐ろしさを!!」


「・・・うぅ・・・」

マジナ先生の正論に口ごもるエトム


「私が選ばれなかった理由は?」

トキド・ケーが口を開く


「トキド・ケーくん!初めての敗北に驚いているんだろ?その震えた身体を止めてから発言しなさい!!」


「・・・・・・」

マジナ先生の言葉に黙り込むトキド・ケー


「―――なら私は?私は、風族嬢を恐れてないですよ!?」

ヨミが訴えかける


「そんな変な格好してる奴と同類と思われるのが恥ずかしいからダメだ!!」


「―――何を!!」

全身タイツ姿のヨミが怒る


―――それには、納得だ!


「―――なので、この異世界せかいで唯一、異能力を使える男の引野キミに参戦してもらう!異論は、ないよね?」


「俺も引野の異能力、見たことないから楽しみだ!!」

コドナ先生も賛成する


・・・俺の異能力?


―――!!


ドアを開ければ着替え中、転んだ拍子にパイタッチ、そんなラブコメ以外では、何の役にも立たない異能力ちからで・・・


―――どうしろと!?

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