第74話 スカウト

「次は、あたしらが相手だ!風族嬢!!」

「ウチらの初めての文化祭を台無しにした落とし前、きっちりつけたるで!!」

風族嬢の横暴を見兼ねたヒマワリ達が参戦する


男子達マッソたちにヒマワリ達が異能力者女の子だとバレてしまうが・・・


―――止むを得ない!

今は、人命が最優先だ!!


とにかく風族嬢を何とかしないと・・・


「・・・た、頼んだぞ!エトム!ヒマワリ!!」

マッソとドッポの後ろに隠れ、戦闘は、人任せな引野


風族嬢と張り合えるのは、この2人しかいないだろう!


「・・・あ、あの・・・あの異能力は・・・長年、探し求めた・・・!!」

不適な笑みを浮かべながらカサが呟く


「雲で邪魔するなんて・・・ギャルの扱い酷すぎじゃない?―――針地獄決定!!」

魔力を高めたネチューの身体から無数の針が飛び出し、ヒマワリに向かって突進する


「―――なんや自分も動物化する異能力者か?ネコ化する異能力者のウチが相手や!!」

エトムが異能力を発動させると爪が鋭く伸び出し、尻尾は、生え、ネコのような前傾姿勢になり威嚇する


「ちょっ、マジ!ネコって癒し系じゃん!?そんな異能力で私の針鼠はりねずみ化の異能力とり合う気でいるなんて・・・―――ギャル舐めんなよ!!」

ネコ化したエトムを嘲笑い、ヒマワリからエトムへ切り替えて突進する


「・・・は、速い!なんてスピードだ!!」

あのネチューとかいう風族嬢

異能力ネコ化を発動させたエトムの動きに付いていきやがる!!


身体能力ならCクラスナンバー1の実力を持つ、エトムと互角の勝負を繰り広げるなんて・・・


―――めちゃくちゃ強いじゃないか!!


「・・・えっちゃん、大丈夫かな?」

ヒマワリが不安な声を漏らす

「エトムなら大丈夫だ!エトムを信じろ!!」


・・・そうは、言ったものの

ヒマワリが心配するのも無理もない!


風族嬢あいては、戦闘・殺しのスペシャリスト!


異能力バトルに不慣れな俺達が圧倒的に不利な状況だ!!


「ざ、ざざ、雑魚2匹!片付けるるるーー!!」

「ぎゃぁぁーー!!こ、ここ、こっちに来たーー!!」

もう一人のマヌケそうな風族嬢がマッソ達、目掛けて襲って来る


「カ、カサ様の命令は、絶た・・・―――ビィャャャーー!!」

ヒマワリがビゾンの頭上に異能力で雲を出現させ、その雲を雷雲へと変化させ、そのまま脳天へ雷を落とし、黒焦げになったビゾンは、倒れる


「・・・た、助かった!ありがとう、ヒマワリ・・・!!」


ヒマワリの異能力は、雲

雲を出現させ、自由自在に操り、雨雲から雷雲へと変化させ、コントロールできる異能力者


ヒマワリの異能力は、応用が利き、戦闘に於いても攻守どちらでも活躍できて頼りになる!


「・・・こ、これは、一体どういうことだ!?俺は、夢でも見てるのか・・・!!」

目の前で起きた現実を受け入れられないマッソ


「ヒマワリ達が異能力を!?・・・こ、これじゃあ、まるで・・・―――風族嬢じゃないか!!」


「マッソ!詳しい事は、また、あとで話す!!」

取り乱す気持ちは、わかるが・・・

―――今は、風族嬢に集中だ!!


「フッ・・・フフフ・・・ハーハッハハハーー!!―――ようやく見つけたぞ!最高のパートナーを!!」

突然、カサが高笑いを上げる


「確か・・・名は、ヒマワリとかいったな?ヒマワリ、お前も風族嬢になれよ!!」


「「「―――えっ!?」」」

ヒマワリ達が驚きの声を上げる


「一緒に組んで最高の世界を築き上げよう!!」


「なにをバカなこと言ってんの・・・」


「―――ヒマワリ!お前も私らと同じで男によって差別されてきた口だろ?そんな理不尽な世界は、受け入れられないよな?もう堪えられないよな?そんなことのない未来に変えたいよな!!」

ヒマワリの心へ訴えかけるように話し続ける


「・・・・・・うぅ!!」

俯き涙を堪えるヒマワリ


・・・マ、マズい!

このままだと、ヒマワリの心が完全に動かされてしまう!!


「―――ヒマワリーー!!そんな風族嬢の言葉に耳を貸すなーー!!ヒマワリーー!ウチの声、聞こえてんのかーー!!」

エトムがヒマワリへ大声で呼び掛けるも反応は、ない


「そうだ!あのネコ化する娘も一緒に風族嬢なかまに入れてやろう!それなら友達と離れ離れになる心配もないぞ!」


「・・・・・・・」


「さぁ、こっちへ来い!ヒマワリ!!」

手を差し伸べる


「・・・あ、あ、あた・・・あたしは・・・」


「ヒマワリ!!忘れたのか?お前には、夢があるんだろ!叶えたい夢が!!そんな人殺し集団に入って・・・―――夢もへったくれもないだろう!!」

引野が大声で叫ぶ


「そんな男に何がわかる?わたしらが味わってきた苦渋の日々を貴様に理解できるか?共感できるか?男じゃヒマワリの心は、救えない!!―――そうだよな!ヒマワリ!!」


―――クソ!

カサの奴!好き勝手に偉そうに言いやがって!!


奴を黙らせたいが・・・

カサに敵う手段も追い払う方法も俺には、ない!!


・・・一体どうしたら!?


「―――ミスコングランプリ!大いに盛り上がってきましたね!!」

声のする方へ視線を移す


「・・・・・・なんだ、アレは?」

「アレとは、なんだ!失礼だぞ!!」

場違い感たっぷりのタイミングで登場したヨミがカサへ難癖を付ける


「風族嬢!さっきから黙って聞いていれば・・・」


・・・ヨミが怒っている

そんな仲間想いなところもあったのか!?


「―――何故、私をスカウトしないんですか?即戦力でしょ!!」


―――前言撤回!

全くそんなことは、なかった!!


「ふざけるのは、その見た目だけにしてくれ!」

カサが納得のいく正論を述べる


「そうですか・・・そのセリフは、見てからでも言えますか?」

手の平に乗せた小さな石のような白い塊を見せる


「「「・・・・・・?」」」


「―――異能力発動!!」

そのまま、白い塊を空へ放り投げる


ヨミの異能力は、リサイクル

死んだ生物や完全に壊れたモノを蘇生し元の状態へ戻す異能力者


・・・ということは

あの白い塊は!?


けたたましい鳴き声と共に白い塊が元の生物へと戻り始める


―――クキャーーー!!!



「「「―――ホウオウバード!!?」」」

風族嬢達が仰天する


・・・ヨミの奴

あの時、ホウオウバードの骨を隠し持ってやがったのか!?


「―――校外まで吹き飛ばせーー!!ホウオウバード!!」

ヨミの命令に従い、大きく翼をはためかせ、凄まじい強風を巻き起こす


「ぎゃぁぁーー!!って ヨミ!!これじゃ、敵味方関係ないだろーー!!」

ホウオウバードの羽ばたきにより、会場全体が暴風域に入り、少しでも体の力を緩めると吹き飛ばされそうになる


「―――ヒマワリ!」

カサがヒマワリの元へ歩いて行く


・・・な、なんで

この強風の中、平然と前へ進めるんだ!?


「返事は、今日じゃなくてもいい!また明日、来る!良い返事を期待してる!!」

ヒマワリの耳元で囁く


「―――帰るぞ!!」

カサが告げると風族嬢達は、強風に乗り、天高く舞い、校外へと吹き飛ばされていく

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