第79話 雲の上の存在

―学園内上空―


「―――ぎゃぁぁぁーーー!!し、死ぬーーー!!」

引野は、地上から何㎞も離れた上空を猛スピードで上昇し続けていた。


「―――うわぁぁぁーー!!高い高い高い・・・!!」


・・・ヤ、ヤバい!

この状況は、ヤバ過ぎる!!


・・・コドナ先生!

これは、いくら何でもやり過ぎだろう!!


・・・あの時

コドナ先生のお尻に顔を埋めてしまったのは、申し訳ないけど・・・


それは、ラッキースケベのお約束で!

ビンタ1発ぐらいで許すのが定番じゃん!!


何を大気圏ブチ抜く、勢いで投げ飛ばしてくれてんだよ!!


―――俺を宇宙へ放り出すつもりか!?


コドナ先生の怪力パワーは、凄まじい!!


普段は、異能力幼児化で子供のような姿を見せているが・・・


異能力幼児化を解除させた力は、マッソ以上だ!!


「・・・・・・」


・・・とは、言うものの

この状況をどうにかしないと・・・


一体、どう乗り越える?


投げ飛ばされた威力は、衰えることなく、どんどん上昇していき、雲がバンバン横を通り過ぎって行っている


転送初日に大空から落下した時よりも遥か上空にいる


この高さから地面に叩き付けられたら死んでしまう!!


「・・・み、耳が・・・痛い・・・!!」

急激な気圧の変化からか耳鳴りが酷くなってきた!


・・・あれ?

もしかして・・・


このまま死んでしまうのか?


異世界に来て、いくつもの困難を乗り越えて来たのに・・・


最後は、担任の先生によって、人生の幕を降ろしてしまうのか!?


「―――うわぁぁぁーー!!嫌だ嫌だ嫌だーー!!そんなの嫌だぁぁぁーー!!」


彼女も出来ないまま、死ぬなんて絶対嫌だ!!


・・・考えろ!考えろ!!

助かる方法を・・・


頭を使え!脳を働かせろ!!


―――引野優!!


転落死しても、死んだモノや壊れたモノを蘇らせる異能力者のヨミがいるが・・・


―――その選択肢は、なしだ!

死ぬのは、怖すぎる!!


何か他の方法を考えないと・・・


今、俺にあるのは、異能力ラッキースケベのみ!!


―――いや、そもそも異能力これが原因でこんな目に遭っているんだったーー!!


「・・・な、なんだ?あれ!?」

目の前に巨大な入道雲が流れて来る


「・・・ヤ、ヤバイ!ぶつかる!?―――うおっ!?」


入道雲の中は、真っ暗で上昇する空気の渦と激しい雨粒で入り乱れていて、上下左右の平衡感覚が失われる


「あぁぁぁーー!!も、もう、ダメだ!助からないーー!!」

何とか逃れようと必死に腕を振り回し、もがき続ける



―――ぽよよーーん!!


「・・・・・・や、柔らかい」


・・・えっ

・・・何、これ?



―――ぽよよーーん!!―――ぽよよーーん!!


「き、気持ちいい・・・!!」


・・・何、この触感!?

いつまでも揉み続けていたい!!


「―――きゃぁぁぁーー!!・・・な、なに?何なのーー!?」

突然、胸を鷲掴みされたヒマワリが悲鳴を上げる


「な、なんで・・・引野がここに!?―――って、いい加減に離してよ!!」

驚いたヒマワリが引野の手を振りほどこうとする


「・・・わ、悪い!耳鳴りが酷くて何も聞こえない・・・!!」


「―――受け答え出来てんじゃん!!」

怒ったヒマワリが強烈なビンタする


何故、ヒマワリが入道雲にいるのかわからないが・・・


―――助かったーー!!

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