第78話 突飛
「どうしようどうしようどうしようどうしよう・・・・!!」
絶望的な表情を浮かべながら、何度も同じセリフを繰り返し呟く引野
・・・な、何故だ?
どうして、こうなった!?
みんなと楽しく文化祭を送る筈が風族嬢達との異能力バトルに巻き込まれるハメに・・・
そんな闘いに俺なんかがいたって、一瞬で殺されてしまう!
・・・それだけは、何とかしないと!!
「―――マジナ先生!」
「どうした?少年!」
マジナ先生へ助けを求める
「もし風族嬢と全面戦争になったらどうなるんですか?俺、戦闘向きの異能力者じゃないんですけど・・・」
「―――謙遜は、良くないぞ!少年!!学園長から望みの
その男なら・・・
今、目の前にいますよ!
「まずは、風族嬢の奇襲を阻止する為に探索を始める!―――バチンっ!!」
マジナ先生が指を鳴らすとシルクハットの中から大量のハトが飛び出す
「これで見つけ次第、合図を送るので・・・それまで、のんびりしてなさい!」
マジナ先生の特技!手品で出したハトが偵察へと散り散りになって飛び立って行く
「初めての戦闘で落ち着かないなら、稽古を付けてやろうか?」
「・・・えっ!」
「ちょうど、この未熟な特技持ち2人に特技の稽古を付けてやろうと思ったんだ!」
・・・未熟な特技持ち?
あのマッソとドッポが!?
あんな強い、2人の特技が不完全だったなんて・・・
「特別な技と書いて特技!それが異能力なんかに負ける筈がないんだよ!!」
マジナ先生が嘆きながら話す
「1人、他校の生徒が紛れているが・・・これも何かの縁だ!
「・・・・・・」
この稽古に出れば、もしかしたら俺も特技を覚えて、特技持ちになれるかもしれない!
ちょっと、出てみようかな・・・
「マジナ先生!その稽古ってぶっちゃけ危険ですか?死んだりなんかしないよね?」
「―――もちろん!何も間違えたりしなければ・・・」
「―――遠慮しておきます!!」
話の途中だったが断りを入れる
―――忘れるところだった!
この
あんな強い二人の特技がまだ不完全だったなんて!?
「それは、残念!では、また!!」
マジナ先生が気絶したドッポをハトに運ばせ、この場から去って行く
マジナ先生の稽古によってマッソ達が強くなってくれれば・・・
―――風族嬢と互角以上に渡り合えるかもしれない!!
・・・良かった!
ほんの少しだけど希望が見えてきたぞ!!
「だから何度も言ってるだろうがーー!!」
コドナ先生が大声を上げる
「エトム、ヨミ、トキド・ケー!お前らは、待機だ!教室で自習でも何でもして大人しくしてろ!!」
「・・・・・・もう風族嬢に遅れは、とらない!」
「ウチもや!それにヒマワリが心配や!!」
「私は、
「「「風族嬢と闘わせて下さい!!!」」」
エトム達が必死にコドナ先生に頼み込む
俺もエトム達が一緒に闘ってくれた方が助かる!
「―――ダメだ!それは、出来ない!!」
・・・え
「万が一、お前らが人質になったら・・・」
・・・コドナ先生!
生徒のことを第一に考えてくれてただなんて・・・
「―――足手まといだ!いない方が楽だ!!」
―――全く、そんなことは、なかった!!
「「「・・・・・・」」」
それでもなお、この場に留まり続けるエトム達
「・・・そうか・・・言うことを聞かないなら仕方がない!―――子供に戻っとくか・・・!!」
手首をパキパキ鳴らしながら近寄って行く
・・・マ、マズイ!
このまま、エトム達がコドナ先生の異能力で幼児化させられたら、俺を守ってくれる人がいなくなってしまう!!
それは、何としてでも食い止めないと・・・
「コドナ先生!少し落ち着いてく・・・―――って、うおっ!!」
「――――――っ!!」
止めに入った引野の
「―――何、晒しとんじゃ!ボケーー!!」
ブチギレしたコドナ先生が全身に掛けていた幼児化の異能力を一部だけ解除させて、片腕を元のサイズの大きく屈強な腕へと戻し、引野の首を締め上げる
「―――うぐっ!!・・・ぐ、苦じい!!・・・ご、ごめん・・・ごめんなざい!!」
涙目になりながら謝罪する引野
「何度も何度も何度も・・・!!俺の尻に何の恨みがあるんだ!!」
怒りが収まらないコドナ先生は、引野の足を掴み、片手一本で身体を持ち上げ、そのまま勢い良く振り回し始める
「やめてぇぇぇーー!!・・・め、め、目が回るーー!!放してくれーー!!」
「―――お望み通り!放してやる・・・―――よっと!!」
「―――ぎゃぁぁぁーーー!!」
力任せに振り回した引野を遥か彼方へと放り投げる
「「「・・・・・・!!」」」
放り投げられた引野の姿が徐々に小さくなっていき、心配そうに見てたエトム達が驚きの表情を浮かべる
「・・・お前らは、大人しくするよな?」
再び、片腕に幼児化の異能力を掛けて子供のような腕へと戻し、スッキリした笑顔を見せる
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