第73話 雨女

「ちょ、ちょっと・・・!!引野、どうすんの?本当にヤバいんじゃないの!?」

風族嬢の強さに驚き、不安になるヒマワリ


・・・た、確かに

この状況は、非常にマズい!!


あのマッソとドッポが全く歯が立たないなんて・・・


このままじゃ、カサとかいう風族嬢に支配されてしまう!?


「・・・ヒマワリ!ここでじっとしてろ!・・・ウチが相手してくるわ!!」

「ま、待て!エトム!!こんな大勢の人の前で異能力なんか発動させたら異能力者女の子だって、バレてしまうぞ!!」

異能力ネコ化を発動させ乗り込もうとするエトムを押さえる


「せやけど!ウチら以外で風族嬢に敵う人なんかおるか?」


・・・そ、それは

そうだけど・・・


「―――あれっ?トキド・ケーさんは!?」

ヒマワリが声を上げる


「「・・・・・・え!」」

エトムと引野が辺りを見回す


今、さっきまで、ここにいた筈なのに!?

一体どこに・・・


「・・・・・・誰だ、お前?」

「カサ様!そいつトキド・ケーです!!」

突如、舞台上に現れたトキド・ケーに風族嬢達が臨戦態勢に入る



「「「―――ト、トキド・ケーさん!!?」」」

ヒマワリ達と一緒にいたトキド・ケーが一瞬にして舞台上に移動したことに驚きの声を上げる


トキド・ケーさん、異能力を発動させたな・・・


トキド・ケーの異能力は、時間停止

停止させた時の中を自由に移動できる異能力者だ!!


「動けば殺すと忠告は、した!殺されても文句は、ないな!!」

「風族嬢の狙いは、私でしょ?面倒な事せず、直接かかってきなよ!」

鋭い眼光で威嚇するカサへトキド・ケーが挑発的な口調で応える


「フッ・・・風族嬢わたしらの狙いは、そんな小さな事じゃない!!」


「・・・・・・?」


風族嬢わたしらの目的は、することだ!!」


「「「―――なっ!!?」」」

カサの発言に一同仰天する



・・・ぜ、全世界の男を奴隷にする!?

一体どういうことだ・・・


「・・・それ・・・本気で言ってるの?」

「あぁ・・・その足掛かりとして、まずこの会場にいる男を全員奴隷にする!―――エソラ!始めろ!!」


「・・・させない!―――異能力発動!!」



・・・・・・・・・


トキド・ケーが異能力を発動し時間を停止させ無音の世界に包まれる。



・・・この

カサという風族嬢があの華奢で小柄なエソラって名前の風族嬢に何かをさせようとしてたな・・・


・・・ま

どんな異能力者かは、不明だが・・・


異能力を発動する前に気絶させれば問題は、ない!


エソラへとにじり寄る



「お前も異能力者だったのか!!」


「――――なっ!!?」

聞こえる筈のない声に驚き、戦闘体勢に入る


「時間停止なんて良い異能力持ってんじゃん!」


「・・・な、なぜ?・・・動ける!?」

異能力によって時間は、停止し全てのモノは、止まっているのに・・・

カサという風族嬢だけは、普通に動いている


「それは、私の無敵の異能力!異能力雨女の力だ!!」


「・・・雨女あめおんな!?」


「私は、雨水を自由自在に操れる異能力者!少しでも雨水があれば、!何でも!!―――大男の攻撃も無力化できるし、異能力も無効にできる!!」


―――なるほど


あの時、雨水を被ったからマッソやドッポの攻撃が効かなかったのか!?


「・・・―――こんな風に!!」

胸元から容器を取り出し、雨水を撒き散らすが地面に落ちることは、なく!空中に留まっている


「この雨粒は、弾丸より強力だぞ!受けてみろ!!」

空中に浮かんでいた雨粒が凄い勢いでトキド・ケー目掛けて飛んでいく


「・・・止める!―――異能力時間停止発動!!・・・くっ!止まらない・・・!!」

再び異能力を発動させるも雨粒は、止まることなく、そのまま飛んで来る


「ほらほらほらほら・・・!!何時まで躱せるかな?」

雨粒は、トキド・ケーを追尾し追い詰めていく


「躱せないなら・・・―――本体を叩けばいいだけ!!」

雨粒を無視してカサを直接殴りつける


「効かない!効かない!!そんな毎日、男装して男子校に通ってるやつの拳なんざ屁でもない!!」


「―――ぐふっ!!」

カサの強烈な拳が脇腹に直撃し、膝を付く


「カサ様!始めまーす!!」

「・・・し、しまった!!」

異能力を解いてしまい停止していた時間が動き始める



「・・・えっ!トキド・ケーさん、急にどうしたの?」

「わ、わからん!腹なんか押さえてお腹でも壊したんか?」

時間が停止していたことなど知る良しもないヒマワリ達には、トキド・ケーが突然、体調を崩したようにしか見えなかった


「・・・トキド・ケーさん?」

・・・ま、まさか

異能力時間停止が破られたんじゃないだろうな・・・


観客ブタ共ーー!!私の声を聞けーー!!起立!礼!着席!!起立!礼!着席!!起立!礼!着席・・・!!」

エソラが何度も何度も同じ言葉を繰り返し、観客に向けて叫び続ける


「・・・準備完了!・・・―――ひざまずけ!!」

エソラの言葉に反応して観客全員が跪く


「・・・・・・なっ!?」

その光景に絶句する


「言ったろ?風族嬢わたしらには、野望それを実現させる異能力ちからがあると!・・・あとは、お前だけだ!!」

カサがトキド・ケーに詰め寄って行く


「この観客は、そのエソラを倒せば元に戻るんだろ?」

エソラに向かって行こうとするもカサに行く手を阻まれる


「理解できたか?お前じゃ無理だ!!」


・・・そ、そんな

トキド・ケーさんが乗り込んでも風族嬢に敵わないなんて!?


「・・・・・・トキド・ケー!お前、風族嬢になれよ!!」


「「「―――っ!!?」」」

カサの思いもよらない発言に一同衝撃を受ける


「えー!カサ様、本気ですか!?」

「こんな男を・・・!!」

他の風族嬢達も疑問に思う


「お前の異能力ちからは、役に立つ!風族嬢わたしらの仲間になれ!!トキド・ケー!!」

真っ直ぐな眼差しで手を差し伸べる



「そいつは、無理な相談だ!!」

「今日、潰れる組織に入る方法は、ない!!」

ドッポとマッソが立ち上がる


「は~邪魔ばっかり・・・ネチュー!ビゾン!その雑魚2匹片付けろ!!」


「りょりょりょ了解・・・!!」

「ビゾン!大男は、私がりたい!!」

楽しそうに返事をするネチューとビゾン


「・・・さ、させない!」

「私を無視するなよ!嫉妬しちゃうぞ!!」

マッソらを助けに行きたいがカサに行く手を阻まれ身動きが取れない状態



「よーし!ギャルの力、見せたるで~!!」

「こ、ここ、殺す!殺すす!!」

魔力を高め、戦闘体勢に入る


「や、やめろ!逃げろーー!!2人共ーー!!」

トキド・ケーが叫び声を上げる



「「―――死ねぇぇぇーーー!!」」

ネチューとビゾンがマッソ達へ襲い掛かる


「―――っ!?・・・な、何、これ?雲・・・!?」

「か、か固ーーい!進めなーーいいい!!」

突如、目の前に雲が出現し困惑する2人


「もう、これ以上黙ってなんかいられない!!」

ヒマワリが異能力で雲を出現させ、風族嬢の攻撃を食い止める


「次は、あたしらが相手だ!風族嬢!!」

ヒマワリ達が風族嬢の前に立ちはだかる

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