第113話 カリスマ

とある雑居ビルの地下室

「キミは、どちら側の人間?我々側の人間?それとも異世界人側の人間?選んでね!!」

「テメーいつまでボスを待たせてんだ?調子に乗ってんのか!?」

「もう充分に時間を与えたのに、沈黙を貫くということは、我々側の人間では、ないという意味だね?」

パソコン画面内に存在する古いグラフィックのキャラクターの質問に対して、元転送生達もとてんそうせいによる高圧的な尋問が続いていた。


・・・な、何なんだ?元転送生達コイツらは!?

パソコン画面のキャラクターに、どんだけ崇拝してやがんだ!!


竹内力たけうちちからくん、細川高志ほそかわたかしくん、もうその辺にしなさい!引野くんが困っているでしょ?」

元転送生達のボスが二人を宥める

「引野くん、キミは、質問を難しく考えすぎている!なにもボクたちは、敵か味方かって聞いているんじゃないよ!!ボクたちは、同志!仲間でしょって話なんだけど・・・ま~もう帰って良いよ!!」

「───えっ!・・・い、良いの!?」

予想外の対応に驚き、この場を立ち去ろうとする


「当然だよ!仲間同士仲良くしないとね・・・バイバイ~!!」


ひょ、拍子抜けだな・・・

何か・・・もっと・・・過激になっていくのかな・・・って思ったのに・・・


「竹内力くん、細川高志くん!直ぐ様、あの異世界人達を捕縛して来て!!」

「「・・・了解!!」」


「───なっ!!?」

ボスの発言に引野が足を止める


ちからくん、相手は、3人!油断せずに行きましょう!!」

「誰に言ってやがる!ボス、別に無傷で捕らえなくて良いんですよね!!」

「もちろん!1人喋れる状態なら他の2人は、殺しても問題なし!!」

「ちょっ、ちょちょちょ、ちょっと何考えてんだよーー!!」

引野が大声をあげる


「人質に取り、拷問してマカオや異世界の情報を吐かせて、今後の復讐計画の成功率をあげようとしてます!!」

「・・・んなこと聞いてんじゃないんだよ!ヒマワリ達は、関係ないだろ!!」

「・・・モグモグ・・・モグモグ・・・関係あるないは、キミが決める事じゃないだろ?」

「モブキャラが邪魔してんじゃねーぞ!!」

スナック菓子を食べていた肥満体型の男がベタついた手で引野の頭を掴み、チンピラ男は、指をポキポキ鳴らしながら近付いて来る


「・・・邪魔?それは、お前らがやろうとしている非道な行為のことを言ってるのなら、全力で阻止させてもらうぞ!!」

ケンカなんて、もちろんしたことないがあんなことを言われて黙っていられる訳がない!

相手は、俺と同じ人間だ!勝てる可能性の方が高い!!


・・・相手になってやる!!


「引野くん、一体何をそんなに怒っているんですか?この地球上では、5秒に1人誰かが死んでいて、その事実は、受け入れるが誰も悲しみを抱かない!なのに、違う世界の人型モンスターが消えることには、怒りを露にする!全く持って理解に苦しみます!!」

「・・・・・・お前、AIじゃないな?人間だな!!」

「「───っ!!!?」」

引野の言葉に元転送生達に衝撃が走る


「ピンポーンピンポーン!大正解!!」

パソコン画面のキャラクターが小躍りし始める。

「だけどね・・・別にこれは、自分の正体を隠す為にしているんじゃないんだ!自分の強大な力を抑える為に仕方なくしているんだよ!!」

「どういう意味・・・?」

「言葉の通りさ!それ以上でも以下でもない!!自分自身の強大な力を制御できないからね!!」


・・・・・・?


まだ、自分の異能力をコントロールできないのか?


「カリスマになれる条件について考えたことあるかい?」

「・・・カ、カリスマ?何の話だ・・・」

「───引力だよ!!」

「・・・・・・い、引力?」

ダメだ!完全に何言ってるか解んねー!!

バグったな!コイツ!?


「カリスマ性の高い人間には、目には、見えない不思議な力がある!その力によって人は、魅力され惹き付けられる!!───このようにね!!」

「・・・な、何だ!?」

・・・か、体が!

パソコン画面に向かって吸い寄せられていく・・・!!


「ど、どういう事だ!これがお前の異能力か!?」

「異能力?これは、カリスマりょくだよ!!」


・・・・・・カリスマりょく


「抗う事など出来ないのさ!!ボクのようにカリスマ性の高い人間の行動、一挙手一投足にみんなが注目し、目を奪われ!発言する言葉には、影響力があり流行を生み出す!!」

「バ、バカな!・・・なら、この状況は、お前のカリスマりょくによって起きていると言いたいのか!?」

「ピンポーンピンポーン!大正解!!」

再びパソコン画面の中で小躍りを始める。


・・・ふ、ふざけるなよ!

何がカリスマりょくだ!!

こんなもん異能力に決まっている!!


「まっ!キミがどんな行動を取ろうが関係ない!!ボクのカリスマりょくがあれば、異世界人と接触するのは、確定だ!引野くんがここへと引き寄せられたように・・・」

「ま、待てよ!そんな訳ない!!ここへは、誘われて自分自身の意思で来た!そんなの後付けだ!!」

ボスの発言を全力で否定する


「これは、信じる信じないという次元の話じゃないんだ!偶然や運命という言葉では、片付けられない!!圧倒的カリスマりょく!ボクなら物語の主人公が起こす、ご都合主義とも言える奇跡を簡単に起こせるのだ!!」

「・・・ふ、ふざけるな!!」

謎の引力によって、パソコン画面へと吸い寄せられていく


「理解できた?そんなボクがオカマのマカオへ復讐すると言えば、絶対に復讐できるんだ!!引野くんのようなモブキャラならより解るだろ?この神輿を担げば、人生逆転!負け犬生活ともおさらば出来るって・・!!」

「───っ!!」

引き寄せられる謎の引力によって、パソコンに頭から激突する


「・・・考え直してよ!ボクたちの仲間になりなよ?」


・・・こ、このままじゃ、マズイ!

もう身動きが取れなくなってきた!!


この力は、間違いなく異能力だ!

パソコンのキャラクターがやっているように見せて誰かが攻撃している!!


完全に俺だけに狙いを定めて異能力を発動させているのが・・・


───その証拠だ!!


・・・いる!いるぞ!!

この近くにボス本体がいる!!


は、早く解除させないと・・・

だが、どいつだ?どこのどいつだ!?


この異能力を使う異能力者がこの建物の何処かに隠れて発動している筈なんだ!!


ここにいるチンピラと肥満体型の男は、違う!

さっき殴られて伸びている案内役の男も違うと思う!!


・・・・・・誰だ?誰なんだ!

考えろ!考えろ!!周囲をもっと観察しろ!!


何か打開する方法は、ないのか!?

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学園ラブコメ期待して異世界転送したのに・・・男子校かよっ!! トンテンカン @tontenkan25

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