第9話 ごはん

昼休みの食堂

配膳を受け取る、長蛇の列の最後尾


「あ~・・・食欲湧かね~」


食堂ここへ来る途中、何度も異能力ラッキースケベが発動してしまい、アラトモや他の生徒の股間や胸へ顔からダイブしてしまい、多大なご迷惑をかけながら食堂までたどり着いてしまった


顔が生暖かくて気持ち悪い

男子校で男の股間やに顔からダイブするのは、お互い苦でしかない

一体何の罰ゲームだよ!


「引野くん、やったね!今日のメニューは、レーカだって!」

日替わりメニューを見て喜び、嬉しそうに教えてくれる

「・・・・・・レーカ?」

なんだ それ?

異世界 特有の食べ物か?美味しいのか・・・

―――いや、そんなことより


「アラトモ!俺 お金持ってないんだけど」

この世界へ転送される際、紫の髪色をした細マッチョのオカマ

そんなオカマことマカオに急かされた所為で着の身、着のまま、何も持たず 異世界へ転送されてしまった

まー仮に財布を持って来てたとして、この世界の通貨が何かわからないし、この世界で円で買い物が出来たかどうかは、今となっては、確かめようのないことだが・・・


「あ~その心配は、いらないよ・・・ここの生徒だと無料でご飯をたべられるから」

「―――マジで!?」

「だからこの学園の生徒でお弁当を持って来る人は、ほとんどいなくて、みんな学食を食べるんだよ」


・・・な、なんて

教育方針が行き届いているんだ!

元いた世界の学校でも部活に所属していれば学食が無料で食べられる有名進学校やスポーツに特化した学校などもあるらしいので・・・

異世界の学校でもこのようなシステムを行っていてもなんら不思議では、ないのか!?


「おじさん、レーカ2つ!」

食堂のおじさんへ注文を取る

「あいよっ!―――レーカお待ちっ!」

「はやっ!!」

某牛丼チェーン店の牛丼を出すスピードの100倍の早さで出してきた

「・・・ん?・・・・・・カレーだ」

どっからどう見てもカレーライスが出てきた。

ニンジン、じゃがいも、玉ねぎ、お肉の様な具材に数種のスパイスをまぶしたような香りのするルーがお米の様な白い粒々の横に掛けられている

見た目、香りがほぼカレーライスなのが出てきた


「カレーじゃないよ!レーカだよ」

「業界人みたいに言うな」

寿司をしーすと言うみたいに

「あれ?もしかして引野くんのいた世界でも似たような料理があった?・・・だけどこれを言ったら引野くん、驚くだろうな」


・・・・・・・?


「・・・・・・レーカ味のパンやうどんもあるんだよ!?」

「溜めて言うことか!!」

カレーのことは、レーカと業界人風にひっくり返して言うのにパンやうどんは、そのまま言うんだな


これなら異世界での食生活には、不自由は、しないだろう

「冷めないうちに食べようか」

このスパイシーな香りで食欲も戻って来たので、空いているテーブルに座り食べ始める


「・・・あれ?あの人達のカレー ―――じゃない!レーカ!少し俺たちのと違わないか?」

その日の日替わりメニューを頼んでいる筈なのに・・・

そのレーカには、カツやフライのような食べ物がトッピングされている


「あー あの人たちは、Aクラスの生徒だからね」

また、Aクラスか

「なんでAクラスとBクラスで料理に差があるんだよ」

「・・・なんで?―――そんなのあの人達がボクらより実力が上だからに決まってるじゃん!実力がある者が実力のない者と同じ扱いを受けるのは、おかしいでしょ!!」

「まーそう・・・だけど・・・別にみんな平等でも・・・」

「―――引野くん!」

今までのアラトモとは、思えないほどの強い声を出す

「ボクらは、平等なんかじゃないんだよ!生まれつき、足の速い人、見た目が美しい人、親が貧しい人や病弱な人、みーんな生まれも育ちも才能も全部、違うんだよ!ボクらは、差別される為にある。だからこそボクらは、争い、競い合い、その先に進歩が生まれる!なので差別は、悪くない!平等こそが悪なんだよ」


普段のアラトモの表情から想像もつかないほどの鬼気迫る顔!

難しいアラトモの言葉は、頭より心で理解した。つまり学園ここは、実力至上主義!市民平等、ゆとり教育なんてクソ喰らえの世界ということか!?

この学園には、A~Cクラスまでの3クラスある。そのクラスへのクラス分けは、完全に実力重視のピラミッド式だったのか!?


だからといって食事でそんな差なんて出さなくてもいいのに・・・

「―――ちょっと待てよ!?ならCクラスは!?Cクラスのレーカは、どうなる?」

実力のあるAクラスは、サービスを受けられるなら一番下のCクラスは、一体どうなるんだ!?


・・・具材少なめとか?


「ルー抜きだよ」

「ライスじゃん!」

「落ちこぼれのCクラスは、大体何を頼んでもライスしか出てこないよ」

「・・・えっ」

「だからCクラスの生徒は、食堂へは、来ないんだよ」

「そりゃあ そうだよな」


まー俺には、関係ないことだけど


「・・・ふぁ~!!」

喋りながらもレーカを食べ終え、お腹も満腹になり眠気に襲われ欠伸が漏れ、両腕を上げ、背筋を伸ばす

「引野くん!う、うしろ!!」

「―――え?」



ぽよ~ん!!



・・・や、軟らかい!?

・・・なんだ・・・これは!?



ぽよ~ん!ぽよ~ん!!



このプリンを素手で触ったような感触は!?

い、一生触っていたい!

――――って何言ってんだ!俺は!!

ここは、男子校だって言ってるだろ!

何に目覚めようとしてるんだ!!


「わ、悪い、悪い!周りを良く見てなか―――っ!?」

振り返り相手の顔へ目をやる


・・・す、す、すごい美形だ!!

えっ!?男には、見えないぐらい目鼻立ちがしっかり整っている。

雪のように白い肌に腰まで伸びた白い髪、体のラインは、無駄なくすらっとしたスタイル!


こ、この見た目で男!?


「・・・・・・」


どう見ても女の子にしか見えない生徒が無表情のまま人形のようにじっーと俺の眼を見つめてくる


「ひ、ひ、引野くん・・・引野くん!・・・は、早くその手を・・・は、離して!!」

アラトモが慌てふためきながら捲し立てる

「そ、その人が・・・あのAクラス歴代ナンバーワンの実力者!!―――トキド・ケーだよ!!」

「――――えっ!?」

掴んでいた胸から手を離し、改めてトキド・ケーを凝視する


・・・こ、この人が

100m走で4秒44という記録を叩き出し、この世界でのかけ算の産みの親のパーフェクト超人!!

――――トキド・ケー!!


き、綺麗過ぎるっ!!

一体どうなってんだ!?

トキド・ケーの見た目は、もっとゴリラみたいな角刈りでゴリラみたいな顔付きでゴリラみたいな図体をした。動物で例えるとゴリラ面をした人間!そんな男であって欲しいと期待してたのに・・・


――――全くの真逆だ!!


「貴様ーーー!!トキド様に何をするーーー!!」

騒然と立ち尽くしているところへ、耳を塞ぎそうになるほどのバカでかい怒号が広い食堂全体へ響き渡る

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